(テーマ音楽)知っておきたい健康情報を分かりやすくお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
今週はこちら「認知症をくい止めよう」をお送りしています。
認知症の最新情報をお届けしていますが今日は3日目になりました。
テーマは…症状の悪化を防ぐ治療についてご紹介します。
今日も専門家をお迎えしております。
分かりやすくお話をして頂きましょう。
ご紹介致します。
神経内科特にアルツハイマー病の診断・治療リハビリテーションがご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
認知症という病気は発症しますと悪化する一方なんじゃないかなというイメージありますがどうですかね?認知症の人は発症してもまだまだできる事がたくさんあります。
できる事を生かすリハビリですとか周囲の関わり方次第で進行を遅らせたり穏やかに生活する期間を長くする事が可能になると思います。
そうしますと周囲の方の関わり方これが症状の悪化に影響してくるという事なんですよね。
では認知症の治療をどう進めていくのかという事でまず大きな柱としてご説明頂けますか。
まず3つの柱がありますがまずは進行を遅らせる薬。
それからできる事を生かして脳を活性化するリハビリ。
それと周囲の適切な関わりケアですね。
この3つが適切に行われるかどうかで認知症の人の状態は大きく変わってきます。
ではまず薬について見ていきましょう。
今日はスタジオに薬をご用意頂きました。
現在認知症の治療には4種類の薬が使われています。
大きく2つのグループに分かれます。
どういう違いでしょうね?こちらドネペジルガランタミンリバスチグミンのグループはいずれも脳の神経細胞の神経伝達を活発にする作用があります。
いわゆる元気系のお薬です。
元気系。
この3つある訳ですね。
この違いは?まず形態が違うんですがリバスチグミンは貼り薬になります。
薬の服用を嫌がったりするケースですとかそれからご家族がのみ忘れの確認が一目でできる点でメリットがあると思います。
それからドネペジルは一日に1回内服する薬。
ガランタミンは一日2回朝夕内服する薬です。
認知症の人は服薬管理が難しかったり介護状況を見て薬を選択をして頂けたらと思います。
こうしたお薬のみ始めると長くなると思いますが副作用はいかがですか?この3剤はどれも吐き気や下痢などの消化器症状ですとかちょっと怒りっぽくなるとかちょっと興奮するとかっていうふうになる可能性があります。
それからこの貼り薬は皮膚にかゆみですとかかぶれなどが出やすいので保湿などの対策をとる事が必要になります。
では一方のメマンチンですねこれはどのような作用ですか?メマンチンは神経細胞の興奮を調節して神経細胞を守る薬です。
興奮を抑える穏やか系の作用があるんですが特に認知症の人が怒りっぽくなった攻撃的になったという時には有効な事が多いです。
ただ量が多すぎますと活動性が落ちてきてしまうケースもあります。
その辺はさじ加減が大事なんですね。
薬による治療法をこうして続けていく上で注意点はどんな事がありますか?薬がどのように効いているかという事は日常生活をご覧になっているご家族や介護者が一番よく分かります。
医師はその話を聞いて適切な薬剤用量を選択します。
ですから日頃からよく見ているご家族が診察の際に一日1行程度でも簡単なメモを持ってきて頂けるととても役立つと思います。
薬をのんでどんな様子なのかという情報をお伝えしてあげるという事ですよね。
では治療の三本柱続いてはリハビリという事なんですね。
これはどのような目的なんでしょうか?筋肉は使えば使うほど鍛えられます。
逆に使わないとどんどん萎縮していってしまいますが脳も全く同じです。
認知症になっても脳には残ってる機能がまだたくさんあります。
そういう機能を使って賦活する元気にするという事ですね。
更には失われた機能も補うという事に役立つと思います。
認知症におけるリハビリというのは専門家に指導してもらったり何か特別な道具を使ったりという事になるんですか?一部の医療機関ですとか介護施設では専門的なリハビリも行われています。
ですが日頃の生活の中でご家庭の中でご家族介護される方が十分にできる方法もあります。
ポイントは認知症の人が得意な事できる事を生かすという事だと思います。
得意な事とおっしゃいますと認知症の人は得手不得手がある訳ですか?そうですね。
やはり認知症になると一番落ちやすいのがこのエピソード記憶というものですね。
何でしょう?例えば朝ごはんを食べたとかそういう事を覚えているかどうか。
日々の出来事これが一番苦手になってしまいます。
そして…?それから徐々に失われていくのが意味記憶というものなんですね。
例えば「犬も歩けば」って聞かれたら「棒に当たる」っていうのが出てきますよね。
そういう言葉の意味を覚えている。
それから物の名前とかですねそういう意味の記憶というのがだんだんと失われていきます。
言葉の意味が蓄積しているのが何となくなくなっていくという事ですね。
そして最後まで比較的残りやすいのが手続き記憶になります。
例えば今編み物が出てますがこういった作業の記憶というのが認知症になってもいつまでも残っているものです。
編み物が出てますね。
例えば自転車の乗り方を覚えています。
それを忘れてしまう事はあんまりないという事ですね。
自転車の乗り方ね。
ではどの程度の記憶障害があるか見極める事が大事なんですね。
リハビリでは記憶障害の程度を見極めながらできる事を生かしていくというスタンスが必要になります。
認知症の人は特にエピソード記憶の障害が強いようなのでだんだんと時間軸が失われて過去から未来記憶がつながらなくなっています。
でもその時その時を一生懸命生きてます。
その時その時を楽しく能力を発揮してうまくいろんな作業ができるように支えていく事が大切になります。
では具体的な例で見ていきましょう。
日常の作業という事で料理を作る事もリハビリになるんですね。
例えば家族の人と一緒に晩ごはんの支度豚カツを作るという事で考えていきますとこんな時にまず大切な事は…どういう事でしょうか?役割があると人の役に立っているとか必要とされていると実感できて暮らしに張り合いが出てきます。
例えばキャベツの千切りをお願いしていますがこれは手続き記憶ですね「昔取ったきねづか」なので料理をしていた人なら上手にできるはずです。
キャベツの千切りが始まりましたね。
ここでひと言声をかけるのがとてもいいんですが濱中さんならどんなふうに声をかけますか?ちょっとハラハラしちゃってね「手を切らないでちょうだいよ」とかね「気を付けてね」とか言うかな。
あまり「気を付けてね」って言われると本人ちょっと不快になってしまいますよね。
本人がなるべくやる気になって頂くように手出しをしないでうまくほめてやるという事が大切かなと思います。
ここでのポイントはほめてやる気を出すという事なんですね。
ほめられると人にとっては最大のご褒美だと思います。
やる気が出てきます。
認知症の人は自信を失っているのでほめられてうれしくなって自信を取り戻してもらう事が大切だと思います。
更にもう一つ大切なポイントがこちらです。
笑顔になると脳が刺激されてやる気が高まります。
記憶にもよい影響が出てくるんですね。
認知症の人がよい状態だという事は笑顔から分かると思います。
さあ次はいよいよ豚カツを作っていきますがちょっと難しそうだと戸惑っている様子ですね。
ここで大切なのが…認知症になると手順などが分からなくなってきます。
例えば次の手順を示してあげるという事で認知症の人も安心をして作業を続けて失敗を防ぐ事もできます。
そういった声掛けが大事だとしてもちょっとさすがに見てて「これは難しそうだな」と感じる事もあるでしょう。
どうしましょうね?そういう場合には例えば「じゃああとはキャベツを切ってお皿に盛って下さいね」とか「私にも少しはやらせてよ」とかうまくサポートをしながら本人には達成感を味わってもらうというのが大切かと思います。
さあ晩ごはんが出来ました。
にこやかな食卓でございますね。
いいですね。
こういうふうに日常生活の中でも心掛けてリハビリができるんだという事なんですよね。
ではリハビリのポイントをおさらいしてみましょう。
そして最後に「失敗を防ぐ支援」とありますね。
これですね。
どういう事ですか?失敗は情動に大きな影響を与えます。
がっかりしますよね。
それをきっかけに自信をなくしたりイライラする事もあります。
ですから失敗をしないようにちょっと防ぐようにさりげなくお手伝いをしてあげるという事が大切だと思います。
そうか失敗をなるべくさせないようにしむけてあげる。
失敗は落ち込みますからね。
では治療の柱ここに最後にケアというのがありますね。
これはどういう事でしょうか?認知症の人の生活をどう支えるのかどう関わっていくのかがケアです。
この関わり方ケアによっても症状がかなり変わります。
ではこちらも具体的な例で見ていきましょう。
認知症の人によくあるものとられ妄想の例です。
認知症のお母さんが「私の財布をとったでしょ!」と言ってきたんですね。
こんな時にどう答えればいいでしょうか?こういう事言われると悲しいですからね。
「とる訳ないじゃん!」てつい言っちゃって「もう一遍捜しなさいよ」って言っちゃうかもしれませんね。
どうでしょうか?相手の言ってる事を否定するのはあまりよくない反応だと思います。
お母さんはいろんな事ができなくなってまた財布が見つからなくなったりして不安になっているのでまずは親身になって相手の言う事を聞いてあげる。
そして落ち着いてもらうという事が大切だと思います。
例えば言ってるとおりに「財布が無くなっちゃったんですね」とか「私が財布をとったと思ってるんですね」というふうに相手の言う事を繰り返す。
それも相手の言葉を受けとめましたよというサインになります。
そしてもし…「お金がないと困りますか?」とか「たくさん入っていたの?」とかちょっと話をそらすのもうまい手かなと思います。
そらしていって「そうなのよ。
たくさん入っていたのよ。
だから無くなったら困るのよ」という事になってきたらどうですか?例えば「うわ〜お母さんお金持ちね。
今度おいしいもの一緒に食べに行きましょうよ」。
…で「何を食べたいですか?」とかうまく持ち掛ける。
そのくらいの心のゆとりを持って対応して頂けたらいいんじゃないかなと思います。
「とられた」とか「あんたがとったんでしょ」と言われて怒って「何言ってるのよ!」とかという態度になると相手もますます怒ってしまいますので余裕を持って笑顔で対応して頂きたいなと思います。
少し落ち着いてこられましたらどうでしょうね?そうしたら「一緒に捜しましょうよ」ですね。
捜したらいいと思います。
見つかったらもうこれは…?一緒にうれしいですよね。
でも見つからなくてもまたしばらく間を置くと忘れてくれたりするので「少しお茶でも飲んでまた捜しましょうよ」という対応もいいんじゃないかなと思います。
伺いますとケアもリハビリもこういうふうに寄り添っていく気持ちが非常に大切ですね。
まさにそのとおりです。
周囲の対応次第で大きく変わってきます。
ですので認知症の人をほめる認めるという事でご本人が笑顔になって穏やかになって症状も安定していきます。
いい循環ですね。
それに対して周囲が怒ったり否定したりすると不機嫌になって症状が悪化する。
悪化するから更にまた怒るという事で悪循環になってしまうと思います。
是非こちらの好循環の方に行くように心掛けたいですね。
どうもお話ありがとうございました。
ありがとうございました。
そして明日は「運動で記憶力回復」と題してお送りしていきます。
このシリーズ明日も是非ご覧下さい。
どうも3日間お話ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/04/30(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 認知症をくい止めよう「悪化を防ぐ」[解][字]
認知症の治療は大きく「薬」「リハビリ」「周囲のケア」の3つ。薬は患者の状態に応じて使う、リハビリは“患者が出来ること”を生かす、ケアは患者の気持ちに寄り沿う。
詳細情報
番組内容
認知症の治療は大きく、薬・リハビリ・周囲のケアの3つがある。(1)薬は脳の神経細胞を活発にするタイプ、神経細胞を保護するタイプがあり、患者の状態に応じて使う。(2)リハビリは“患者ができること”を生かす。ポイントは役割を決める、ほめる、笑顔になってもらう、声をかけて安心してもらう、失敗することを防ぐなど。(3)ケアは周囲が心にゆとりを持ち、患者に接することが大切。できるだけ患者の気持ちに寄り沿う。
出演者
【講師】群馬大学教授…山口晴保,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:26615(0x67F7)