くらし☆解説「消費増税で物価は?」 2014.04.30

生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
あすで消費税率が8%に上がってから1か月です。
きょうはこちらのテーマです。
担当は今井純子解説委員です。
先週、東京の4月の消費者物価指数が発表されましたけれども物価、上がりましたね。
上がりましたね。
東京都消費者物価指数というのは消費税率が上がったあとの最初のまとまった物価の統計というなるため、大変注目されていたんです。
どうなったかといいますとこちらです。
1年前の同じ月と比べまして税込みの価格の推移ですが2.7%上がりました。
高いですね。
22年ぶりの高い上昇率だったんです。
消費税率が上がったのは3%分増税されましたけれども税込みで2.7%上がったって、3%にならないですね。
確かに増税分は3%分なんですけれども家賃とか学校の授業料などもともと消費税がかかっていないものやサービスがあって、これも消費者物価を出すときの対象には含まれて、その分数字が下がるということです。
また電気やガスこうしたものは原則5月分から増税になるんです。
このため、4月の消費者物価ということで見ると3%分の増税分がすべて転嫁されたとしてそれによる物価の上昇は1.7%分というのが日銀の見解なんです。
3%税率が上がった分の影響は1.7%の部分だけですか。
残りの1%2.7%になるための1.0%は便乗値上げですか。
そうとも言えません。
このところ円安などの影響で物価というのは、上がる傾向にありました。
例えば、増税前の3月の東京の消費者物価を見ると前の年と比べて、ちょうど1%上がっているんです。
ですから、この4月の2.7%という数字は全体としては先月の物価上昇分に増税分だけそのままフルに上乗せされたと見ることができるんです。
増税分よりも値上がりしているわけではないと。
全体として見ると増税分より大きく値上がりしているわけでも、また逆に増税分が転嫁できずにいるわけでもないそういった数字なんです。
ただ、内訳を見ますとばらつきはあります。
例えば値上がりが目立つものこうしたものがあります。
洗濯用洗剤やキッチンペーパートイレットペーパー日用品で大きく値上がりしたものが目立っているんです。
この数字は、1年前と比べた価格の推移です。
いずれも3月の価格と比べても値上がり幅が大きくて増税分以上に値上がりしているということがうかがえるものです。
これは、さすがに便乗値上げなんじゃないですか。
そう疑いたくなるんですが必ずしもそうとは言えません。
例えば原材料のパルプや小麦こうした輸入価格が上がっていた分、あるいは人件費が上がった分これを消費増税にあわせて転嫁したというケースもあるんです。
例えばヘアカットの全国チェーンそこで、3月までは税込みで1000円でヘアカットしていたところが4月の消費増税にあわせて1080円8%値上げしたところもあります。
これも聞いてみると人件費が上がってきた分これからサービスを強化していく分、そうしたものを増税にあわせて転嫁したということで、こうしたケースの場合は必ずしも便乗値上げとは言えないというのが消費者庁の見解です。
一方で値下がりしたものはあるんですか。
例えばこちらは値下がりしているあるいは値上がりが鈍化したものの一例です。
例えば電子レンジ1年前と比べると値上がりはしているんですけれども、3月と比べてみますと12%余り値下がりしているんです。
特に、こうした家電製品の場合増税前の3月に駆け込みで買い求めるお客さんがたくさんいたその結果4月に入ってお客さんが来なくなってこうした値下げをしないと売れないそういう店も増えていて影響が出ていると言えると思います。
今回は東京の消費者物価指数でしたが全国になるとどうなんでしょうか。
全国の4月の消費者物価指数は来月の後半に発表されます。
このところの統計の傾向を見てみますと全国の消費者物価指数は東京と比べて0.4から0.7%程度高い数字が出ているんです。
それを踏まえると全国の4月の消費者物価指数、3%台に乗りそうだというのが多くの経済の専門家の予想です。
5月は、さらに上がると見られています。
5月の消費者物価は3%台半ばに近づくというのが専門家の見方です。
なぜ5月はもっと上がるんですか。
先ほども触れましたが電気やガスの料金に5月分から消費増税が乗っかってくるからです。
東京、中部、関西の電気の使用量が平均的な家庭の5月の電力料金です。
4月と比べてこれだけ上がるということです。
大幅に上がりますね。
というのも、5月分は消費増税分だけでなくて燃料の輸入価格が上がっている分や再生エネルギーの買い取り制度に伴う家庭の負担が増加する分が加わるんです。
さらに中部の場合は原発が止まっていることによる本体価格の値上げも加わります。
こうしたことで全国の電力会社10社そして大手都市ガス4社の5月の料金はいずれもこれまでで最も高くなるんです。
6月もさらに上がるところもあります。
これは家計にとってはきついですね。
増税後、スーパーに行くと税抜き価格、本体価格で表示されている店が多くてレジに行くとこんなにするのと価格に驚くことも多いんです。
私も一消費者として考えると買い物に行くと値段が上がったなとできるだけよけいなものは買わないようにしようと思うんですがちょっと一歩引いて思い出してみると政府日銀は今年度の末をめどに増税分を除いた物価を2%に持っていくというのを目標にしています。
長年続いてきたデフレをそれによって脱却したいというねらいがあるからです。
2%、増税分を合わせると4%程度になるわけです。
そこに向けてと見てみると順調に目標に向かって動いているという数字と言えると思います。
ただこれは生活する側から見ると非常に厳しいですね。
厳しいですよね。
物価が上がって、それで経済が好調に推移していくためには、やはり収入も増えていかないといけない、それが決定的に大事だと思います。
そこはどうなっているんでしょうか。
兆しはあります。
こちらは、ことしの春闘の全体の賃金引き上げ率です。
年齢や勤続年数に応じて上がる仕組みの定期昇給と月給全体の底上げつまりベースアップを合わせた数字2.14%例年1.8%程度このところでしたので、それよりは高めです。
それでも物価の上昇分には追いついていないんです。
もっと収入も増えてくれないと困りますね。
生活費の重みそれを感じるにつれて、節約の動きが広がっていくと景気回復の足を引っ張りかねませんよね。
このところ企業の昨年度の決算の発表が相次いでいるんですけれども輸出企業だけでなくて幅広い業種で過去最高益をあげた企業が相次いでいるんです。
好調なんです。
4月からの今年度消費増税という壁がありますけれども、それを乗り越えて多くの企業が売り上げも利益も増えるという見通しを示しているんです。
一方、好景気が続いているということで人手不足が強まってきてなかなか必要な人材が集まらないという声も強まっています。
それだけに余裕のある企業はぜひ優秀な人材を集めるためにも継続的に賃金やボーナスを上げる努力をしてほしいと思います。
それによって、物価と賃金が順繰りに緩やかに上がっていくそうした、よい経済の循環の流れというものに、つなげていってほしいなと思います。
今井純子解説委員でした。
さて、先週金曜日のこの時間高速道路の渋滞対策を取り上げた際に東名高速道路とするところを中央高速道路とお伝えした箇所がありました。
失礼しました。
次回は水野倫之解説委員と共にお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。

(テーマ音楽)2014/04/30(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「消費増税で物価は?」[字]

NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢

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出演者
【出演】NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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