ハートネットTV NHKハート展(4)「バッタのかんさつ」 2014.04.30

こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日は昨日に引き続き第19回NHKハート展の入選作品をご紹介します。
NHKハート展は障害のある人が書いた詩にさまざまな分野で活躍する著名人がアート作品を寄せるというまさに心と心のコラボレーションです。
では早速ゲストご紹介します。
女優タレントの奥山佳恵さんです。
(2人)よろしくお願いします。
昨日は27歳の女性を紹介しましたけどもいかがでしたか?感謝の気持ちから生まれる行動力。
すばらしいなって思いました。
最後はプロポーズもしてましたからね。
ホント。
何か涙あふれましたよね。
胸が温かくなりました。
はい。
さあ今日はどんな作品と出会えるんでしょうか。
いくつかご紹介してまいります。
最初の作品はこちらです。
まずは福岡県の杉本忠幸さん。
知的障害のある方の作品です。
タイトルは「くらげ」。
…という味わい深い作品。
何か海の底でじ〜っと待つという時間を食べながら過ごしているくらげの様子がうかがえますよね。
ホント食べてるのかもしれない。
実際に…。
くらげの身になって書いた作品でゆったりとした時間が感じられますよね。
この詩には画家の川口起美雄さんが作品を寄せて下さいました。
こちらの絵です。
ホントまさにすばらしいコラボですよね。
海の底でじっとしている。
あっ!そしてくらげの真ん中…。
ねっ?ハートが…。
ハートがある!あるんですよね。
どんな事を思ってこのくらげはじっと海を食べてるんでしょうね。
くらげにも気持ちがあるという事を訴えたかったのかもしれません。
さあ続いての作品はこちらです。
福島県の太田友美さん肢体不自由のある方の作品です。
タイトルは「私の手」。
この作品には作曲家の青島広志さんが絵を寄せて下さいました。
こちらの絵です。
青島さんも実は事故で左手の中指の腱を切ってしまって太田さんと同じ気持ちだったそうです。
「でもピアノはひきますよ」と。
これも太田さんと同じですけどもね。
そういうメッセージを頂きました。
これ見るとこのハートの形が楽譜になっているんですよね。
音符も描かれてたからこれもしかしたら曲になってるのかもしれない。
どんな曲になっているのか…。
聴きたいですね。
是非ね。
ああホントだ…。
かわいらしい作品です。
さあそして今日特にご紹介するのは東京都の視覚に障害のある大谷春登くん8歳の作品です。
ではまずこちらの詩からご紹介します。
…というホント感性あふれる詩ですよね。
ホントまっすぐな心をそのまま感じますね。
初めて触って「はりみたい」。
そして「ひょんととんでいくんだね」って春登くんの思いがそのまま詰まってます。
好奇心豊かな男の子なんでしょうね。
ではその春登くん日常どんな様子なんでしょうか。
取材しました。
ご覧下さい。
東京都葛飾区。
今回の主人公はこの町で暮らしています。
春登くんおはようございます。
入選作「バッタのかんさつ」を書いた…葛飾盲学校に通う小学2年生です。
・「めざましじゃんけんじゃ〜んけ〜ん」春登くんは病気が原因でほぼ視力がありません。
この日の朝担任の田邊先生はみんなを校庭に連れ出しました。
気温は2度。
目の見えない春登くんたちに冬を感じ取ってもらうためです。
見つけたのはこの冬初めて校庭に張った氷。
(田邊)気を付けてよ!すべるから!手で触って体で覚える。
そうする事で春登くんたちの世界が広がっていくのです。
芝生を歩いてみるとそこには霜柱が立っていました。
ざくざく。
2006年に生まれた春登くん。
とても元気な男の子でした。
両親が異変に気付いたのは1歳半の頃。
瞳の色が違っていたため病院に行ったところ目のがんである網膜芽細胞腫と診断されました。
入退院を繰り返しましたが網膜剥離も起こし4歳の頃にはほぼ視力を失いました。
春登くんは両親も驚くほどの好奇心で感覚や音を頼りに物事を認識していきました。
買ってもらったミニカーは全て細かく特徴を知り尽くしています。
(取材者)すごいね!その微妙な音…。
全然分からないよ。
ドホホホ〜ン!音と手の感覚で世界を広げていく春登くん。
その探究心は小学生になってますます旺盛になりました。
大好きな授業は体育。
思いっきり体を動かせる機会が少ないので楽しみにしています。
この日の授業は今年に入ってから始めた大縄跳び。
まずは縄が回るリズムを音でつかんでいきます。
せ〜の!1回2回…。
リズムを感じ取った春登くん。
あっという間に跳ぶコツをつかみ得意種目にしました。
293031323334…。
4647…ああ!惜しい!
(先生たち)すご〜い!春登くんたちの世界をもっと広げていくためには1人で出かけられるようになる事も重要です。
まずはこれから歩く道のイメージをつかむため立体の地図を使って予習。
大切なのは地図を正しい向きで置く事です。
視覚に障害のある人にとって方角を正確に把握する事はとても重要です。
東西南北をしっかり体で覚えれば歩く方向を間違う事も少なくなります。
白杖の使い方にも気を付けなければいけない事があります。
白杖は手首で振るのが基本。
こんなふうに大きく腕を振っていると危険な事もあるのです。
手をおなかの前で固定し手首で白杖を振っていれば障害物があっても手で防ぐ事ができるのです。
いよいよ出発。
点字ブロックに沿って歩きます。
点字ブロックは2種類あります。
こちらは誘導ブロック。
歩く方向を示し安全に誘導するためのものです。
そしてもう一つの点字ブロックが…こちら。
(工藤)こっちの方が点字っぽいよね。
自分が今どこを歩いているのかを把握する事も大切です。
春登くんたちは道端にあるさまざまなものからそのヒントをつかみます。
(自動販売機の音)この道を授業で歩くのは初めて。
交差点の警告ブロックです。
発見は楽しさにつながりまた次の興味がどんどんわいていきます。
入選作「バッタのかんさつ」はそんな毎日から生まれました。
きっかけは去年の夏。
みんなで公園に行った時友達がバッタを捕まえました。
その時触った足の感触がとても印象的でした。
(取材者)針触った事あったの?でもそれを思い出したの?うん。
結構危ない。
うん。
刺さると痛いし血が出るよ。
また氷に触ってみたくてしかたなかった春登くんたち。
水を入れたバケツをベランダに出し氷が張っているか楽しみにしていました。
(田邊)どう?どこかに氷はないのかな?春登くんたちは田邊先生と一緒に外に出てみる事にしました。
はい行きましょう。
もう授業始まってるから静かに。
西階段から行きましょうね。
(田邊)どう?ああ〜っ!ハハハ…!冷た〜い!
(春登)深い?
(田邊)深いね。
氷を見つけたあと春登くんある事に気付きました。
すごいね。
そのとおり。
春登くん歩行の授業で習った東西南北をしっかり覚えていました。
今日もまた新しい発見をした春登くん。
知りたい事ややってみたい事はまだまだたくさん。
毎日が輝きにあふれています。
自分で行けた?頑張って〜!はい。
というエネルギーあふれる…。
本当。
好奇心いっぱいでね…。
すごい。
氷を初めて素手で割った時の…。
いい顔してましたね春登くん。
「キャ〜!」と歓声上げてね。
そうですよね。
一つ一つの体験…素手で触って冷たいとか氷の上を靴で乗って滑るとかその体験でどんどん春登くん自身が成長につながっているんですね。
視覚に障害はありますけどもね。
さまざまな感覚を使って…。
私たちはできないと思います。
例えば縄跳び…大縄でもその場で何回もジャンプするって結構簡単そうに見えて難しいと思うんですよね。
感覚が研ぎ澄まされてますよね。
それから歩いていて暖かさを感じたというシーンもありましたよね。
私たちがどうしても気付けないところを春登くんの方がずっと気付いてる気がします。
自動販売機の音がするとか日ざしが暖かいからこちらは東だとか…。
ホントすごいな〜と思います。
賢い子でもありますよね。
とっても…。
何かまだまだいろんな事を知りたいっていう気持ちがたくさんあって…。
ホント何か私たちには欠けてるような…。
どうしても視覚に頼ってる部分ありますからね。
それは親御さんの教育方針とかもあるんですか?お父さんなんですけども「興味のある事はよほど危ない事以外は経験させる」というそういうポリシーを持っていると…。
例えば歩いていて側溝があってもよほど深い溝でない限りは落ちてもいいと。
そこで学べる事がある。
「あっ危ないんだ」って。
そういう事を知ってもらいたいっていう。
でもそれは親としてとても大変な事でもあるなという…。
つい言ってしまいますよね。
やっぱり手も出るし「危ないよ!」って言ってしまうけどもそこをあえて抑えるというのは親御さんの心ですよね。
親心ですよね。
それでもいろんな事を経験させたいって。
そこから学ぶ事があるという。
あとはその思いもあるし春登くんの「知りたい」という気持ちがあるからどんどん外に出ていけるんですね。
私が感じたのは春登くんがいつ私が住んでる町に遊びに来てもいいようにストレスなくどんどん世の中に出ていけるように今日からちょっと点字ブロック私はちょっと意識していこうかなと思います。
私がちょっと意識するだけで自転車をそこに止めないとかちょっとした事かもしれないけど春登くんが外に遊びに出かけやすくなるんだったらその自由につながっていけるんだったらどんどん協力していきたいです。
確かにふだん私たちなかなか気付かないところですけれどもね。
意識しなくてはいけないなというところですね。
そしてその春登くんの詩に絵を寄せてくれた方が日本画家の田渕俊夫さんです。
こちらの…奥山さんの今左側にある作品ですけれどもこちらの絵バッタがこういうふうに描かれてありますけれどもどんな印象ありますか?バッタがよく見ると3匹…1匹じゃないですね。
上に1…2…3と。
どんどん大きくなって。
あっ!これがひょんととんでいく感じという表現なんですかね。
ホントに躍動感を感じる絵ですけれどもさあこの絵を描いた田渕さんどんな思いを込めたんでしょうか。
取材しました。
田渕さんの作品の多くは植物がモチーフとなっています。
精緻な線描と淡い色彩が印象的です。
現在田渕さんは奈良の薬師寺に新しく建立される食堂の本尊を制作中。
日本画の大家である田渕さんは春登くんの詩から何を感じどんな事をひらめいたのでしょうか。
こちらは田渕さんが40年前に描いたスケッチ。
今回の作品はここから生まれました。
田渕さんはこのバッタの拡大コピーをいくつか重ね構図を練っていきました。
完成した作品には3匹のバッタが描かれました。
…というトリプルイメージというね。
ダブルではないって。
だから躍動感というか「ひょん」という感じがきっと表れてるんですね。
そうですね。
いろんな事をイメージしながら絵に表した…。
日本画家の第一人者の方ですからね。
ホントに躍動感あふれる絵でしたけれども「バッタの立場に立っても」というようなコメントもありましたね。
確かにバッタも驚きますよね。
足を触られて…。
そうかそうか。
バッタとそれから春登くんの気持ちがこの絵に加わってるんですね。
この絵春登くんはどんな気持ちで見たのかなと聞いてみたいですけれども…。
春登くんも視覚に障害があってハンディはありますけどもいろんな感覚を使っていろんな体験を通してこれから成長していく。
これから楽しみですよね。
ホントどんどんいろんな事をこれからも体験してそれから体感して豊かな世界観がますます広がっていけるように。
ホントに楽しみですね。
将来がね。
私たちも知らない事をいろいろ教えてくれそうな気がしますもんね。
昨日と今日NHKハート展の作品をご紹介してまいりました。
こういう作品を通して障害のある方が今どんな境遇に置かれているのかという事をちょっと日常の様子もこういうふうに取材しましたがホント私たちがいろいろ気付かされる部分ってあると思うんですよ。
ホントにそう思います。
私もこのハート展をきっかけにさまざまな方の世界観に触れる事ができて多くの事を学ばせてもらえますよね。
おかげで私の世界観も広がる事ができてとてもいいなと思います。
更に障害のあるなしに関係なくホントに一緒に社会に生きてるんだという事を感じますもんね。
みんなで同じ時代を同じ時を生きてるんだっていう事を再認識させてもらえますよね。
はい。
NHKハート展の作品これからも放送していきます。
どうぞ次回もご覧下さい。
奥山佳恵さんでした。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/04/30(水) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV NHKハート展(4)「バッタのかんさつ」[解][字][再]

葛飾区に住む大谷春登くん(8・視覚障害)の作品「バッタのかんさつ」。好奇心旺盛な春登くんの新たな発見にあふれた毎日を、女優・タレントの奥山佳恵さんとみていく。

詳細情報
番組内容
葛飾区に暮らす小学2年生・大谷春登くん(8)の作品を紹介。病気で4歳の時に両目の視力をほぼ失った春登くん。興味を持ったことは何でもやらせようという父親の下、好奇心旺盛な少年に育っている。盲学校の授業でつづった詩「バッタのかんさつ」は、初めて触ったバッタの足がとても細かったことへの驚きが素直につづられている。毎日が発見に満ちあふれる春登くんの日常を紹介し、女優・タレントの奥山佳恵さんと作品を味わう。
出演者
【出演】奥山佳恵,大谷春登,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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