猫のしっぽ カエルの手「風のある景色」 2014.04.29

4月初旬。
京都市中心部の桜が満開を迎えてから1週間。
大原の桜がようやく花を咲かせた。
山里の何もかもが春の訪れを喜び謳歌している。
大原へ移り住んで14年。
季節に寄り添い手づくりの暮らしを楽しんでいるベニシアさんにとっても待ちに待った季節がやってきた。
この匂いは一番好きな匂いかな。
気温が0℃近くまで下がる冬の間は縁側に入れておいた鉢植え。
桜が咲いたのを合図に庭へ戻す。
この時期とりあえずは軒の下。
いきなり外出したら多分死ぬかも知れないからでも外の空気が欲しい春だからね。
家の中は暖かいからいいけどやっぱり外。
多分太陽が欲しいと思って。
この季節の日ざしは植物たちにとって最高の贈り物。
おかげでベニシアさんの庭では鮮やかな花たちが次々と咲き始めている。
毎年春の到来を告げてくれる裏庭のシンボルミモザの木。
花言葉は「豊かな感受性」。
築100年の古民家。
ここに夢だったコテージガーデンを6年かけて造り上げたベニシアさん。
庭づくりは植物との共同作業。
季節の移り変わりを敏感に捉え今も少しずつ手を加えている。
今年色もあるんだけどその使い方もアレンジしようと思って。
ここは全部サラダ関係の植物にしたいと思ってハーブと。
もし子どもに「サラダの所に行けばあるよ」って言いやすいと思って。
私も整理できると思って。
前庭の一部を念願のキッチンガーデンにする。
ここに植えたものだけでサラダを作りたいという。
採って。
キンセンカは向こうにあとで持っていきます。
ほんでミツバは残すね。
ミントも残します。
冬は家の掃除だけど春は庭の掃除みたいな所。
庭づくりの基本は土づくり。
これすごいフワフワ。
チョコレートケーキみたい。
これは生ゴミと葉っぱがこうなった。
丹精込めて作った栄養たっぷりの土に苗を植える。
水菜をサラダに入れたらおいしいのね。
これは菊菜。
あっ!庭仕事の最中いつもの訪問者が今年もやってきた。
やっぱり暖かくなったから…。
すごいだけど自然と同じ色になるよね。
冬の間に茶色くなって。
結構目がきれい。
優しい目を持ってるよ。
カエルもいらない虫食べてくれるからたくさん来るほうがいいよね。
生き物たちが集まるベニシアさんの庭。
これから半年日々表情を変えるのが楽しみ。
庭仕事を終えたベニシアさん。
ポカポカ陽気に誘われて散歩に出かけることにした。
一人で歩く大原は春爛漫。
自分も小さな鳥や虫のようになって植物の声に耳を傾ける。
ここすごい!なんかよもぎの畑みたいな感じで。
え!これ全部よもぎ。
すごい!ベニシアさん新しい葉を出したよもぎを摘む。
緑っていう香りがする。
今一番食べる時期でおいしいでしょう。
簡単なものしかしないの。
ケーキに入れたりあとパンケーキに入れたりホットケーキとか。
でもよもぎのもう一つのプレゼントというかマジックっていうか虫が来ないよね。
「季節」という時の流れが与えてくれる自然の恵み。
感謝して頂く。
きょう採ったよもぎでパンケーキを作りたいと思ってます。
春の香りを楽しむおやつ。
息子も孫も家族はこのパンケーキが大好き。
きれいな緑。
水洗いしたよもぎを軽く茹であく抜きする。
ほんで今度茹でたよもぎを冷たい水に。
冷たい水にさらすとよもぎの色がきれいに出るという。
ちょっと水を切るのね。
今度ミキサーに入れます。
ほんで牛乳も。
水切りしたよもぎを牛乳と一緒にミキサーにかけピューレ状にする。
はい。
次にパンケーキの種を作る。
そしたら小麦粉。
こっちはそば粉。
そば粉を入れるのは血の循環をきれいにするの。
ヨーロッパではそばはやっぱりパンケーキとかこういうホットケーキとかそれに入れるものよね。
だから日本に来た時にそばが麺になってびっくりした。
その次はベーキングパウダー。
塩ちょっとね。
と砂糖。
最後に卵。
全ての材料を入れたら軽く混ぜる。
でよもぎを入れます。
この時あまり混ぜすぎないのがふっくらと焼き上げるポイント。
すごいきれいなグリーン。
バターを。
バターを溶かしたフライパンにおたまで種を上から落とすようにして小さめに焼く。
ホットケーキは日本語だね。
向こうはこういうちっちゃいパンケーキかドロップスコーンって言うんですよ。
こっちはドロップスコーンって言うの。
イギリスのおやつの定番ドロップスコーン。
ベニシアさんも子どもの頃おばあちゃんに作ってもらった。
あとは…。
このよもぎで餡こが合うと思って。
豆で出来てるから体にもいいし。
その上にちょっとクリームを。
ちょっと和風にアレンジ。
つぶ餡とクリームを添える。
ちょっと葉っぱ。
最後によもぎの葉で飾りつけ。
ほら出来ました!春の香りが口の中に広がる。
大原では桜が咲くと端午の節句の準備が始まる。
ベニシアさんきょうは孫のジョーくんのためにお出かけ。
楽しみね。
大原の北東。
車でおよそ1時間の所にある滋賀県高島。
美しい棚田が広がる山際にベニシアさんの友人が営む工房がある。
こんにちは!
(福井)は〜い。
あ…。
あ〜やっと来ました。
こんにちは。
寒い中を…。
結構思ったより遠い。
遠かったね。
迎えてくれたのはフラッグアーティストの福井恵子さん。
ベニシアさんとは友人を介して知り合った。
うちも鯉のぼりあるけどその魚が破れてたのね。
なんか面白いのがある。
そう…「鯉が泳いでる」って言うのね日本人は。
うんうん。
それすごいすてき。
きょうは福井さんの指導のもとなんとオリジナルの鯉のぼりを作るという!自由に書いて下さい。
はい。
フリーハンドなので。
はい。
あらかじめ福井さんが下書きしておいてくれた鯉の絵に早速色を塗りはじめるベニシアさんとジョーくん。
そうそうそう。
空に泳いだ時にどんなお魚にしたいかイメージして書いたら…。
熱帯魚とか。
好きな魚いる?サンマ。
フフフ…。
シャープ。
ジョーくん食べたい魚を思いついてしまった。
じょうずじょうず。
そう。
既成概念にとらわれず自由に描くのが福井さんの鯉のぼり。
二人も好きな色を使って思いのままに描いていく。
ふだんは京都市の中心部でアパートに暮らすジョーくん。
だから鯉のぼりを揚げたことがない。
そうそうそうじょうずじょうず。
(福井)はい。
のびのびのび。

(ジョー)オッケー。
オッケー?
(福井)空を見上げる機会が子どもたちも少なくなってるでしょ?あ…。
それはすごく大事なことと思う。
のびのびしていいもんですよね。
それで皆のお願いが…。
いいことやねん。
(福井)うんそのぐらいで。
色を塗り終わったら最後に目を入れる。
ダンダララ〜ン。
緊張。
目を描くのはジョーくんの担当。
できた!うまいうまい。
オッケー。
できた!なんか笑ってるみたい。
(福井)すてきですね。
これ森みたいと思う。
(福井)うん。
こっちが田んぼこっちが水。
こっちが川。
「これは何でしょう?」ジョーみんな聞くよ。
(ジョー)りんご畑。
りんご畑。
あっそうやん!りんご畑にしようか?アハハハ…。
じゃあ完成を楽しみにしてて下さい。
あとは縫製して出来上がり。
ジョーくん自分で作った鯉のぼりが風に泳ぐ日が待ち遠しい。
フラッグアーティストという珍しい仕事をしている福井さん。
風に舞うことで自分の作品は初めて完成するという。
初節句のお祝いの旗ですね。
糊置きで今糊を置いてる所が白く残る部分ですね。
糊で囲った部分を色染めていく部分。
福井さんの旗づくり。
基本は染色と同じ。
初めに染めない部分を糊で埋め乾燥したら張木と呼ばれる道具を使って布を宙に浮かす。
(福井)これも京都ならではの道具なんですよね。
ピーンと生地を張って浮かして描くのはしっかりと裏まで浸透させる方法なのでこういうふうに空間に浮かして染めます。
糊のついていない部分を水性の染料で染めていく。
旗は両面とも表になるのでしっかり染めることが大事なのだ。
福井さんがこうした作品を作るようになったきっかけそれは子ども時代に遡る。
京都で代々続く染め物屋の娘として生まれた福井さん。
小さな頃は両親が働く工房が遊び場だった。
なんかお天気の良い日に躍動感のある布がわ〜っと干し場からはみ出して生き物のように動いてる瞬間っていうのが自分にとってすごく湧き立つというか。
風っていうのは形がない形として見えないけれども布一枚自然の中に放り込むことでそこにウエーブが出来たりへんぽんと翻る中にエネルギーというかエナジーみたいなんを感じ取れることができるのではと。
デザイン学校に進んだ福井さんは風を表現するために鯉のぼりや旗を作ることを思いついた。
福井さんは今企業や個人からのさまざまな依頼に応じている。
更に最近は子どもたちに風を感じてほしいと鯉のぼりのワークショップも始めた。
京都市内に住まいを持つ福井さんがこの山里を工房に選んだのも自然の中で風を感じながら作品を作りたいと思ったからだ。
風っていうのは種を運んで花を咲かせて実を結んで命をつないでいく連鎖していく一つの役割を担ってるしそういうエネルギーを持ってる。
それを感じさせてくれたのもここの風景だと思います。
「権利を主張するような旗ではなく同じ空気の中で皆が生きている。
それを共感できるような象徴として旗を作りたい」福井さんは言う。
染料で染めた後布に定着液をつけ糊を水洗いして落とし最後に布を煮て色を定着させれば出来上がり。
外に出て完成した旗を空に揚げてみる。
旗持ってみる?すると近所の子どもたちが集まってきた。
わ〜すごいすごい!
(子ども)踊ってる。
子どもたちが青空を見上げて声を上げる。
これが福井さんが旗を作る理由。
例えば猫の好きなおうちの猫のデザインの旗が立っていたら通りゆく子どもたちが結構沸いてわ〜っとにぎやかな声を出してコミュニケーションしてる。
そうしてるうちに行き過ぎる人が「この間旗が立ってましたね」ということで全然知らない人同士でもその旗を通して会話が広がっていくようなほのぼのとした町がその旗によって作れるんじゃないかなっていうふうに思ってます。
福井さんの旗が風に揺れる景色。
人の暮らしがそこにある。
3日後ベニシアさんのもとに鯉のぼりが届いた。
早速鯉のぼりを庭に揚げる。
夫の正さんが竹を切りだして竿を作ってくれた。
ちょっと待ってひん曲がった。
ちょっとひん曲げる。
曲がってる?すごい!すごい高いなぁ。
いいですね。
手づくりの鯉のぼりにみんなちょっと興奮。
かっこいい!へぇ〜すごいすごい!ジョー出来たよ。
午後のティータイム。
ベニシアさんジョーくんのためにきょうはよもぎのパンケーキを用意した。
お茶は日本のハーブ。
ドクダミとミントのブレンドティー。
食べましょう。
いただきます。
ふだんはあまり野菜を食べないジョーくん。
でもこのパンケーキは大好き。
おいしい?春に成長する植物のようにたくさん食べて元気に育ってほしい。
孫とともに過ごす時間がいとおしい。
2014/04/29(火) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「風のある景色」[字][再]

春が訪れ、山里が輝く京都大原。ベニシアさん、庭にハーブのサラダガーデンを作り、よもぎを摘んでパンケーキを焼く。友人の工房を訪ね、オリジナルのこいのぼりをつくる。

詳細情報
番組内容
春が訪れて山里が輝く京都・大原。ベニシアさんは温かい春の日がさす庭にサラダ用ハーブを植え、“ハーブのサラダガーデン”を作る。大原を散策し、よもぎを摘む。採ってきたよもぎでおやつ作り。緑が鮮やかなパンケーキができあがる。フラッグアーティストの友人、福井恵子さんの工房では、孫ジョーくんとオリジナルのこいのぼり作りを体験。完成したこいのぼりを夫・正さんと一緒に庭に立てる。色鮮やかなこいのぼりが青空に…。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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