教育勅語:原本見つかる 百貨店展示後、半世紀間不明に
毎日新聞 2014年04月08日 11時08分(最終更新 04月08日 12時13分)
文部科学省は8日、1890年に発布された教育勅語の原本とみられる文書を同省の保管庫内で発見したと発表した。原本は1962年に東京・日本橋の百貨店で展示されたのを最後に半世紀の間、行方が分からない状態だった。新たに見つかった謄本とあわせて2点を国立公文書館へ移管する予定で、今後公開される見通し。
文書は明治天皇から発布当時の文部相・芳川顕正(あきまさ)に渡された原本とみられる。2012年10月、東京国立博物館(東京都台東区)にある保管庫で、資料整理中の同省職員が木箱に入っているのを見つけた。確認作業を続けていたが、百貨店で展示された当時の文書管理担当者が書いたメモが残されており、明治天皇から出されたことを示す内容だったことなどから、同省は「原本」と判断した。
原本は4ページ(1ページは縦32.8センチ、横23.5センチ)。紙は赤茶色に変色している。関東大震災(1923年)で旧文部省庁舎が焼失した際、保管されていた金庫内で「蒸し焼き」状態になったためとみられる。劣化のため2枚目と3枚目がくっついて開けないが、開いた状態の写真も見つかった。半世紀ぶりの発見に同省幹部は「原本が保管されていることさえ知らなかった」と驚いていた。【三木陽介】
【ことば】教育勅語
大日本帝国憲法が発布された翌年の1890(明治23)年、明治天皇の名で教育の基本理念として出され、謄本が学校に配布された。親孝行や夫婦の和をうたう一方、軍国主義の温床になったとされる。