きょうの健康 認知症をくい止めよう「症状にいち早く気づくには」 2014.04.29

(テーマ音楽)知っておきたい健康情報を分かりやすくお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
今週は「認知症をくい止めよう」という事で認知症の最新情報を4日間にわたってお伝えしています。
今日は2日目です。
テーマはこちら。
今日も専門のドクターをお迎えして分かりやすくお話をして頂きます。
ご紹介致しましょう。
神経内科特に認知症の診断・治療リハビリテーションがご専門です。
どうぞ今日もよろしくお願い致します。
「症状にいち早く気づくには」という事でもちろん早く気づきたい訳ですが私もそうなんですけども年齢を重ねるとともに物忘れは増えてくる。
「年相応だから大丈夫ですよ」と言われる事もあり「ひょっとして危ないんじゃないの?」と何か不安になるような事を言われる事もありこれは判断は難しいですよね。
確かに難しいですね。
認知症の症状は長い時間をかけてゆっくり進むのが特徴です。
でも認知症になると生活管理能力が落ちてきます。
なので認知症の初期症状ですね11の質問票にまとめたものを開発しました。
こちらがその11のチェック票質問項目です。
これに答えていく?そうですね。
これは番組のテキストやNHKの健康ホームページにも掲載しますのでどうぞ参考になさって下さい。
それでは1問ごとに見ていきましょう。
まず…興味が薄れ意欲がなくなり趣味活動などをやめてしまった。
さあどうでしょうか?これちょっと何となく気になる項目があったりするので何か怖いですね。
これどれぐらい当てはまるとまずいんでしょうか?3つ以上該当すれば認知症の可能性が疑われます。
ですが実際に認知症で受診される方は6項目ぐらいはついてる方が多いです。
この質問実は誰が答えたかという事がとても大切なポイントになります。
えっ?「誰が」ってどういう事ですか?私がこれを見て「はい」「いいえ」とか自分で自覚して答えましたけど本人ではないっていう事ですか?そうですね。
こちらが同じ質問をご家族に答えて頂いた場合なんですが発症前の状況だとあまりつきませんがだんだん認知症が軽度から中等度に進んでいくと項目数が増えていきます。
ご家族がお答えになる。
これを同時に同じ質問票をご本人にも答えて頂きました。
はいこの色です。
ご本人は発症前はあまり変わらないんですが軽度の認知症ではだいぶご家族よりも低くつまりあまりつけません。
そして中等度になると更に低くなって本人の自覚はむしろ減ってしまうんですね。
これが特徴です。
このように認知症になると病識というんですが自覚が少し悪くなってくる。
やっぱりご家族がその事をよく理解されて関わる事が大切になります。
例えばご本人は自覚がこれしかないつまりほかの事はできると思ってる訳ですね。
ところがご家族はできない事を一生懸命指摘してなんとかしたいと思うんです。
そうやって本人ができると思ってる事を家族が指摘するとやはり不満がたまったりしてそれが場合によっては暴言だとか暴力に結び付く事もあります。
本人の自覚はこんなに低いんだという事を周りは知っておく必要があるという事なんですよね。
そうしますとこういう事はこの認知症に早く気づくためには非常に大事な事だと思いますが周囲の人近くにいる人ご家族や何かが異変に早く気づく事が大事になる訳ですね。
おっしゃるとおりです。
先ほどのパネルをもう一度見て頂きますがこれはあくまでもご家族用のチェックです。
本人がたくさんつけたので心配だというふうには使って頂きたくないと思っております。
むしろ周辺ご家族の方がやってみるチェックシートですね。
こうしたチェックリストのほかにも認知症に早く気づくための何かポイントございましょうか?認知症の原因で一番多いのがアルツハイマー病でした。
実はアルツハイマー病にはアルツハイマー病らしさがあります。
アルツハイマー病らしさ特徴という事でしょうかね。
ではここで突然ですが山口さんが実際に経験された診察室での患者の方とのやり取りを私と2人で再現して頂きます。
濱中さんは何がアルツハイマー病らしさなのかという事をちょっと考えてみて下さい。
ほう〜。
患者の女性が答えてらっしゃる訳ですね。
ではお願いします。
…という事なんですがどうでしょうか?えっこのやり取りでしょう?別にお答えとしては答えてらっしゃるしとんちんかんな事は何もおっしゃってないように思いますけどね。
どうなんでしょう?認知症の方の答えの特徴は具体性がない事です。
具体性?例えば具体的な料理の名前ですとか具体的な事件の内容とかですねそういった事がなくて同じ事とか分からないとか大変上手に取り繕っています。
「料理大したものじゃない」。
例えば「肉じゃがとかカレーとか普通のものですけど大したものじゃありません」と言えば具体的に言ってるという事ですか?はい。
そういう特徴があるんですね。
それから興味がないとか。
「夜は早く寝るから」とかちょっとずれてますよね。
「大きなニュースなかったですか?」って聞いている。
答えになってませんよね。
こういうところもらしさですね。
そうするとこういう特徴を知ってないと答えてはいるから周囲の方も見落とすおそれがありますね。
とても冗談を言ったり巧みなお答えをするのでちょっと意識しないと気づきにくい事があります。
家族や周囲が何か気になる事があった場合はどうしていけばいいんですか?専門の医療機関などを受診する事をお勧めしたいと思います。
どういう所に相談しましょう?まずは必ず地域の中に地域包括支援センターがありますのでそこにご相談下さい。
適当な医療機関を紹介して下さると思います。
もう一つこちらは?それからもう一つ各都道府県には認知症の人と家族の会がありますのでそこに相談すると詳しい情報を把握してると思います。
認知症の場合早く受診する事にどういうメリットがございましょうか?やはり早期から薬をのみ始める事でよい状態をより長く維持できるという事があります。
もう一つは周囲の方がケアのしかたを正しく身につけて早期から対応する事で症状の悪化特にご家族が困るような例えば暴言ですとか暴力ですとかねそういう事が出ないようにうまく対応できる。
そういう意味でよい状態を保てると思います。
ただ家族が勧めても本人は受診したがらないというケースもよくあると聞きますよね。
「私は別におかしくない。
私は別に病院なんか行かない」。
まさにそこも認知症の特徴です。
自覚が少ないという事なんですね。
でもご家族が「物忘れがひどいから病院に行きなさい」という態度だとなかなか行ってくれません。
でもお子さんたちが例えば「今の生活をずっと続けたいでしょ?それには早くからお薬をもらった方がいいようですよ」とか。
「お父さんの事心配だから是非行って下さい」というようにお願いしたりすると「しかたないお前のためなら行ってやる」とか言って受診につながったりします。
そういうふうにご本人の尊厳を守りながらうまく対応していくという事が必要かと思います。
それから無理にご本人連れていかなくてもまずは家族だけで病院に行ってどうやったらうまく病院に連れてこられるかをご相談されてもよいと思います。
家族だけでご相談もできるという事ですね。
先ほどのチェックシートですけれども家族がお答えになる方がより正確だというお話もございましたがしかし本人が実は人には言わないけど非常に不安になってて自覚があるという事もあるんじゃないですか?おっしゃるとおりたくさんつける方の中にはちょっとうつの傾向があったり心配性の方がいらっしゃいます。
それとまだ認知症ではなくてまだ一歩手前の段階ですね。
そういう方が自分で心配になって受診される方もいらっしゃいます。
認知症の予備群の状態ですね。
予備群という状態があるんですね。
こちらの図で見てみましょう。
昨日ご紹介した認知症の原因となるアルツハイマー病の経過を表したものですね。
アルツハイマー病というのはアミロイドβとタウという物質が長い時間をかけて脳にたまる事で認知機能障害が起こってやがて日常生活に支障を来しますと発症という事になります。
その発症の少し前に認知機能障害が出始めているという段階がありますがこれが予備群という事なんですね。
この辺ですね。
正常と認知症の中間の所ですね。
軽度認知障害MCIといいます。
もしその人が1人暮らしをしていれば管理能力が落ちて1人暮らしが困難な状況になったら認知症なんですが物忘れがあってもまだ1人暮らしがやっていけるという程度のレベルの方がMCIという事になります。
この段階MCIの方はどれぐらいの頻度でいらっしゃるんでしょうか?日本全国ではおおむね400万人がMCIといわれています。
高齢者65歳以上の高齢者のおおむね8人に1人ぐらいがMCIという事になります。
MCIですといずれ時間がたてば認知症を発症すると考えなきゃいけないんですか?そういう方も多いんですが必ずしも発症するとは限りません。
そのままの状態で維持される方。
それから中には正常に回復される方もいらっしゃいます。
これは大きな違いですが何が分かれ道になるんでしょうか?残念ながら詳しくはまだ分かっていません。
ですが認知症になりにくいライフスタイルが分かっていますので是非それを心掛けて頂きたいと思います。
認知症に関係するライフスタイル昨日やりましたね。
もう一度見てみましょう。
まずリスクとなるものが…そして予防によいものとしては…これ重要なポイントでしたね。
もう一度押さえて頂けますか。
今日はチェックリストをお示ししましたが中には自分がたくさんついて心配だという方いらっしゃるかもしれませんが心配をしているとむしろそれがストレスになって認知症になりやすくなってしまいます。
あまり心配しないでなるべく人と交わって楽しくコミュニケーションをとる事が予防にはよいと思います。
それから一番エビデンスがあるつまり根拠がはっきりしているのが運動の効果ですね。
体をしっかり動かす事ですね。
「もう運動した方がいいよ」「うんどうして?」なんて聞かないで楽しく体動かして頂きたいと思います。
動かしましょうねとにかくね。
運動特にMCIの段階から記憶力を改善する運動についてはあさって木曜日にお伝えします。
今日いろいろ大事な事も伺いましたが認知症早く気づくためには周囲のご家族の方などが早く気づく事も大事だという事でしたね。
やはり必要以上に病気を恐れないで早めに受診をする。
そのためには周囲の方が早めに気づく事が大切だと思います。
そうやってなるべくよい状態を維持して頂きたいなと思っております。
ご家族だけでも専門の医療機関に相談も可能だという事でしたからね。
お話どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
そして明日は「悪化を防ぐ」という事で薬やケアそしてリハビリについてお伝えしていきます。
明日も是非ご覧下さい。
では明日のお話もどうぞよろしくお願い致します。
ありがとうございました。
2014/04/29(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 認知症をくい止めよう「症状にいち早く気づくには」[解][字]

「もの忘れ」は年とともに増える。認知症によるものなのか、早期に発見して治療を始めることが必要。どんな症状に心当たりがあるか、本人、家族、周囲が気付くのが大切。

詳細情報
番組内容
「もの忘れ」は年とともに増える。認知症によるものなのか、早期に発見して治療を始めることが必要。どんな症状に心当たりがあるか、本人、家族、周囲が気付くのが大切。「初期の認知症に気付く」11項目の質問票を紹介する。(「NHK健康ホームページ」にも掲載予定)誰がそれに答えたのかも重要になる。もし“認知症かもしれない”と思ったら、最寄りの「地域包括支援センター」や都道府県にある「家族の会」などに相談する。
出演者
【講師】群馬大学教授…山口晴保,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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