■ヘイトスピーチ訴訟に携わった具良鈺(ク・リャンオク)さん(31)

 国家権力に邪魔されず、自由に議論したり文章を発表したりできる。それが19条や21条の理念であり、民主主義の根幹です。一方で、人を深く傷つける言動もあります。

 4年ほど前、「在日特権を許さない」とする団体が京都の朝鮮学校周辺で街宣活動をしました。メッセージは「犯罪者に教育された子ども」「朝鮮半島に帰れ」といった内容でした。いわゆるヘイトスピーチです。

 在日3世で弁護士でもある私は、街宣活動中止などを求めて訴えた学校側の代理人を務めました。団体側は訴訟で「言論・表現の自由」にあたると主張しましたが、京都地裁判決は人種差別にあたると判断しました。

 どこまで言論・表現の自由の範囲内なのか線引きは難しい。みんなで議論し、差別を許さない社会をつくる。憲法が求めていることではないでしょうか。

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 《19条》 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 《21条》 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。