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【サタデープラス】美少女軍事もの火付け役「ストライクウィッチーズ」軍事評論家・岡部いさくさん分析

2014年5月3日15時0分  スポーツ報知

 美少女と戦闘機、戦車や戦艦を組み合わせた「美少女ミリタリー」ものがブレークしている。ヒットの秘密は、軍事アイテムや物語展開をホンモノに近づけたこと。従来の「萌え」好きに加え、ミリタリーファンからも支持を集め、人気が拡大した。軍事評論家の岡部いさく氏(60)が、ブームの火付け役といわれる「ストライクウィッチーズ」のマニアすぎるこだわりを分析した。

 「ストライク―」は、魔法の力を持つ少女たち(ウィッチ)が、両足に「ストライカーユニット」と呼ばれる飛行脚をつけて、正体不明の敵「ネウロイ」から人類を守るストーリー。2005年にキャストのイラスト連載を開始、08年と10年にテレビ化されたほか、12年には劇場版が公開された。DVDやブルーレイの売り上げが1万本あれば大ヒットといわれるが、劇場版は4万本を売り上げた。年内に30分のオリジナルビデオ3作の公開が予定されている。

 初めて「ストライク―」を観賞した岡部氏は「これは納得の出来」とおもわずうなった。一見すると気がつかない部分まで手が込んでいると指摘する。

 カールスラント国のウィッチ、エーリカ・ハルトマンは「第2次世界大戦の独軍で、一番敵機を撃墜したエーリヒ・ハルトマンがもとですね。ストライカーユニットも、独軍の戦闘機メッサーシュミットBf109の特徴を捉えているし、彼の機体に描かれていた黒いチューリップ模様や赤いハートマークもちゃんと描かれています」。左右非対称の謎の物体・ネウロイX―1も「ナチスの試作偵察機だったブローム・ウント・フォスBV141がもと」と説明。「隠れた情報があるから奥が深い。ミリタリーファンも、史実をこう解釈しているのか。分かっている人が作っているんだな。見てみようかとなる」と話す。

 地球とよく似た架空の場所が舞台だが、第2次世界大戦をもとにしており、旧日本海軍の空母「赤城」などが精巧に描かれている。「空母・赤城の木の甲板や、飛行機を止めるための穴。風向きを知るために艦首部から出る白い煙など、しっかり描いています。艦載機が零戦でなく、あえて1世代前の九六式艦上戦闘機にしているのも通好み」と解説。

 「本物らしさをうたう以上、作り手はマニアから出来を試される。美少女ファンタジーだからこそ、(ミリタリー部分を)きちんと作り上げないと作品がグズグズになってしまう」と、岡部氏は軍事マニアの視点から人気のツボを分析した。

 アニメ専門誌「アニメディア」の馬渕悠編集長(30)は、3Dアニメの技術がこの10年で進化し、ファンの目利き度が上がったと話す。「そこで出てくる戦車や戦艦が、本物と全然違ったら見向きもされない。見る人(ミリタリーファン)が見たときに笑われないものをと、今までやらなかった部分まで手をかけるようになった」。絵の精密さや設定だけでなく、セリフに闘将の名言が隠されていることも。「情報収集など手間や時間がかかり、制作費は1・5倍に増えたが、妥協しない作りがミリタリー好きにも見応えのある作品につながった」と話す。

 一方で、全てを忠実に再現(リアリズム)していないところも肝心という。「実際の走行音はかなりうるさいし、着弾音は想像より地味。追求すると面白くなくなるので、リアリティー(本物らしさ)をうまく表現している」。ウソと本物の絶妙な加減が大事と話す。

 「欧州戦線で、戦艦大和がドイツのライン川を上るあり得ない設定も、フロート(浮き具)を装着して川底に船底がつかないようにとありそうな表現をしている。マニアを納得させたいから、そこは真剣」と岡部氏。この流れは「作り手がミリタリーに詳しく、しかも好きでないとできないが、これからもこのような作品は出てくるでしょう」と話す。

 戦国武将や新撰組をモチーフにした「歴史」系がある一方で、鉄道ファン取り込みをねらった「RAIL WARS!」が注目されている。民営化されなかった国鉄の鉄道公安隊を舞台に美少女が奮闘する物語で、今夏にテレビアニメ化される。「城」「仏像」「昆虫」あたりと美少女がコラボする時代がくるかもしれない。(軍司 敦史)

 ◆岡部 いさく(おかべ・いさく)軍事評論家。1954年1月30日、さいたま市生まれ。60歳。学習院大仏文科卒後、「エアワールド」誌を経て「シーパワー」誌編集長。90年からフリー。

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