こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日と明日の2日間は今回で19回目を迎えたNHKハート展の入選作品をご紹介します。
NHKハート展は障害のある人が書いた詩にさまざまな分野で活躍する著名人がアート作品を寄せるというまさに心と心のコラボレーションです。
今回の詩の応募総数は4,085編。
その中から50編の詩が入選しています。
ではその入選作品を一緒に味わっていくゲストをご紹介します。
女優そしてタレントとして活躍されています奥山佳恵さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
奥山さんはこのハート展の特集には何度も出演して頂いております。
ありがとうございます。
こちらこそ。
どんな印象がハート展にありますか?いつも作品を見させて頂く度にその言葉がまっすぐで胸にいつもダイレクトに届きます。
温かい気持ちになるしはっとさせられる事がとても多いですね。
じわ〜っと来ますものね。
はい大好きです。
ではその入選作品いくつかご紹介してまいります。
まずはこちらです。
埼玉県の…タイトルは「好き」。
「好きってことばに返事はいらない。
いるとしたら好きの先」。
この詩には写真家の大石芳野さんが作品を寄せて下さいました。
深いですねこの詩は。
ホントですね。
ぐっと来ますよね。
恋愛を経験なさってないとなかなかこの言葉は出てこないんじゃないかなって思います。
(2人)「好きの先」。
何だろう?何をイメージされて書かれたのかな?何かそうやってどんどん想像を膨らませられますよね。
私たちもね。
はい。
恋をしたくなります。
さあ続いての作品見ていきます。
岡山県の…タイトルは「まごころ」。
「おじいちゃんおばあちゃんまごのこころはまごころだよぼくのこころだよ」。
この詩にはタレントの山田まりやさんが作品を寄せて下さいました。
これはきっと料理でしょうね。
3人で仲むつまじいっていう。
ホント仲の良さをすごくこの作品にもこの詩にも感じますよね。
どうですか?「まごころ」という詩は。
こんなすてきな事を言って頂けたらおじいちゃんおばあちゃんホントうれしいでしょうね。
私たちもそう思っててもなかなか素直に言えないところをストレートに表現されていて。
みんなが愛情いっぱいに暮らしているという様子がうかがえます。
さあ続いては今日特にご紹介したい作品です。
大分県の河津実幸さん27歳肢体不自由のある方の作品です。
ではまず詩をご紹介します。
「お願い」。
「『ねがえりをして』『おこして』『手を前にやって』『おしりひっぱって』『足をひっぱって』『トイレにつれて行って』お願いばかりそのくりかえしだけど…お願いしないとなにもできない私お願いすることができた私にできることお願いすることそして感謝すること」。
奥山さんどんな印象がありますか?とてもすてきな詩ですね。
特に最後の「そして感謝すること」。
この一文に何かぐっと来ますしすごく印象的だし。
「感謝すること」ってストレートに表現されるその背景にはどんな生活があるのかな。
とても気になります。
どんな思いをこの詩に込めたんでしょうか。
では河津さんの日常をご覧頂きます。
「お願い」の作者…週に3日デイサービスに通っています。
実幸さんが始めたのは廊下の掃除。
僅かに動く指で電動車椅子を巧みに操り長い廊下を隅々まで磨き上げていきます。
実幸さんは全身の筋力が次第に衰えていく難病先天性筋ジストロフィーを患っています。
体をほとんど動かせないため関節が固まったり凝りによる痛みに襲われたりします。
症状を少しでも和らげるためには定期的なリハビリが不可欠です。
顔の筋肉にもリハビリが必要です。
筋ジストロフィーは進行性の疾患で根本的な治療方法はまだ見つかっていません。
先天性筋ジストロフィーと診断されたのは生後11か月の時。
医師からは実幸さんの命は長くても二十歳くらいまでだろうと告げられました。
役場の福祉担当者からは障害者施設への入所を勧められました。
しかし母親の真由美さんは施設には入所させずできるだけほかの子どもたちと同じように育てていこうと決めました。
実幸さんは地元の小学校に入学。
体に障害があるのはクラスで一人だけでしたが6年間を一緒に過ごす中実幸さんも同級生たちも大きく変わっていきました。
この日は同級生たちとの食事会。
仲良しだった2人の友人は実幸さんが食べられるよう料理を切り分けます。
小学生の頃からやってきた事です。
手伝ってほしい事は遠慮なくお願いし周囲が支える。
そんな関係になれるまでみんなで多くの事を乗り越えてきました。
小学校に通い始めてからも病状は徐々に進行。
6年生の時には食事やトイレなど一人ではできませんでした。
でも同級生たちは実幸さんが甘えているだけだと思いなかなか手伝おうとはしませんでした。
担任の吉武先生は実幸さんは甘えているのではなく病状が進んでいるためにできない事が増えているのだと説明しました。
しかしクラスの雰囲気はなかなか変わりません。
ある日同級生の一人が実幸さんに言いました。
「お前はどうせ16歳で死ぬんだろ」。
実幸さんの中でこらえていた思いが一気にあふれました。
そんな中吉武先生はある企画を思いつきました。
児童たちだけで行動する体験学習です。
福岡市内へ探索に出かけた時同級生たちは気付きました。
誰も知らない場所で階段や段差があった時手助けできるのは自分たちしかいない。
同級生たちはどうすれば実幸さんもみんなと一緒に楽しく過ごせるのか。
自分たちなりに考え答えを見つけていきました。
実幸さんにできない事があればちょっと手助けする。
そんなつきあいがいつの間にか当たり前の事になっていきました。
もう一つ吉武先生が実幸さんに伝えた事がありました。
お願いする事は恥ずかしい事ではない。
感謝の気持ちを素直に伝えればいい。
実幸さんも変わりました。
6年生の時のつらかったけれども大切な経験。
この時から少しずつ実幸さんは自分に自信を持てるようになっていきました。
高校生になると実幸さんはボランティア活動を始めました。
以前から描いていた自分の絵をカレンダーなどにして販売し売り上げを寄付する事にしたのです。
カレンダーは今年で11作目になります。
口コミやインターネットで評判は広がり今年は2,000部の注文がありました。
売り上げを寄付する先の一つが主治医岩里正生さんが行っている海外での支援活動です。
岩里医師はベトナムやタイなどでさまざまな支援に取り組んできました。
カンボジアでは地雷の犠牲者のために義足を作っている施設へ資金援助などを行っていました。
当初実幸さんがどこまで本気か測りかねていた岩里医師ですが自分の分まで歩いてほしいという彼女の思いに気付いていきました。
実幸さんの活動を知り積極的に支援しようという人たちも現れています。
日田市役所では障害福祉係が窓口となってカレンダーを多くの人に紹介し売り上げに協力しています。
こんにちは。
こんにちは。
その実幸さんの詩に寄せて頂いた絵がこちらです。
はいこの絵ですが奥山さんいかがですか?すごく清らかで何か始まったばかりの美しい透明感のある光が印象的だし心が洗われるようですよね。
やわらかな雰囲気を持った絵ですよね。
この絵を描いて下さったのがイラストレーターで絵本作家の永田萠さんです。
どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
どうぞよろしく。
どうぞお座り下さい。
この詩ですが永田さんどんなところに何を感じて表現されたのでしょう?やっぱり作者の方が何を伝えたいか。
その思いをどうくみ取るかが難しかったんですが私は何かすごく今言って頂いたように何か新しい朝。
何かが始まる。
そういう可能性のようなものを受け止めさせて頂いたのでこういう絵柄にしたんですけれども。
始まろうとしている感じですか?はい何かが変わるというか。
実際に実幸さんも寄付をしようとまた新たなスタートを切った訳ですからまさにぴったりだなという感じがしますがこの絵を描いた時点では実幸さんがどんな方かご存じなくて…。
全く。
今実際に初めてご覧になった訳ですがいかがでしたか?もう正直驚きました。
障害があるというのは知ってたんですがあんなふうに積極的にほかの人への感謝も忘れずなおかつ誰かのためにって社会的な活動もされてるとは。
もうホントに夢にも想像していなかったのでホントに感嘆しました。
でも奥山さんつらい思いが小学校の頃にあったというのがベースにあると思うんですが。
ホントですよね。
今VTRで拝見していて多感な小学校高学年という時に実幸さんもそうだし実幸さんの周りにいた友達も多くの事を学ばれましたよね。
それにはやっぱり先生のご指導がとても的確だったのかなと感じました。
当たり前の事なんだよって事を指導されて。
してあげるんじゃなくて当たり前なんだって事。
実幸さん自身も感謝をしていかなければいけないんだっていう事をみんなで考えて道を切り開かれていったのかなと。
とても大きな絆になりましたし。
本当にそうですね。
まだ幼い時期ですからね。
その多感な時期にそういう気付きというかお互いを知るという事はすごく大きな心の成長につながったと思います。
小学生の時に生きるという事をなかなか私たちは考えられなかったんじゃないかなと思うんですよね。
実際今VTRで一緒に食事をしていた同級生の中には准看護師になった。
これは実幸さんの存在があったからすんなりと道を選ぶ事ができたという事もね。
もしかしたら実幸さんがいてくれた事で周りも変わって社会もそして世界も変わっていってるのかもしれないですよね。
ああそうですね。
(永田)ホントにそうですね。
その実幸さんですがカレンダーを作ってその収益金を寄付しているとVTRにありましたがそのカレンダーご覧頂きたいと思います。
1月から12月の中で特に永田さんが印象に残ったのがこの6月という事ですね。
(永田)絵を描くというのは技術テクニックもとても重要なんですが私はそれよりもっと大切な事は何を描くか。
どんなものに目を留めてそこにどんなメッセージを乗せるかという事が大切だと思いますのでこんな石の間から咲く小さな花に目を留める実幸さんの豊かな感受性。
その気付きというものにとても打たれましたので。
(奥山)この小さな命を気付く事ができるその優しさもありますよね。
それはやはり絶えず命について考えてらっしゃるからでしょうね。
(奥山)そしてこの感謝を形に変えたいというその行動力。
すばらしいですよね。
(永田)ホントにそうですよね。
(奥山)実幸さんの心からの感謝をしたいという心の表れなのかなと感じました。
そのカレンダーが今ホントに売れていまして社会に自分が役に立っているんだという気持ちもあるでしょうし。
ホントに生きていく力がたくましい。
生きる力を感じますよね。
永田さんからひと言実幸さんにあるとするとどんな言葉をかけてあげたいですか?私は豊かな感受性というのはこれは天性のもの。
宝物だと思うんです。
ですからそれがいろんな暮らしの中で磨かれてより深くなっていくと思いますのでやっぱりそれを自分自身の最も大切なものとして人にも接して頂きたいしもっともっと絵を描いて頂きたい。
楽しみですね。
すてきな才能を感じますので。
その実幸さんの生活実は新たな展開がありました。
この日実幸さんが訪れたのは日田市内の公民館。
セミナーの講師を頼まれたのです。
実幸さんの話を是非聞きたいと各地から講演依頼が舞い込んできます。
そんな実幸さんを支える人がいます。
地元新聞社の記者…取材で知り合い2人は交際を始めました。
・「ハッピーバースデートゥユー」この日は徹朗さんの誕生日。
実幸さんには伝えたい事がありました。
・「ハッピーバースデートゥユー」
(拍手)
(徹朗)もう一回もう一回。
(笑い声)
(拍手)2014/04/29(火) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV NHKハート展(3)「お願い」[解][字][再]
大分県に住む河津実幸さん(27歳・先天性筋ジストロフィー)の作品「お願い」を、女優・タレントの奥山佳恵さんと、詩のイラストを描いた絵本作家の永田萌さんと味わう。
詳細情報
番組内容
大分県に暮らす河津実幸さん(27歳・先天性筋ジストロフィー)の作品「お願い」を紹介。自力ではほとんど体を動かせない実幸さん。お願いしなければ何もできない—、それでも将来の夢を描こうと歩み続ける自分の思いをつづった詩だ。スタジオには女優・タレントの奥山佳恵さんと、この詩のイラストを描いてくれた絵本作家の永田萌さんを招き、実幸さんが歩んできた人生を振り返りながら、作品「お願い」を味わっていく。
出演者
【出演】奥山佳恵,永田萌,河津実幸,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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