コンバイン(自脱型) |
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自脱型コンバインとは、稲、麦を刈取りながら穂に付いている穀粒を取り出す(脱穀)と同時に、穂切れ粒などを選別再処理(脱穀)し、ワラを機体後方に落としていく方式の収穫機械である。
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スイスイデバイダ 倒伏してる作物を刈取りするためのもので、引起こし装置(下図)の前面に縦向きに取り付ける。基本的に、作物が倒伏していなければ必要ない。 倒伏時は、追刈りで、刈取変速をH(早い)にして作業するのが基本である。 |
前処理部は、デバイダと引起こし装置からなる。デバイダは、作物の分草と刈幅を決め、引起こし爪の付いたチェーンが回り穀稈を引起こし整列させる。 一般に扱ぎ深さ自動装置を入れて使用するが、穂先が入りすぎないように、使用するコンバインに貼られているシールを目安にセンサの位置(一般に穂先搬送チェーンの上辺りにある)を合わせる。 刈取り時は必ず、ナロー・ガイドを最下部まで下げて使用する。(フィード・チェーンの入り口付近で搬送されてくる株元が隣列の穂先に引っかかるのを防ぐため) 方向自動制御装置 作物刈取り時、デバイダすぐ後ろに取り付けられた方向センサで、進行してる方向を感知し、走行方向を自動で制御する装置。サイド・クラッチ・レバーを切らずに進む方向を、自動で微調整ながら誘導する。 刈取スライド 刈取部本体が左右にスライドして動く装置。モータ駆動でスライドさせ、中割刈取り時は右に一杯寄せ、通常刈り(左回り)は左に一杯寄せて刈取りする。ゴム・クローラで、なるべく作物を踏まないようにするためのもの。 主に、2条刈りのコンバインで使われます。 |
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オート・クラッチ 刈取部本体をある程度上昇すると、刈取部本体全ての動作が止まる装置。 中型以上の機械に付き、機械式で上昇時、刈取ベルトを弛ませて動作を止めるものなどがある。 |
引起こし(タイン付き)チェーンの張りは、中央部で10~15mm程になるように、チェーン張り調整ナットを締めて調整する。 使用時間過多になると、駆動スプロケットやテンション・スプロケットのギヤの山が擦り減ってくる他、ベアリングが磨耗し、ガタつきを生じるようになる。この場合は交換する。 また、チェーンも伸びてくる。 チェーンに限っては、半コマが付いていれば、半コマを外すなどして短くする。 一般に繋ぎ目は、U字型のピンで、半コマは割ピンで留めてあり、U字型のピンを留めるときは回転方向にU字の丸い部分がくるように留める。 あまりに伸びがひどいと切れやすいので、その場合は新品に交換する。 他、引起こし爪(タイン)が変形、磨耗していたら交換する。引起こし爪が磨耗してくると、先端が下がってくる。 向かい合う引き起こし爪は、なるべく左右揃えた位置(イセキで例外あり)で取り付ける。 4条以上において、向かい合わない(背を向け合う)引き起こし爪は回転中に干渉しないように取り付ける。 チェーン・レール(ケース、アイドラ側)が擦り減ってきたら、交換または、溶接などで修復するが、そのままでも良いとする。 ※チェーンが伸びるとは、チェーンの繋ぎ目(コマ)一つ一つが擦り減り全体として、擦り減った分だけ長くなるという事。 |
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刈取部は、刈刃の往復運動で作物を刈取り、刈刃、受刃の刃は鎌の刃のようにギザギザになっている。 馬力の大きい機械になると、刈刃と受刃が互いに逆方向へ往復運動するもの(ダブル・アクション刃)や、刈刃を左右に分割してそれぞれが往復運動するものなどがある。 使用時間が増えれば、金属摩擦により刈刃と受刃の間隙が増えるので、シムなどがあるものは、シムを抜くなどして間隙を左図のように調整するが、実際にはハンマなどで刈刃の最側端を軽く叩いて刈刃がスライドして動く程度(油をたっぷり注す)に調整する。 左図で、ナットを外せば、押さえ金具、シム、プレート、刈刃を外せる。 刈刃、受刃ともに無理な使い方などにより、反ったり、欠けたりすることがある。また、刈刃は押さえ金具との当り面が摩擦で擦り減る。刈刃、受刃ともにリベットを叩き込んで固定してあるだけなので、悪い刃だけ交換可能だが、一式新品に交換したほうが良い。 |
刈り高さ自動制御装置 刈取部の最下位置(刈取る高さ)を、自動で常に任意の高さに保つ装置。 ポテンショ・メータ(可変抵抗器)などで刈り高さを位置を検出する。 オート・リフトとは、ボタン一つで、設定した任意の刈高さまで下がったり、最上部まで上昇したりする。 |
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搬送部とは、刈取った作物を、掻き込みベルトや搬送チェーンなどを使って脱穀部のフィード・チェーンへ送るものである。 |
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掻き込みベルト |
掻き込みベルトは、引起こし装置のすぐ後下部に配置し、株元の掻き込みを行い、スター・ホイールで集束させ、次の搬送チェーンに引き継ぐ。 掻き込みベルトの張りは左図のように、アイドラ固定ボルトを緩め、適量に張ってから締めて固定する。掻き込みベルトは亀裂が入り、あまりにひどいようなら交換する。 |
搬送チェーン |
搬送チェーンは、各条から掻き込まれた穀稈を一列に集め、その集められた穀稈を株元チェーン(左図)と、穂先チェーン(タイン付きチェーン)で挟時しながら搬送し、フィード・チェーンへ引き継ぐ。 搬送チェーンについても、上記の引起こしチェーンと同様ではあるが、駆動スプロケットは、さほど擦り減らない。ベアリングの磨耗、膠着とチェーンが伸びる。 チェーンは、テンション・ローラ(アイドラ)をバネを介してロッドで引っ張っている。ロッドにはねじ山があり、ナットが付いていて、そのナットを回してチェーンを張る。 チェーンの張り量は、中央部で20~25mm程度のたわみ量なら良しとするが、なるべくメーカー指定箇所のたわみ量の通りにする。 チェーンは繋ぐときは、なるべく左図のように割ピンを入れる。 |
| 扱ぎ深さ自動制御装置 株元搬送部辺りと穂先搬送チェーン上辺りに取り付けたセンサによって、扱ぎ胴に供給される穀稈を、自動制御で一定の深さに保つようにする装置。 |
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※メーカー、機種によっては、処理能力を向上させるため扱ぎ胴後部に小さい処理胴をもう一つ設けてるものもある。 |
脱穀部は、数十枚程の扱ぎ歯がついた扱ぎ胴(左図)が回転し、フィード・チェーンから搬送される穀稈の穂先部分を脱穀する。 脱穀された穀粒などは、受網を漏下して揺動棚に落下しする。脱穀されたワラは、そのままフィード・チェーンから排ワラチェーンへと引き継がれる。 脱穀方式は、上扱ぎ式と、下扱ぎ式(左下図)があり、損傷粒が少ないなどの理由から下扱ぎ式が多く使われていて、回転方向も上扱ぎ式とは逆である。 扱ぎ胴の回転速度は稲、麦ともに現在は同一のものが多いが、そうでない機械に限って、麦刈り時は稲刈り時より1割程回転を上げて使用する。また、種子収穫の場合はこれよりやや低い回転で脱穀する。(発芽率に影響するため) 扱ぎ歯は、供給口側から整そ歯、補強歯、並歯が付いている。整そ歯は、供給口から供給される穀稈のもつれや穂先の遅れを整えるものである。 ワラ切刃は、コの字型で2枚の刃を一対としたもので、左図のように、扱ぎ歯がこの2枚の刃の間を通過してワラ屑を細かく切り、扱ぎ室からワラ屑が容易に排出出来るようにしている。 ワラ切刃は、切れ味が低下してきたら新品に交換する。ワラ切刃は、受網の最上部辺りに数枚取り付いている。 受網に取り付いてるものや、扱ぎ胴カバーと受網の間(本体)に取り付いてるものがあるが、受網に取り付いてるものは、受網を外し、本体に取り付いてるものは、籾タンクと、扱ぎ胴カバーの間の蓋を開け交換する。ワラ切刃は、、いずれもボルト、ナット1組ずつで固定されてる場合が殆どである。 大型機械になると、両刃のワラ切刃を使ったり、フィード・チェーン上部辺りにも、ワラ切刃が取り付いてるものが多い。 送塵板(抵抗板)は、扱ぎ胴カバー内側に取り付けられ、任意に角度を変えることが可能で、扱ぎ室内のワラ屑や、穀粒などの滞留時間を制御するものである。一般にどの機種も扱ぎ胴カバーの上側からネジ1つで調整可能である。 |
扱ぎ胴回転速度は約450~550rpm、扱ぎ歯先端周速度は14~15m/s |
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| 過去の記載→第15回:コンバインのワラ切り刃の交換方法 |
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オートデセル 主変速または脱穀クラッチを入れると、自動的にエンジンを定格回転に上げる装置。作業をしていない状態では自動的にアイドリング回転に下げる。 |
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| 受網(左図)は、脱穀された穀粒を網目から選別部(揺動棚)へ漏下するもので、扱ぎ胴の下にあり円弧状の形をした網である。 網目が目開き9~12mmのクリンプ網や樹脂製網が使われ、大型機械になると、ピアノ線のようなものを使ったものもある。 樹脂製網は、網部分(樹脂部)だけ交換可能である。 受網は毎年外して掃除する。 受網の外し方は、メーカーや機種によって違うが、扱ぎ胴カバーを上に開ければ、比較的簡単に外せるものが多い。レールに乗せてあるだけのものや、挿入して、ロック・レバーで留めてあるだけのものなど様々である。 使用時間過多による、網の磨耗(破れなど)が著しい場合は新品に交換する。 受網(が詰まるなどして網目が小さくなると、穀粒が漏下しにくくなり、扱ぎ室内で穀粒が滞留、循環して損傷粒が増える。また、扱ぎ胴に負担がかかり、Vベルトが焦げたり、酷くなると詰まってエンジン・ストップする場合がある。水分の多い作物を刈ったり、ワラ切り刃が切れないなど、同様に目詰まりし易くなる。 逆に、使用時間過多による受網の磨耗などで網目が大きくなると、ワラ屑も漏下し選別が悪くなる。 |
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※上図は、分り易く説明したものであり、実機はこの限りではない。 選別自動制御装置 揺動棚の上辺りに取り付いてる籾量センサで籾の量を検出して、チャフ・シーブの開閉をマイコンが自動制御して、適正な籾選別、漏下量を決める装置。 また、圧風ファンの風量なども、籾量センサ同様にエンジン回転数、負荷に合わせて自動制御される。 |
選別部は、穀粒、未脱粒、ワラ屑などの選別を行うが、左図はその穀粒の流れである。 選別は、揺動棚が前後に激しく揺らす形状選別、比重選別と、送風機による風力選別との両方で行なわれている。 揺動棚は、グレン・パン、篩部(チャフ・シーブ、グレン・シーブなど)、ストロ・ラックの部分に分けられ、穀粒やワラ屑などの選別を行なう。 グレン・シーブから漏下したものは、圧風ファンで風選され、単粒はそのまま1番横スクリュの上に落下して、1番縦スクリュを経て、籾タンクへ送られる。 グレン・シーブから漏下しなかった混入穀粒、ワラ屑、穂切れ粒、枝梗付着粒などは、チャフ・シーブ後部やストロ・ラックからの漏下物と一緒に、2番横スクリュの上に落下して、スロワまたは、スクリュで扱ぎ室、処理胴、選別部などに運ばれ再処理される。(メーカー、機種によって様々) ストロ・ラックは、ワラ屑中に混入してる穀粒を分離落下させるが、ワラ屑は送風機に吸引され機外に出される。 チャフ・シーブは、開くほど高能率になり、稲刈りの場合は麦刈りより開いた状態で使用する。 |
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1番スクリュ(左図)は、横送りと縦送りに分かれるが、籾の搬送が横移動から縦移動に切り換わるため、どうしても横スクリュ端と縦スクリュ下部は磨耗する。 この部分の磨耗がひどくなると詰まるので、その場合は新品スクリュに交換する。 2番についても、スクリュ式のものは同様に磨耗する。また、スロワ式のものは、撥ね上げ板が磨耗する。これも、磨耗がひどくなると詰まるので、その場合は新品に交換する。 他、ベアリングが磨耗してスクリュ軸ががたつく、ケースが磨耗して穴が空く、ケース内で詰まりスクリュが変形する、チェーンが切れるなどがある。 ◎2番詰まり警報装置 2番スロワ、スクリュなどに回転センサを取り付け、2番詰まりを感知し、警報を鳴らしたり、エンジン・ストップしたりする装置。 |
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株元排ワラ・チェーンの張りが弱いと、穀稈の流れが悪くなり詰まり易くなる。 チェーンの張りは、アイドラ(非駆動側)固定プレートを留めているボルトを緩め、シノなどでプレートを起こし、チェーンを張りながらボルトを締め、バネで張り調整が可能なものは、調整ナットを回してチェーンを張り、ボルトを緩めるだけで自動にチェーンが張るタイプのものは、そのまま締める。 チェーンが伸びて張れないものは、半コマを取る、または、新品に交換する。 メーカー・機種によって固定方法は様々であるが、この排ワラ・チェーンは特に弛み易いので、毎年確認する。 ◎排ワラ部緊急停止装置 株元排ワラ・チェーン後方部に取り付けられ、この部分での詰まりを感知し、エンジンを停止させる装置。 |
排ワラ装置は、脱穀されてワラのみになった穀稈が、フィード・チェーンから排ワラ・チェーンへと引き継がれ、回転するカッタで切って機外に出す、もしくは、そのまま機外に出すか二通りに分ける装置である。 そのまま機外に出す場合、排ワラを一定量溜めて圃場へ落とすドロッパ装置や、バインダのようにノッタ・ビルで結束して圃場へ落とす装置がある。 左下図は排ワラ切断装置で、カッタ刃が決められた間隔で取り付けらている。使用時間過多によるカッタ刃の磨耗は、詰まりの原因になるので、刃が丸くなってきたら新品に交換する。 大型機械は、切る長さを短長切替が出来る。 カッタ刃の交換は、駆動プーリ、チェーン、カッタ軸の左右のプレート(ベアリング・ケース)の順に外す。機種によっては、掻き込み軸や、後部カバーを外さなければいけない。 ※カッタ刃を触る時は手を切る恐れがあるので、必ず皮手袋などをはめて作業する。 カッタ軸だけ外す事が出来たら、カッタ軸を倒れないように立てて固定ナットを外し、取り付いていた順番が分かるように順次外していく。刃やカラーなどの順番、向きを間違えないように取り付け、最後に、がたつきが無い事を確認し、ナットをしっかり締める。順番を間違えると取り付け時に、掻き込み刃に干渉したりするなど不具合を生じる。 24~30㎜くらいのメガネ・レンチと、機種によっては、ギヤ・プーラなどが必要になる。 |
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クローラの接地圧 0.1~0.25kgf/cm2(11~26kPa) 上部転輪がある小型~中型コンバインの調整 |
走行部は、エンジンからの動力が、ミッションを経由して駆動輪に伝達され、ゴム・クローラの芯金に駆動輪(スプロケット)が噛み合ってゴム・クローラを回転させ、機体を前後進させる装置である。 ゴム・クローラの張りは、小型コンバインなど上部転輪のないも(左図)は、ジャッキ・アップして上側中央部を片手で押して大体10~15㎜くらいのたわみになるように調整する。 中型、大型コンバインなど、遊動輪が最後部転輪の斜め上(直ぐ近く)に位置するものは、ジャッキ・アップして後ろから2番目の転輪底面とクローラ内側表面との隙間が20㎜くらいのたわみになるように調整する。 基本は、メーカー、機種が指定してるたわみ量に調整するのが望ましい。 ゴム・クローラの脱着は、まず、張り調整ボルトを一杯まで緩めてから、機体後部をジャッキ・アップする。次に、大ハンマで、遊動輪をゴム・クローラごと叩き、遊動輪を押し込みクローラが弛んだら、馬ジャッキを機体後部に入れる。そして、機体前部をジャッキ・アップする。 ジャッキをかける箇所は、機体後側はフレーム(角パイプ)に、機体前側はミッション下部にかける。また、あまり上げると作業し辛く力が要るので、ゴム・クローラが浮けば良いとする 次に、遊動輪上部辺りとゴム・クローラ内側の芯金間にバールを入れて、ゴム・クローラを浮かしたまま、もう一つのバールをその下側に入れ脱線させる。脱線後は手の力でゴム・クローラを外す。 中型以上の機械は遊動輪と後部ガイドが干渉する事があるため、後部ガイドを外す必要がある。 取り付けは、逆に駆動輪側から入れれば良いが、中型以上の機械で上転輪があるものは、遊動輪を入れる前に上部転輪を先に入れないと、疲れるばかりで入らないので注意する。その時なるべく、遊動輪と芯金を隣合わせまで近づけておくと、比較的楽に上転輪が入る。なかなか手の力だけでは入らないのでバールを使って入れる。 重機(グリス式)などのキャタピラとは取り付け順が逆になる。これは、キャタピラの重量があること、遊動輪に相当する車輪が大きいことなどから脱着時に融通が利き難いため、駆動輪を回転させて脱着させる。 使用条件によって異なるが、転輪や遊動輪は200時間程の使用でベアリングが破損して脱輪することがある。つまり、もっと早い段階で、オイル・シール(泥水シール)が役目を果たさなくなっている。 したがって、グリス・アップできるタイプのものは、毎年グリス・アップする。 使用時間過多や、水分の多い圃場などで無理な使い方を繰り返すと左図のように傷んでくる。特に、ゴム・クローラが切れたり、芯金がめくれたりすると、圃場で身動きが取れなくなるので、使用前には確認する。 コンバインは左回りが基本なので、どうしても右側の駆動輪が擦り減り、ゴム・クローラも傷みやすい。 |
自動水平(モンロ)制御装置 傾斜センサで機体の傾きを感知し、機体を自動で水平に保つ装置。 中型以上のコンバインで、機体上下などの油圧装置が付いているものが対象。 |
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| 過去の記載→第19回:コンバイン足回りの遊動輪オーバ・ホールについて |
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穀粒処理部は、選別された籾が1番口から出てきて、籾タンクに落ち、ホッパーから袋詰めにされるものと、籾タンク(グレン・タンク)に一時貯留してから、アン・ローダ(オーガ)でトラックなどに排出するものとがある。 アン・ローダは、籾を横送り、縦送り、横送りの順に回転するスクリューで搬送する。 アン・ローダの動作は、一般に、上下運動は油圧シリンダの力で、旋回運動は旋回モータ(電気)の力で動いてる。 アン・ローダが下がらない、旋回しないなどの症状は、スクリュ・ケース作動部のグリス(油)切れで膠着気味になってる事が多い。他、モータ・リレーの不良でモータが作動せず旋回できないなど。 オート・リターン ボタン一つで、アン・ローダが上昇、旋回し、格納する装置。 ※再度ボタンを押さないと動作完了まで停止しないため、狭い倉庫や、回りに何も無いことを確認してからボタンを押すこと。 |
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ミッションは、主変速装置(HST、パワー・シフト)と副変速装置(機械式)からなり、単に走行に関するものだけである。 パワー・シフト: パワー・シフトは、油圧バルブなどで歯車の違うギヤを噛合わせ、ノー・クラッチ変速ができる。、メーカー、機種によって変速数は様々だが、コンバインでは3~5段くらいのものが多い。 動力の入り切りは、エンジン側の出力軸プーリと、ミッション側の入力軸プーリにVベルトをかけ、足元ペダル(クラッチ兼、ブレーキ・ペダル)と連動したテンション・プーリがこのVベルトを張り、動力を伝達させ、駆動輪を回転し走行することができる。 足元ペダルを踏み込むとVベルトが弛み、ミッションへの動力の伝達が止まり、足元ペダルから足を離すと動力が伝わる。 HST(Hydro Static Transmission): HSTは、油圧ポンプを回し、その油圧ポンプから出された高圧油で油圧モータを回して動力を得るものである。主変速レバーで油量を調整して変速を行うため、超低速から高速までスムーズな変速ができるので、エンジンにも良好な状態で走行が可能である。多くは、負荷や速度などの自動制御機構が組まれている。 動力は、エンジン側の出力軸プーリと、ミッション側の入力軸プーリにVベルトがかけられ、上記パワー・シフトとは逆に、HSTの場合常時テンション・プーリでVベルトを張っていて、油圧ポンプはエンジン始動と同時に回り続けている。テンション・プーリは足元ペダルとは連動していない。 自脱型コンバインは一般に、足元ペダルを踏み込むと、パワー・シフトもHSTも左右のクラッチが同時に切れてから、左右のブレーキが同時にかかる仕組みになっている。旋回時右に曲がる場合は、操作レバーを右に少し倒せば、右のクラッチが切れて緩やかに曲がり、更に一杯倒すと右のブレーキがかかり、より急な旋回ができる。クラッチは、湿式(油に浸されている)のものや油圧バルブ式などが使われ、ブレーキは、乾式(油に触れていない)のものと、湿式のものがあるが湿式のものが多く使われている。 副変速装置はどちらも機械式なので、足元ペダルを一杯踏み込んでから変速する。HSTに限っては、主変速レバーをニュートラルにしてから変速する。 大型の自脱型コンバインでは、より旋回し易くするためチェンジ・レバーを変えて、旋回時に内側のゴム・クローラを逆回転させるものもある。 方向自動制御装置は、電磁弁で油の流れを変えてクラッチのみを入り切りし、走行方向を微調整する。 過去の記載→第21回:コンバインのオイル交換について 車速自動制御装置 車速(回転)センサや、2番回転センサーなどで作業中のエンジン負荷をマイコンで制御し、車速を自動的に加減速する装置。基本的にHSTに使われる。 作業レバー 脱穀レバーは、ミッションとは関係せず、エンジン側の出力軸プーリと脱穀入力軸プーリにVベルトがかけられ、脱穀レバーと連動したテンション・プーリがこのVベルトを張り脱穀ドラムなどを回転させている。 このVベルトに圧風(トウミ)ファン、フィード・チェーン、排ワラ・チェーン、カッタ刃なども同時に、プーリ、Vベルトなどで連動して作動するようになっている。 メーカー・機種によっては、脱穀ベルトの他に電磁スイッチ、モータなどを使いクラッチを設け作動させるものなどがある。 刈取レバーは、ミッション・ケース側からの刈取出力軸プーリと刈取部本体側からの刈取入力軸プーリにVベルトがかけられ、刈取レバーと連動したテンション・プーリがこのVベルトを張り刈取部本体全てを作動させている。 刈取作業していて走行停止したら、刈取部だけ動作が止まるのは、ミッションから動力を得ているからである。したがって、走行停止時に刈取部を作動させるには、副変速をニュートラルにして走行主変速レバーを前進に入れればよい。 他、メーカー・機種によっては、電磁スイッチ、モータなどを使いクラッチを設け作動させるものや、常時バネの力でクラッチが繋がっていて、刈取レバーを切るとワイヤーでバネを引きクラッチが切れるというものもある。(小型機械) アン・ローダ・レバーも、ミッションとは関係せず、エンジン側の出力軸プーリもしくは、脱穀入力軸プーリとカウンタ入力軸プーリーにVベルトがかけられている。そして、カウンタ出力軸プーリと、アン・ローダ入力軸プーリにもVベルトがかけられ、アン・ローダ・レバーと連動したテンション・プーリがこのVベルトを張りアン・ローダのスクリュを作動させている。 ※カウンタとは、力の向きを変える装置で、ここでは前から後、後から右へ力が伝わるが後から右への部分に該当する。 |
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| 作成日:2007/11 |