他紙を大きく上回るダントツの出題実績
大学入試が学力・知識を重視する入試から、思考力や考察力を重視する入試へと変わり、試験科目に小論文を採用する大学が増えています。そして、小論文の課題文によく用いられるのが新聞記事です。中でも、出題数が多いのが朝日新聞の記事です。
2005年の大学入試での朝日新聞からの出題は、253大学388問題にのぼりました。取り上げられた記事の数は451。この数字は他の全国紙4紙の合計(155大学188問題)を大きく上回っています。特に国立大学での出題率が高く、国立大学の4割以上が朝日新聞を入試問題の出典としています。
ポイントはジャンルの広さと記事の面白さ
大学受験生の指南書ともいうべき『君はどの大学を選ぶべきか』を毎年発行している「大学通信」の取締役情報編集部部長の安田賢治さんは、入試問題に朝日新聞の記事が多く使われる理由として「記事の分野に偏りがないこと」と「記事の面白さ」を挙げます。
「朝日新聞の記事は、政治、経済、社会、文化、教育など、あらゆる分野にわたっています。ジャンルが多岐にわたっていと、学部や学科を問わず出題しやすいといえます」と、安田さんは考えます。
国立大学教授の6割以上が朝日を購読
「論評の面白さ」としては、伝統から最新の流行までを伝える文化面や、「私の視点」「声」など各界で活躍する著名人が意見を述べるオピニオンの充実ぶりを指摘します。「記事が面白いから、大学の先生も読み続けているのだと思います」と安田さん。
実際、2002年に行われた有識者の購読新聞調査によると、回答のあった首都圏の国立大学教授180人のうち、63・9%が朝日新聞を購読しています。大学の入試問題を作成するうえで、大学の教授が朝日新聞を参考にしていることが、こんなデータからもうかがえます。
全国で読まれているから地域的な差異がない
そしてもう一つ、安田さんは「地域的な偏りがないこと」も朝日新聞の強さの理由ではないかと考えています。一口に全国紙といっても、地域によって購読率に大きな差がある新聞もかなりあります。朝日新聞の場合、地域的な偏りはなく、全国で購読されています。
「入試問題の出典である新聞に地域的な偏りがあると、受験生の出身地によって有利・不利が生じる可能性があります。その点、全国的に購読されている朝日新聞なら、受験生の出身地による差異が生じづらいのではないでしょうか」。
大学が入試問題に朝日新聞を採用する理由はいろいろと考えられますが、毎年の出題実績こそが、その強さを証明しています。
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大学通信
取締役情報編集部部長
安田賢治さん |
大学通信は私立小学校・中学校・高校から国公私立大学、さらに就職にいたるまで、教育のさまざまなシーンにおけるガイドブックや情報誌を制作・発行しています。『サンデー毎日』『週刊朝日』の大学合格者高校別一覧などの情報提供も行っています。また、今年から小・中学生に最先端の学びの楽しさを体験してもらう「学びの支援フォーラム」を主催。8月に行われたイベントでは16の大学が参加し、子どもたちを対象に各大学の研究プログラムや実習・実験を体験できる体験型ワークショップを開き、小・中学生と保護者約2万6000人が来場しました。
大学通信発行
「2006年 国公私立大・ 短大受験年鑑
君はどの大学を 選ぶべきか」 |
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