コンテンツ事業、電子化一部完了せず 補助金適正化法抵触か

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コンテンツ事業、電子化一部完了せず 補助金適正化法抵触か

 東日本大震災の復興予算を投じた「コンテンツ緊急電子化事業」が本来の事業目的と異なっている問題で、受託団体の日本出版インフラセンター(JPO、東京)が電子化したとする書籍6万4833冊のうち一部の作業が完了していないことが15日、関係者への取材で分かった。事業は2012年度末に終わっており、13年度以降に作業を持ち越した分の補助金が返還対象となる可能性が出てきた。
 首都圏の制作会社は事業で書籍数百冊の電子化作業を受注したが、約100冊分が終わっていない。著者の許可が取れなかったり、電子化を機に内容を修正する出版社の編集方針が決まらなかったりしたためだという。
 同社の説明では、補助金の執行期限が迫った12年度末、JPOの実務を担う民間会社「パブリッシングリンク」(PL、東京)から、活字をスキャンしただけで校正の済んでいないデータの納品を求められた。その際、「13年3月末より前の日付で納品書を出すように」と指示され、やむなく応じた。全てを完成作品として事業期間内に納めたようにする狙いがあったという。
 別の出版関係者は「電子化作業を終えていない出版社は大手を含めて複数ある。JPOの電子化書籍のうち、数千冊分はまだ流通していない」と証言する。
 経済産業省によると、事業の補助金10億円は同省が11年度の第3次補正予算に計上した。12年度の分は予算繰り越し手続きをしたが、13年3月の事業終了に伴い13年度分は繰り越ししていない。
 会計検査院の話では、補助金適正化法は補助金を年度内に使い切るよう定め、新年度への繰り越し手続きをしなかった補助金は国庫に返納しなければならないという。
 JPOの責任者は「出版社から完了の報告を受けており、作業は終わっているはず」と強調。PLの担当者は「コメントできない」と述べる。
 電子書籍に詳しい出版関係者は「作業は終わっておらず、未完成作の納品などを求めたのは証拠のでっち上げ。国は事実関係を調べるべきだ」と指摘する。

[コンテンツ緊急電子化事業]
 出版社が書籍を電子化する際、費用の半分(東北の出版社は3分の2)を国が補助する事業。総事業費は20億円で、うち10億円は経済産業省が復興予算として計上。東北関連の書籍は全体の3.5%の2287冊にすぎず、成人向け書籍やグラビア写真集など100冊以上が補助対象に含まれていたことが明らかになっている。


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2014年04月16日水曜日

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