(愛美・繁郎)ああ…。
(愛美)私繁郎さんの子だったら産んでもいいな。
(愛美)産みたくなっちゃった。
あなたの赤ちゃん。
(峻)伯父さんいるの?
(峻)母さん?何やってるんだよ?こんなとこで。
あんたこそどうして?
(峻)捜してたんだ。
母さんを。
話しておきたいことがあったから。
(愛美)話?もういい!峻。
待ちなさい。
峻!
(聖美)《移植できるの?陽にもその臍帯血を》
(弘明)《しかも臍帯血の場合HLAが完全に一致しなくてもいいという利点がある》《どんな形であれ愛美さんが赤ん坊を産めばまず確実に移植可能です》《しかも生まれてすぐに処置ができますからね》《骨髄移植のようにドナーベビーの成長を待つ必要もない》《生まれてすぐに?》・
(足音)
(愛美)ああ。
ちょっと待ってって。
話って何よ?
(峻)無駄だって分かった。
母さんには何を言っても。
どうしたの?2人とも。
何があったの?母さんが伯父さんを誘惑してた。
誘惑?寝てる伯父さんにキスしようとしてた。
これ以上この家の人に迷惑掛けないで。
ずうずうしくずかずかとみんなの気持ちを踏み荒らすようなことしないでよ。
僕はそれを母さんに言いたかったんだ。
愛美。
あんた。
どういうこと?誘惑って。
何で繁郎さんにそんなちょっかいを?酔っぱらってふざけただけ。
だいたい峻のやつが大げさに言うから。
酔ってふざけたじゃ済まされない。
人の夫に手を出すなんて。
はあ?何よ。
何まっとうなこと言ってんの?まっとう?私あの人の赤ちゃん産むんだよね?私と繁郎さんもうすぐ単なる義理のきょうだいじゃなくなるんだよね?それを仕掛けたのは姉さん。
あんただよ。
だからって。
それとこれとは話が違うじゃないの。
あなたと繁郎さんはあくまで遺伝子上の交配をするのであって気持ちや体は関係ないんだから。
女だもん。
赤ちゃんを産む相手のことはやっぱり好きでいたいんだよね。
そのくらいの権利私にだってあるはずよ。
まさかあなた。
本気であの人のこと?好きになりたいし繁郎さんにも私のこと好きになってもらいたい。
結ばれるのは顕微鏡の下かもしれないけどそれでも愛はないよりあった方がいい。
赤ちゃんは男と女が愛し合って生まれるべきものなんだもん。
少しでもお互いが好きでいた方が健全な子が生まれるんじゃない?私の方はいつでも準備OK。
早く繁郎さんをその気にさせてよね。
フフッ。
あなた。
起きて。
起きてください。
あなた。
(繁郎)うーん。
臍帯血の話を弘明さんに聞いたの。
どうしても陽に受けさせたいの。
臍帯血だったら赤ちゃんが生まれてすぐに陽に移植ができる。
今愛美が妊娠すれば10カ月後には陽に移植を受けさせることができるのよ。
バカ。
まぬけ。
意気地なし。
臆病者。
かげろう。
愛美なんかにいいように振り回されてべろべろになって正体なくしてキスまでされそうになって。
みっともないったらありゃしない。
(泣き声)ハァ。
・
(ふすまの開く音)
(愛美)峻。
寝た?
(愛美)悪いと思ってんだ。
あんたに余計な気使わせて。
でもね母さんだって何も考えずにバカやってるわけじゃない。
あんたのことを考えて先の先まで考えて決めたことだから。
母さんねあんたのためにこの身を捧げることにした。
いつかきっとあんたにこの気持ち分かってもらいたい。
身を捧げる?
(繁郎のくしゃみ)
(繁郎)あっ。
痛っ。
ああ…。
(愛美)ゆうべ体冷やしちゃったんじゃないですか?
(繁郎)うん。
そうみたい。
くしゃみ止まんないし頭はがんがんするし。
私は楽しかったけど。
繁郎さんとおいしいワインを酌み交わして。
(繁郎)ああそうだった。
確か君とロマネコンティを。
でもさ途中から記憶がないんだよね。
覚えてないんですか?
(繁郎)うんうん。
忘れちゃったんだ。
全部。
(繁郎)うん?残念だな。
話があるの。
陽のことよ。
(繁郎)ああ。
病院へ行かないと。
あなた!ちゃんと時間つくって。
夜でもいいわ。
(繁郎)今夜は斎藤先生の喜寿祝いじゃないか。
同期の連中も集まるし帰りは遅くなる。
じゃあいったいいつ話せばいいの?
(繁郎)あっ。
例の件だったらねもうこれ以上話す気はないから。
どうして?あなたにとっても陽は宝物のはずよ。
うん。
もういつも同じ話の繰り返し。
もう話しても話しても堂々巡りだ。
こんな薄情な父親持って陽がかわいそう。
行ってくる。
あなた!お幕。
あなた!フゥ…。
(陽)あー。
(陽)あー。
ママ?うん?あっ。
ごめんね。
偉いね陽。
今日はいっぱい食べられたね。
ママ。
うれしい?うれしいよ。
とってもうれしい。
僕ねママのために頑張ったの。
・
(諏訪)おっ。
だいぶ顔色がよくなったな。
あっ。
先生。
(諏訪)どれどれ?
(諏訪)黄疸も引いてきたね。
これはママの魔法のおかげだな。
魔法?
(諏訪)ママの血をもらってすごくうれしかったんだよな?
(陽)うん。
(諏訪)この分ならきっと数値の改善も期待できる。
医学もお母さんのパワーにはかないません。
ありがとう。
ママ。
陽。
先生。
ちょっと。
(諏訪)はい。
大丈夫ですよね?陽。
これ以上急に悪くなったりすることありませんよね?1年待ってほしいんです。
今の治療法で最低でもあと1年状態をキープしていただきたいんです。
(諏訪)1年というと?1年弱。
10カ月ちょっと。
そうすればあの子に臍帯血移植を受けさせてあげられる。
臍帯血を?移植できるようになったんですよね?適合する臍帯血さえ見つかればいつでも移植は可能ですが。
あと10カ月。
それまであの子の状態を保ってあげてください。
お願いします。
お願いします。
諏訪先生。
フゥ…。
(弘明)《しかも臍帯血の場合HLAが完全に一致しなくてもいいという利点がある》《どんな形であれ愛美さんが赤ん坊を産めばまず確実に移植可能です》どんな形であれ。
ちゃんとつけてるようね基礎体温。
まあね。
姉さんに逆らったら怖いから。
見せて。
落ちたのね。
けさ体温が。
来ちゃいました。
排卵日。
残念ながら今回は間に合わなかったね。
体外受精には間に合わなくても違う方法なら受胎できる。
あなた今夜繁郎さんに抱かれなさい。
はっ?排卵したならちょうどいい。
しっかり子供を授けてもらいなさい。
気は確か?それってセックスしろってことだよね?うん。
あんたゆうべ言ってたじゃん。
人の亭主に手を出すなって。
あんたにしちゃ至極まっとうなこと言ってたじゃん。
犠牲にできないものなんか何もない。
赤ちゃんを得るためならどんなことだって目をつむる。
ハッ。
信じられない。
体外受精だから意味があるんでしょう?人工的に受精卵をつくっていいの選ぶんでしょう?だいたい繁郎さんの気持ちはどうなのよ。
はい。
そうですかってOKしたの?そんなわけないよね。
それで?どうやって抱かれろっていうの?あなたの方はまんざら嫌でもないようね。
えっ?嫌いじゃないんでしょ?あの人のこと。
だったらいいじゃない。
口説いてみせてよ。
あなたの手管で。
手管?それとももうさび付いちゃった?キャバクラ仕込みのテクニック。
必ず籠絡できるわ。
こんなに魅力的な体を持ったあなたなら。
甘いささやきと優しい愛撫となまめかしい姿態。
あなたの中の女という女を総動員してあの人の固い頭を打ち砕いてたけり狂った野獣に変えてちょうだい。
あなたが欲しくてたまらなくなって常識も倫理も吹き飛ばして雄叫びを上げて襲い掛かってくるようにしむけてちょうだい。
何をそんなに焦ってるの?要するに姉さん説得する自信がないんでしょう?何を言ったって繁郎さんは2人目の赤ちゃんをつくることに同意しない。
体外受精に必要な精子を出して渡してくれない。
だからこんな強行策に出ることにしたんでしょう?あんな煮えきらない人のこと待ってたらいつか陽は病気との闘いに敗れてしまう。
あの子の幼い命は尽きてしまう。
でも今あなたが妊娠すれば出産と同時に新しい治療法を受けさせられる。
私はそれに懸けてるの。
新しい治療法?母親だったらどんな無理でも通ると思ってるんだね姉さんは。
人の気持ちなんかお構いなしにごり押しして何が悪いって思ってるんだね。
私はあなたに貸しがある。
私がいなければあなたは殺人犯として有罪判決を受けていたのかも。
ついに本音が出た。
私はずっと被告人席にいるあなたの向こうに陽を見てた。
陽の笑顔を探してた。
こんな目に遭うんだったら人殺しの烙印押されてた方がましだった。
文句は言わせない。
やれと言ったらやるのよ。
言ったでしょ?上から物を言うなって。
やってやるよ。
恩を返して恩に着せる。
あんたの旦那に抱かれてやる!
(弘明)あっ。
大丈夫?あっ…。
(弘明)もう。
そんなに飲んでないだろうに。
いやぁ。
さすがに2日続きはこたえる。
おっと。
ほら。
いいなお前は。
ちっとも酒が顔に出なくて。
ハァ。
兄貴。
うん?どんな生まれ方をしたって陽のためだけにその子の人生があるわけじゃない。
お前何を?あっ。
いや。
子供が2人いたらにぎやかで楽しいだろうって思ってさ。
フッ…。
おやすみ。
うん…。
フゥ…。
うーん。
ああ。
ああ。
うん?うん?うーん。
やめてよ。
そんな気になれないよ。
はっきり言って今の僕は君とこういうことを…。
あっ。
寒い。
(愛美)抱いて。
繁郎さん。
私を抱いて。
うん?愛美さん。
何でここに?いいからもう。
じっとして。
えっ?フフフ。
な…何やってんの?駄目だよ。
そんなことしちゃ。
気持ちいいことしよう。
ねえ。
聖美は…。
聖美はどうしたの?姉さんは朝までここへは戻ってこない。
えっ?姉さんが言ってくれたんだもの。
今夜は2人っきりで楽しみなさいって。
何だって?フフフ。
あっ。
私ね繁郎さんのことが好きになっちゃったの。
えっ?そのことを姉さんに言ったらじゃあ今夜その思いをかなえてあげるって。
はっ。
すてき。
やっぱり思ったとおり。
繁郎さん見掛けよりずっと男らしい。
ねえどういうこと?聖美が承知してるって。
繁郎さん。
えっ?興奮してる。
やだ。
姉さんなんかどうだっていいじゃない。
うっ…。
陽のことでもう頭がパンクしかけてるんだから。
繁郎さんのことなんかちっとも愛してないんだから。
うっ…。
姉さんとじゃ絶対に味わえないすごいことしよう。
あなたのことを平気でないがしろにする姉さんなんか。
姉さんへの復讐だと思って。
もっともっと燃えさせて。
ああ…。
あっ。
まさかずっとそこにいたわけじゃないよね?首尾が知りたいんなら話してあげる。
微に入り細に入り2人でどんなことしたか。
早く行って。
峻君やお母さまに気付かれないうちに。
(波津子)どうしたの?繁郎。
えっ?目の下にくまなんかつくって。
風邪気味だって言ってたでしょう?そういうときはたっぷり睡眠取らなきゃ駄目よ。
と…取りましたよ。
ちゃんと寝ました。
でも遅かったんでしょ?ゆうべ。
ええ。
ああそうだ。
斎藤先生が母さんによろしくって。
(波津子)あっそう。
うん。
(愛美)峻。
ほら。
食べたら早く学校行きな。
遅れるよ。
何?
(峻)別に。
ごちそうさまでした。
行ってきます。
(波津子)ああ。
いってらっしゃい。
峻ちゃん。
僕もそろそろ。
(愛美)あっ。
私も一緒に行っていい?えっ?何で?ちょっとね。
お片付け後でやりますから。
(愛美)私も一度お幕してみたかったんだ。
フフッ。
あっ。
お幕。
(愛美)お幕。
愛美さん今日はバカに肌艶がいいわね。
何だか変よねあの2人。
繁郎はくまつくって青い顔してるっていうのに。
(泣き声)
(泣き声)いいの。
いいのよこれで。
2014/04/30(水) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #22[字][デ]【愛の母子篇〜薄情な父】
白血病の息子のため、聖美(東風万智子)は妹の愛美(三輪ひとみ)に代理母となり骨髄移植ができる子どもを産んで欲しいと訴える。結果を急ぐ聖美は驚くべき方法を提案し…
詳細情報
番組内容
愛美(三輪ひとみ)が、ワインセラーで酔った繁郎(原田龍二)に口づけしようとした瞬間、峻(谷藤力紀)が顔を出す。破廉恥な母が許せない峻は、聖美(東風万智子)に愛美の行動を報告。さらに愛美にこれ以上、家族の間に波風を立てぬよう釘を刺す。
聖美は怒りの目を愛美に向け、繁郎とはあくまで遺伝子上の交配だと言う。しかし、愛美は自分が生む子供の父親を好きになりたいだけ、と開き直る。
番組内容2
聖美は、ますます態度を硬化させる繁郎にしびれを切らしたその時、一つの考えが浮かぶ。聖美は愛美がつけている基礎体温表を見て、奔放な愛美ですら驚くようなことを言い出す。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:吉田使憲
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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