(はな)どうしてですか?どうして舞台の主役なんか引き受けたんですか!
(蓮子)復讐したい人がいるの。
はなさん。
私の復讐につきあって下さらない?回想うちの者たちは私をやっかい払いするためにここの寄宿舎に入れたんです。
あの人たちの思いどおりになってたまるかとつまり復讐してやろうと思ったんです。
復讐ってもしかして蓮子さんのおうちの方たちにですか?はなは彼女の秘密に一歩踏み込んでしまったようです。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」復讐ってもしかして蓮子さんのおうちの方たちにですか?ええ。
私家の者たちを憎んでいますの。
回想
(葉山)これ以上葉山の家の名をおとしめるな。
私をこの学校に入れたのは体のいい幽閉なんです。
幽閉?「世間へ出て顔をさらすな。
知り合いとも連絡を取るな」。
そういう事よ。
なぜそんな事を…。
出戻りの私は葉山家の恥さらしだからよ。
そんな…。
私にはあなたのお父様のように思ってくれる家族は一人もいないの。
回想
(吉平)申し訳ありません!それどころか私の存在を世間から消そうとしてるのよ。
だから私がここにいる事をおおっぴらにしてあの人たちが一番大事にしてる世間体をぶち壊してやりたいの。
そのために舞台の主役を?ええ。
だったらなおの事舞台のお稽古一生懸命やりましょうよ。
私はここにいるっていう事を世間の人たちに大きな声で叫びたいんですよね?どうせ舞台に立つなら思いっきりやって喝采浴びた方がいいじゃないですか。
みんなこの舞台に懸けてるんです。
この大文学会が終わったら学校をやめてお嫁に行く人もいます。
みんなで一つになって最高の思い出を作ろうとしているんです。
悪いけれどお芝居が成功しようと失敗しようとそんな事どうでもいいんです。
何でそんなひねくれてんのかな…。
今何て?あっえっ…すいません。
そりゃあひねくれてますよ!私はあなたたちより8つも年増なんですから。
年増?あなたみたいにまっすぐ単純になんかなれっこないでしょう!でも…単純になった方がきっと楽しいですよ!とにかく復讐の事は脇に置いて「ロミオとジュリエット」を成功させましょう。
もう結構!子どもじみたお説教はうんざりです!ジュリエット役の蓮子様は完全にへそを曲げてしまいそれ以降稽古に来なくなってしまいました。
はなの説得は逆効果だったようですねえ。
(畠山)じゃあ始めます。
第三幕四場キャピュレット家の庭園後半から。
(醍醐)「私はそなたのいとこチッバルトを殺しキャピュレットの家の者たちから追われる身。
この国のどこにも逃げるとこなどありはしない」。
すごいわ醍醐さん。
もうセリフ全部覚えたの?葉山様は相変わらずいらっしゃらないわね。
私のせいです…。
えっ?私がひどい事言ったから…。
(茂木)はなさん何を言ったの?蓮子さんの事ひねくれてるとかいろいろ…。
どうしよう。
あの…本当にごめんなさい。
はなさんが謝る事ないわ。
お稽古に来ない人が悪いんですもの。
はなさんは後半の脚本を急いで書き上げて。
はい。
じゃあもう一度同じところから。
(一同)はい。
大文学会は2週間後に迫っていました。
本当に間に合うのでしょうか?
(武)おい。
こらちっと待てし。
そのころ吉太郎は一大決心をしてある所へ向かっておりました。
(武)おい!聞いてるだか?
(徳丸)連隊長殿さあ。
さあ。
(県知事)いや〜徳丸君は甲府一の大地主で生糸の商売も手広くやっておるです。
(連隊長)そうですか。
これをご縁にひとつよろしくご指導お願えします。
いえこちらこそ。
これは…。
甲州のブドウ酒でごぜえます。
はあ〜。
東京の司令部で出されるものよりはるかにうまい。
陸軍さんでもブドウ酒を?将兵の滋養強壮それと何より士気を高めるのに役立ちますからな。
なるほど。
・困るですちゃあお引き取りになって下さい!
(吉太郎)失礼しやす!吉太郎!武!おめえら何をしに来ただ!連隊長様おらを軍隊に入れておくんなって!何を言うとるだ!武どういうこんだ!今日おやじが連隊長様のために一席設ける話をしたらこいつが会わせろっちゅうて聞かんだよ。
お願えでごいす!おらを軍隊に入れておくんなって!こら!無礼もんめが!お前はいくつになるのか。
17でごいす。
(連隊長)家族は?両親と祖父妹が3人おりやす。
ご両親はお前が志願する事に賛成か?ほれは…。
連隊長殿誠に申し訳ございやせん。
この吉太郎はうちの小作のせがれでやして。
後でよく言って聞かせやすんで今日の失礼は何とぞお許し下せえませ!吉太郎君。
17歳にしてお国へご奉公を願い出るとは実に見上げた心掛けである。
ありがとうごぜえやす!
(連隊長)だが今は長男として家を守りご両親に尽くすのが第一の務めだろうが。
ふんでも…。
(連隊長)二十歳の徴兵検査を待っても決して遅くはない。
まずは親孝行に励みなさい。
分かったかな?はい…。
一方おとうの吉平は…。
(浅野)それで各地の農村の手応えはどうでしたか?社会主義への期待をひしひしと感じています。
この男は新潟のまんじゅう売りですが先生の本を読んでいたく感動し伝道行商の仲間にしてくれと。
そうですか。
(山田)正直本の中身は難しくてよく分かんねえけど吉平さんの後ついて歩いてます。
私たちの闘いは始まったばかりです。
では乾杯!正反対の方向に進む父と息子。
親子なのに皮肉なものですねえ。
(茂木)富山先生。
蓮子さんは稽古に現れずはなさんの脚本もまだ完成してません。
このままでは大文学会の公演も危ぶまれます。
富山先生も稽古場にいらして生徒たちを指導して下さい。
お願いします。
(富山)いえ私は…。
あの方の事をまだ引きずってらっしゃるんですか?はなさん。
ちょっと代役を頼んでもいい?はい。
(醍醐)「おおいとしいジュリエット。
夜が明ける。
私は身を隠さねばならない。
ジュリエットしばしの別れだ」。
「ロミオ様。
どうしたら私たちは運命に打ち勝ち永遠の愛を手にする事ができるのでしょう」。
(醍醐)「少し待ってほしい。
まずは今日のこの幸福を神父に報告するまで」。
富山先生は「ロミオとジュリエット」のお芝居に何かつらい思い出があるのでしょうか。
出来た〜!あ…。
どうしたんですか?こんな朝早く。
何だか目が覚めて。
この間は出過ぎた事を言ってすいませんでした。
待って下さい。
このままだとジュリエットの役降ろされますよ。
舞台に立てなくなってもいいんですか?いいえ。
じゃあこれ読んで下さい。
徹夜で書き上げた脚本です。
私なりに脚色を加えました。
これを読んでやるかどうか決めて下さい。
まるで挑戦状のように「ロミオとジュリエット」の脚本を突きつけたはなでした。
ごきげんよう。
さようなら。
2014/04/30(水) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(27)「波乱の大文学会」[解][字][デ][再]
なぜ主役を引き受けたのかと問うはな(吉高由里子)に蓮子(仲間由紀恵)は「家の者に復讐(しゅう)するため」と答え「私の復讐につきあってくださらない?」と呼びかける
詳細情報
番組内容
なぜ主役を引き受けのたかと問うはな(吉高由里子)に蓮子(仲間由紀恵)は「家の者に復しゅうするため」と答え、「私の復しゅうにつきあってくださらない?」と呼びかける。はなは取り合わず、とにかく一生けん命稽古して成功させよう、と説得するが蓮子はへそを曲げてしまう。蓮子がまったく稽古に来なくなり、ますます途方にくれるはなたち。一方甲府では、軍隊入りを強く望む吉太郎(賀来賢人)が、あるところへ向かっていた…
出演者
【出演】吉高由里子,仲間由紀恵,伊原剛志,賀来賢人,カンニング竹山,ともさかりえ,浅田美代子,高梨臨,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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