憲法記念日:改憲ムードの中、都内各地で集会

毎日新聞 2014年05月03日 21時11分(最終更新 05月03日 21時14分)

集団的自衛権の行使容認などに反対し、行進をする人たち=東京・銀座で2014年5月3日午後4時1分、竹内紀臣撮影
集団的自衛権の行使容認などに反対し、行進をする人たち=東京・銀座で2014年5月3日午後4時1分、竹内紀臣撮影

 安倍晋三首相が憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に意欲を燃やす中で迎えた3日の憲法記念日。東京都内で、さまざまな立場から憲法を考える集会が開かれた。

 千代田区の日比谷公園で開かれた集団的自衛権行使に反対する集会には、約3700人が参加した。学習院大法科大学院の青井未帆教授は「政治といえど、やってはいけないことがあるとの感覚が政権内で弱まっている」と強調。集会後、買い物客でにぎわう銀座をデモ行進した。

 日本弁護士連合会と東京の3弁護士会は、有楽町で「解釈改憲に反対する」と書かれたパンフレット約2000部を配った。憲法記念日の街頭行動は異例で、日弁連は「憲法の解釈変更が国民の中で十分議論されずに行われることは、立憲主義に反し絶対に認められない」との村越進会長の談話も出した。

 憲法改正を目指す「『21世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(桜井よしこ代表)は千代田区でシンポジウムを開いた。作家でNHK経営委員の百田尚樹氏らが、尖閣諸島領有権問題などを挙げ、将来的に9条を改正すべきだと主張。自民党の船田元・憲法改正推進本部長は、改正の発議要件を定めた96条などを先行改正する方針に触れ、「姑息(こそく)かもしれないが、理解を得やすい部分を直した上で9条改正を実現したい」と述べた。

 一方、昨年成立した特定秘密保護法の廃止を求め、学生ら約400人が新宿の繁華街をデモ行進。同法は国民の知る権利を制約し、憲法が保障する民主主義を揺るがす、と訴えた。ツイッターで知り、仙台市から夜行バスで駆け付けた東北福祉大の菅原ひかりさん(20)は「幸せで平和な日本が続くと思っていたが、壊れるのではと心配」と語った。【野島康祐、狩野智彦、牧野宏美】

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