制作会社、10カ月で6万冊「無理」 震災復興コンテンツ事業

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制作会社、10カ月で6万冊「無理」 震災復興コンテンツ事業

 一部が未完了との指摘が出ているコンテンツ緊急電子化事業の作業期間は当初、対象書籍の募集を始めた2012年6月から同年度末までの約10カ月間だった。「そんな短期間で約6万冊を電子化するのは無理だ」。事業に携わった複数の制作会社から計画自体に疑問の声が相次いでいる。
 経済産業省と日本出版インフラセンター(JPO)によると、事業開始前に流通していた漫画以外の電子書籍は3万冊。事業により流通量の倍に当たる6万冊を加えることで電子書籍市場の活性化を狙ったという。
 電子化作業の前には著者の許可が必要。出版関係者は「著者一人一人と会って事業を説明しなければならない。6万冊を仕上げるには膨大な労力と時間が必要」と言う。関係者からは「時間がなく、一部では著者の許可を得ていないようだ」との指摘が出ている。
 作業を請け負ったある制作会社によると、書籍の電子化には一般的に「光学式文字読み取り装置」と呼ばれるソフトウエアが使われる。活字をスキャンして約99%の精度で電子データ化する。
 ただ99%の精度では文庫本1ページ当たり5〜7カ所の誤記が生じる。句点を記号の「○」と読み込んだり、振り仮名を認識できなかったりする場合が多い。スキャンしただけのデータは完成品にほど遠い状態だという。
 同社の担当者は「熟練者でも1日に文庫本1冊の校正が限界。納品するには複数回のチェックが必要で、最速で2日に1冊の完成がやっとだった」と打ち明ける。
 電子書籍に詳しい関係者は「現場を知らない人が集まって事業計画を立てた。当初から達成できないことは明白だった」と批判する。


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2014年04月16日水曜日

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