私たちの憲法は3日、施行から67年の記念日を迎えた。安倍内閣は集団的自衛権の行使を認める解釈改憲を掲げ、国のかたちを決める法は岐路に立たされている。旗を振る安倍晋三首相の論理や狙いを探ることから、憲法のいまと行方を3回にわたって考える。

 安倍は4月2日、自民党副総裁の高村正彦や幹事長の石破茂、官房長官の菅義偉を首相公邸に集めた。憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使に向け、慎重な公明党をどう説得するかを協議するためだった。

 政権中枢の意見は割れた。石破は公明党に配慮し、集団的自衛権を認める閣議決定の先送りを提案した。だが、安倍は「集団的自衛権という言葉は外せない」と強い調子で語り、石破の案を退けた。

 側近が別の場で「閣議決定で集団的という言葉を使わない選択肢もある」と水を向けた時も、安倍は「全然だめだ」と言い切った。側近は確信する。

 「首相の決意は本物だ」

 安倍はなぜこだわるのか。周辺が狙いを語る。「まず解釈を変更し、できる範囲で集団的自衛権を認める。だがそれだけでは国際標準の安全保障は実現できない。やはり憲法を改正するしかないと、はっきりする」。安倍にとって集団的自衛権は本格的な改憲への一里塚というわけだ。