韓国南西部、珍島沖の旅客船セウォル号沈没事故で、死亡した男子高校生が携帯電話で撮影していた約14分間の映像を、韓国のテレビが1日までに放映、沈没直前の生々しい状況が明らかになった。
映像は、高校生の父親が、真相究明に役立ててほしいとJTBCテレビに提供した。最初は冗談を飛ばしていた高校生たちが、待機を命じる船内放送が繰り返される中で次第に事態の深刻さを悟っていく様子がうかがえる。
この高校生は、別の生徒が携帯電話で消防に最初に通報したのとほぼ同時刻の16日午前8時52分に撮影を開始。「フェイスブックに(この状況を)載せればおもしろいな」との声も出る中、「絶対に動かないで」と放送が流れる。
映像は約5分でいったん切れ、午前9時前から再開。「本当に沈むの?」という声の後に生徒たちは救命胴衣を身に着け始めた。「(映画の)『タイタニック』みたいになりそうだ」と話したある生徒は、映画の主題曲を口ずさむ。家族へ向け「母さん、父さん、愛している。妹よ、絶対に修学旅行に行くな。兄さんみたいになりたくなければ……」とつぶやいた。
午前9時7分。操舵室では、船員が無線で「沈没中だ」と叫んでいたが、映像ではその時間より後も「移動するな」と放送が流れていた。映像に映る生徒たちのほとんどは助からなかったとみられる。(ソウル=共同)
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