花咲舞が黙ってない #3 2014.04.30

(ブザー)
(花咲舞)すいません!乗ります!乗ります!
(ブザー)ハァ間に合った。
ハァ〜。
ねぇ今日家来ない?え?今日お母さんいないの。
いいの?まつ毛付いてるよ。
え?フッありがとう。
フッどういたしまして。
あ…大丈夫?うんありがとう。
(急ブレーキ音)大丈夫?大丈夫?痛てて…。
あ〜あ。
みんないいよな〜。
どっかに落ちてないかな出会い。
・落ちてますよ・あ…。
芝崎次長おはようございます。
(芝崎)おはよう花咲君。
それ君のだろ?あっあ…すいませんありがとうございます。
しかし随分のんびりしてるね〜。
え?あ〜!あっすいませんお先失礼します。
うお〜!元気だね〜。
(エレベーターの到着音)すいません!乗りますうお〜。
ハァ。
あ…おはようございます。
真藤本部長児玉次長。
(児玉)おはよう。
臨店班の…。
花咲です。
(真藤毅)あぁ臨店の?随分活躍してるようだね。
いえまだ慣れないことばかりで。
この銀行のために皆が嫌がる仕事を引き受けてくれてありがたい限りだよ。
いやとんでもないです私なんか…。
でもできる限り頑張りたいと思います。
銀行には独特の慣例や考え方があるから君のような若い人にはなかなか大変だろう?いえ…あっでもお堅いというかこれが銀行だ的な考え方はちょっと古いんじゃないかなって思うこともありますけど…。
あ…すいませんつい。
(エレベーターの到着音)頑張ってくれたまえ。
はい失礼します。
おはようございます!
(相馬健)おはようさ〜ん。
よしギリギリ間に合った。
そんなに張り切って来てもやることなんかないぞ。
え?今日も臨店ないんですか?まっ俺達が暇だってことはいいことだよ。
え?どこの支店でも問題が起きてないってことだろ?なるほど…って警察じゃないんですから。
支店にいた頃と違ってこうしてコーヒーを味わう時間がある。
いいことじゃないの。
いや私こういう静かな所でジッとしてるのって何か落ち着かないんですよ。
だからテラーの仕事って合ってるなって思ってたんですけど。
お前はまだ若いんだよ。
相馬さんだっていうほどおじさんじゃないですよ。
おい俺はおじさんなんてひと言も言って…。
(ベル)はい!臨店班です。
違いますはい失礼しま〜すはい。
どうしたの?間違い電話でした。
あぁそう。
(手を打つ音)静か過ぎる。
(机をたたく音)何か歌おうか?ハァ〜いいですよ。
「銀行は堅くて古くさい」か。
いやあの女子行員は何も分かっていないんです。
たまたま臨店先の大きな事件を解決したから立場を勘違いしてるのかと。
ならば君が教えてあげなさい。
はい?臨店とは本来支店の小さな問題を解決するだけの仕事。
組織の中ではちっぽけな存在でしかないってことをだ。
君に任せる。
はい!支店の資料の並べ替えは終わったし破棄する書類はぜ〜んぶシュレッダーにかけたし大掃除もしたし明日やることないんですけど。
ハァ〜。
(花咲幸三)ハァ〜。
何?お父さんどうしたの?う〜んここんとこ体調悪くてな。
そうなの?うん何かスッキリしないっていうか。
鍋は焦がすしみりんは切れるし包丁の切れは悪いし。
体調関係ないじゃん。
ハァ〜。
何の薬?ん?うん。
あ〜サプリだよサプリ。
ん?そんなに買ったの?3本買ったら1本プレゼントっていうからさ。
うん。
「荒磯の子」え?効くの?うん海藻の何とかエキスが体のどこだかにいいから元気になるんだって。
全然分かってないじゃん。
うちのお客さんみんないいって言ってんだからきっといいんだよ。
ふ〜ん。
でもお父さんこういう健康通販系に弱いからな。
買って満足してそれで終わりじゃん。
そんなことないよ!いやそうだよ。
健康サンダルでしょ膝にいいサポーターでしょバランスボールにステッパーにみんなほこりかぶってるじゃん。
あっぶら下がり健康器なんてもうただの物干しだよ。
いつかまた使うんだよ!どうだかね〜。
フフフ…。
イチニ…イチニサンシ。
すぐ飽きるよ。
(須賀)なるほど。
そういうことでしたらお任せください。
(児玉)よろしくお願いします。
茅場町青山と2人続けて真藤派閥の支店長が処分されたことに真藤本部長も腹を立てておりまして。
(須賀)うちには仕事がたっぷりありますから一日で音を上げるでしょう。
それは頼もしい。
無能な行員の烙印を押してお返しします。
期待しております。
児玉さんこれがうまく行ったら…。
もちろん次の異動では須賀さんが希望の部署へ行けるよう真藤本部長に進言させていただきます。
何とぞ。
いつから使ってないんだ?これ。
フゥ。
(着信音)あぁはい花咲で〜す。
今芝崎次長から電話があってな週明けから2日間蒲田支店に行ってほしいとのことだ。
臨店ですね?いや今回は応援だ。
応援?お前は窓口だと。
え?ってことはテラーですか!?ああ。
ったくそんなの臨店班の仕事じゃないっつうんだよな。
フフ分っかりました!ハハ!ではまたお疲れさまで〜す。
何だ?あいつ。
やった!久しぶりにテラーの仕事ができる!よし!ハァ〜ったく本来の臨店業務以外の仕事なら断ってくれりゃいいんだよな芝崎次長もさ。
まぁでも支店長からのご指名なんですよね?私達期待されてるかもしれませんよ。
期待されてる?俺達が?何を?言われてみれば…支店長ってどんな人なんですか?ずっと本部にいたエリートで蒲田支店の支店長になってからまだ1年ちょっとらしい。
へぇ〜。
だが就任以来支店の業績は右肩下がりでもともと部下に厳しい人だったのにますますパワーアップしてるって話だ。
そうなんですか。
あっ。
ちなみに真藤派閥だ。
またですか?また。
花咲。
今回はスイッチ入れんなよ。
分かってます言いたいことがあったら息を吸う。
スゥ〜フゥ〜。
ホンットに頼んだぞ。
はい。
笑顔は?今の写真撮っていいですか?君達が臨店さんか。
はっよろしくお願いいたします。
精いっぱい頑張ります。
精いっぱい?はい。
そういうのはいつも手抜きをしてる奴の言うことだ。
いやそういうつもりで…。
(咳払い)あっあ〜…。
あの…今回我々が呼ばれたのは支店長直々のご指名だったと伺ってるんですが。
何も君達を指名したわけじゃない。
テラーが1人辞めたばかりのところで課長代理が研修中で不測の事態でな。
「手の空いてる暇な奴を」と言っただけだ。
あっ言っとくがうちはかなり忙しいから覚悟しといてくれ。
実戦を離れた君達には厳しい仕事になるだろう。
泣いても代わりはいないからそのつもりで。
いつも通り精いっぱい頑張ります。
出るなって。
誰が泣くかっつうの。
よし!
(須賀の声)あ〜あ〜…。
このままだと予算達成には程遠い。
またFブロックの最下位確実だ!どうして誰一人期待に応えてくれる人間がいないんだ?あぁ!?いいかよく覚えとけ。
無能な奴はこの支店には必要ない!融資課。
俺が自ら大口先を見つけて来てるのにお前ら一体何やってんだ!新規の融資が取れるまで帰って来るな!!
(行員達)はい!
(須賀)営業課。
お前らにプラスは求めていない。
マイナスにならなきゃいいんだ。
いいか!?絶対にミスはするな。
(行員達)はい!声が小っちゃい!
(行員達)はい!!あっそれから今日から2日間本部から臨店さんがわざわざ事務応援にやって来てくださった。
普段は支店を指導なさっている臨店さんのことだ。
さぞや戦力になってくださることでしょう。
花咲君には窓口に入ってもらう。
はい。
相馬君にはまずロビーでお客様案内でもやってもらおうか。
え?よろしくお願いします。
お願いします。
テンション上がって来た〜!ハァ…どうして俺まで。
(金田)よろしくお願いします。
あっこちらこそよろしくお願いします。
さて戦争が始まりますよ。
戦争?
(金田)いらっしゃいませ。
番号札をお配りいたしますのでこちらにお並びくださいませ。
申し訳ございません!番号札をお配りいたしますので。
(行員達)いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませおはようございます。
すっご!受付番号札はこちらでお配りしております。
(呼び出しのチャイム)
(妙子)いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
こちらの番号札でお掛けになってお待ちください。
どんな奴らが来るかと思ったら小生意気だがまだ若い女子行員とぼ〜っとした男じゃないか。
(門脇)あっはい!どんどん仕事をやらせろ情け容赦をするな。
承知しました!奴らにはさぞかし荷が重いだろうな。
うちには癖のある客も多いからな。
フッ。
(男性)いつまで待たせるつもりだ!さっきからどんだけ待ってると思ってんだよ!申し訳ございません。
ただ今前のお客様のお手続きしておりますのでもう少々お待ちください。
(男性)待ってられるかよ!どうなってんだよ?この銀行は。
あんたら仕事遅いんじゃないのか?申し訳ありません急いでやらせていただきます。
あぁ!?お待ちください。
…ったくしょうがねえなぁ。
ありがとうございます。
フゥ。
ハァ。
お待たせいたしましたアラカワ様。
こちらご確認ください。
ハァ…足むくんじまってるよ。
(金田)よいしょっと。
あっ金田さん。
手伝いましょう。
あっすいません。
ありがとうございます。
いやしかし毎日大変ですよね。
お客様の対応から雑用まで次から次へと。
老体にむち打って何とかやってますよ。
ハハっ。
すごいですって。
しかしうちのテラーもみんな優秀ですが花咲さんの接客は素晴らしいですね。
いいお客様もいれば困ったお客様もいるでしょうに。
あいつ前に言ってました。
「どんなお客様も区別しない」って。
あいつ誰に対しても態度変わらないんですよ。
上司に対してまで。
ハハ!勉強になります。
あっでも本人の前では言わないでくださいね。
あいつすぐ調子に乗るんで。
アハハハ…!何油売ってんだ?たとえ嘱託でもやる気のない人間はうちには必要ないんですがね!すいません。
まだ休憩時間じゃないぞ。
ホントだ!お待たせいたしました。
お孫さんのお誕生日会楽しみですね。
ありがとう。
お気を付けて。
ありがとうございました。
(呼び出しのチャイム)
(アナウンス)212番のカードを…。
振り込みと税金の収納。
いらっしゃいませ。

(判をつく音)お待たせしましたありがとうございました。
またのご来店お待ちしております。
(呼び出しのチャイム)え〜!?あいつやっぱりテラー向いてるのかもしれないなぁ。
どうだ?あの女子行員は。
それがですね…。
あっ!武内様いらっしゃいませ。
(武内)須賀支店長どうも。
本日はどのようなご用件で?振り込みを何件か。
あっ…お預かりいたします。
お掛けになって少々お待ちください。
(武内)すいません。
君これを先にやってさしあげなさい。
順番通りにやらせていただいております。
「先にやりなさい」と言っただろ。
武内様は大切なお客様だ。
でしたら後方でやっていただいたほうがよろしいかと。
他のお客様には順番を守ってお待ちいただいておりますので。
いいから早くやれと言ってんだろ!あ…。
いいですよ支店長。
順番は順番ですから。
申し訳ございません。
いえ…。
すいませんでした。
いえ…。
お掛けになってお待ちください。
はい。
(金田)いらっしゃいませどうぞ。
あとはこれは大丈夫です…。

(妙子)早っ!ゴメイです。
早っ!…いですね。
え〜!?ゴメイです。
(門脇)あっはい。
(美波)ゴメイです。
(栞)ゴメイです。
(門脇)うん。
本日ゴメイです。
ご苦労さまでした。
(一同)お疲れさまでした。
終わった〜!今日は105人か忙しかったはずだわ。
私は96人。
すいません84人です。
え!?花咲さん143人?あ…久々にテラーできるのがうれしくてつい頑張っちゃいました。
アハハハ…。
すご〜い!いや…ハハハ…。
ちゃんと仕事を振ったんじゃないのか!あっ…はい。
面倒なお客様は全部担当させたので普通なら確実に音を上げるはずなんですがうちのベテランよりも仕事が丁寧で迅速でして…。
感心してどうする!
(門脇)申し訳ございません。
(須賀)・何かてを考えろ!・無傷で帰したら真藤さんに顔向けできないじゃねえか!・明日は徹底的にたたきのめせ!・
(門脇)・はい!・
(妙子)このお店はね支店から離れてるから会社の人達にもお客様にも会う心配がないからいいのよね!OKOK…!
(栞)OK!よしじゃカンパ〜イ!
(一同)カンパ〜イ!あ〜!ここなら愚痴も悪口も言い放題。
大事ですよね。
言っちゃ何ですけどあの支店どんよりしててストレスたまりそう。
(妙子)分かってくれる?須賀支店長来ると空気変わりません?そうなのそうなの。
支店の営業成績が悪いからっていっつもピリピリしちゃって。
それでしょっちゅうフロアうろうろしてるから気が休まらないんですよね。
「ミスするな」って監視されてるみたい。
でもかえってプレッシャーでミスしません?そうそう!ねぇ!じゃ今日は思いっきり飲んでスッキリしちゃいましょうか。
(一同)カンパ〜イ!あ〜!あ〜!いやお疲れさまでした。
どうも。
うまっ!ハハ…。
お連れしたかいがありましたよ。
いや最高ですよ!あ…蒲田に来たらぜひ寄ってみたいと思って実はチェックしてあったんですほら。
あぁそうでしたか。
ハハハ…!いや〜刺し身もいいなぁ。
ポテトサラダも押さえておきたいし肉豆腐も捨て難い。
あの時の花咲さんカッコ良かったですよね〜。
武内さんの時でしょ?
(妙子の声)支店長の顔傑作だったよね。
ぎゃふんって感じで。
(花咲の声)そういえばあの武内さんって方古いお客様なんですか?
(妙子)ううん。
品川でIT企業を経営している社長さんでね。
で最近うちの支店の近くに自宅を新築して越して来てからのお付き合い。
お〜…え?じゃあどうしてあんな特別扱いなんですか?それがもうすぐ会社も近くに移転する予定らしくて支店長狙ってるんですよ。
「メーンバンクをわが行に」って。
武内さんの会社年商20億円らしいから。
そういうことですか。
そうですか会社移転のお話決まられましたか。
ええ移転後は社員達もお世話になると思います。
ということは例のお話のほう…。
あぁ!メーンバンクの件ですか。
はい!白水銀行さんとは長いんですが蒲田には支店がありませんからね。
東京第一銀行さんにお世話になろうと思います。
本当ですか?
(武内)ええ。
あぁ…ありがとうございます!それでは早速社員の給与振り込みなど一括してお願いしたいと思ってるんですが…。
口座を開設していただきたいんです。
社員全員40名ほど。
ありがとうございます!ただ実は少々急いでおりまして。
早急にやらせていただきます。
門脇課長申込書。
こちらが申込書でございます。
あとは社員の皆様のご本人様確認が必要…。
(須賀)お急ぎでしたら後で出していただいても構いません。
取りあえずこちらにご記入いただいて委任状を提出していただければ一括してやらせていただきます。
いいんですか?ハハハ…!武内様は特別ですから。
ではお言葉に甘えて。
よろしくお願いします。
こちらこそ。
あっどうぞ!
(武内)あぁどうも。
あ〜!アハハハ…!
(須賀:門脇)ハハハ…!
(武内)いただきましょうか。
(金田)実は相馬さん一つお話ししておきたいことが。
何ですか?え〜…。
うちの支店毎日何人か要注意なお客様が来られるんですが…。
今日はその全員花咲さんに回されてたんですよ。
呼び出しのチャイム
(アナウンス)314番の…恐れ入りますあちらの窓口へどうぞ
(相馬の声)やっぱりそうだったんですか。
いややけに花咲だけがお客さんから怒られてるなとは思っていたんですが。
真藤さんって本部のお偉いさんですか?ええ…。
(相馬の声)経営企画本部長ですけれどもそれが何か?ええ閉店後に支店長が門脇課長に話してたんですよ。
「このままだと真藤さんに顔向けができない」って。
もしかして相馬さんと花咲さんその人に目を付けられてるとか。
え?それにしてもあの支店長ひど過ぎますよ。
「無能な奴らはこの支店に必要ない」とか「お前らにプラスは求めてない」とかあんな言い方あり得ないですよ!それいっつも言ってんのよ。
そうなんですか。
ハァ〜早く異動になってくんないかな支店長…もう限界。
私達はまだ出世とか関係ないからいいけど男の人達は大変だよね。
あぁ…。
でしょ?はい。
毎日大変そうです。
ん?美波ちゃんの彼氏融資課のエースなの!
(美波)シ〜!しかもイケメン。
いいな〜!うらやましい。
嫌なことばっかりじゃないんですね〜。
(美波)ね〜。
え?写真とかないんですか?朝礼の時いたから!なるほど花咲と俺を痛い目に遭わせて真藤さんに対する点数稼ぎをしようとしてたってことですね?きっとそうですよだから本部から来た相馬さんに一日中雑用仕事をやらせてたんです。
確かにあの支店長頭の中は数字と出世だけって感じでしたもんね。
気を付けたほうがいいですよあなたも花咲さんも。
はい。
え〜!?デカいよ!声がバカ。
すいません…え?でも私達あの支店長の点数稼ぎにここにいじめられに来たってことですか?まぁそういうことだろうな真藤派閥の支店長を2人も飛ばした俺達を痛い目に遭わせれば真藤さんが喜ぶとでも思ったんだろう。
いやそんな子供じゃない…!だからデカいよ!声がバカ。
すいません。
まぁでも売られたケンカは買うしかないですよね。
落ち着け花咲いいか?今日一日やり過ごせば俺達の仕事は終わりなんだ。
スゥ〜。
そうそう。
今日一日頑張らせていただきます!よし。
大丈夫なのか?えっ今日は窓口じゃなくて後方なんですか?うちは計表処理も山ほどあるから。
取りあえずこれやっておいて。
これ全部私一人でですか?そうだけど何か問題でも?いいえ。
もちろんテラーの補佐もやってもらう。
はい。
マジっすか。
相馬さん…。
俺も相変わらず雑用だ。
お前もさっさとやらないと帰れないぞ。
はい。
よし。
お願いします。
ありがとう。
お願いします。
ありがとう。
お願いします。
ありがとうございます。
お願いします。
ありがとうございます。
花咲君。
はい。
花咲君。
はい。
これも追加で。
はい。
ハァ〜終わった。
次は振り込みの処理をやってくれる?今日中に。
分かりました。
(ベル)
(門脇)はいあぁ申し訳ございません!少々お待ちください。
花咲君ATM行って来てくれる?え?私がですか?見れば分かるだろうみ〜んな忙しいから。
分かりました。
お客様。
あっすいません。
武内様。
あぁ昨日はどうも。
どうされましたか?通帳が出て来ないんですよ。
キャッシュカードと現金は出て来たんですが…。
申し訳ございませんただ今確認してまいりますので中のロビーで少々お待ちいただけますか?はい。
(操作音)ん?お待たせしました。
こちらの通帳で合っておりますでしょうか?
(武内)ありがとう妻のなんですこれ旧姓で。
そうなんですか。
(須賀)武内様!あぁ支店長どうも。
いらっしゃいませ昨日はありがとうございました。
いえいえこちらこそあの早速なんですが口座開設申し込みの書類一式持って来たんですが。
さようでございますか。
42名分です。
確かにお預かりいたしました。
大至急作らせていただきますので。
よろしくお願いします。
じゃあ今日はこれで。
武内様に失礼はなかっただろうな?もちろんです。
あの生意気な小娘全然変わってないじゃないか。
それがですね今日もどんどん仕事をこなしてしまっていて…。
何やってんだ!こうなったら強引なてを使ってでもあの鼻っ柱へし折ってやらんといかんな。
(美波)お願いします。
はい。
お願いします。
はい。
お願いします。
(栞)はい。
お願いします。
(美波)はい。
今日中に終わるかなこれ。
これ今融資課にいらしたお客様の入金だ。
急いでやって。
はい。
もうすぐお帰りだから大至急やって!はい。
あっ。
口座番号書くのは基本なのに。
もう…。
何てことしてくれたんだ!申し訳ありませんでした。
君に入金を依頼したのは『株式会社明石ビルディング』。
君が手続きをしたのは『明石ビルディング株式会社』。
全くの別会社だ。
入金伝票に口座番号の記入がなかったのでこちらで検索したんですが同じ名前の会社が2つあるとは気が付きませんでした。
(須賀)何?伝票が悪いとでも言うのかね?君は。
いえ…。
門脇課長が気付いて処理を止めてくれたからすんでのところで大事に至らずに済んだとはいえ彼が気付かなかったらどうなっていたと思う?フッまったくざまはないな。
入金先を間違えるなんて新人でもしないミスだなぁ?はい。
はぁ…。
たった2日しかいない君のせいでうちの支店が減点されるところだったんだぞ?申し訳ありませんでした。
私だけじゃなくみんなに謝ったらどうだ!ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
(須賀)いいか?君達もこんな恥ずかしいミスは絶対にしないように!無能な奴はこの支店には必要ないんだからな。
ハァ…。
お約束通りこてんぱんにしてやりましたよ。
(児玉)ありがとうございます。
きっと真藤本部長もお喜びになります。
あっ。
すいませんでした。
皆さんの足引っ張るようなことしちゃって。
違うのよあれ絶対罠だって。
罠?
(栞)支店の人間はみんな『明石ビルディング』っていう同じ名前の会社が2つあるのは知ってるのよ〜。
え?
(美波)間違いやすいから「伝票には必ず口座番号を入れるように」っていつも課長が言ってるんですよ。
え…。
じゃあ…。
(妙子)わざとやったのよ。
花咲さんが失敗するように。
まぁギリギリで止めればうちの減点にならないで済むし。
(妙子)まぁあの課長が独断でそんなことできるわけないから支店長の差し金だろうね。
あ〜まんまとハメられましたよ!だからあんな勝ち誇ったような顔してたんですよねあのクソ支店長は!うんフフフ…うまい。
相馬さん今の私の話聞いてました?もういいじゃないかよ終わった話だ。
そうなんですけど。
でも支店の人達もかわいそうですよね。
あんな支店長の下で働かなきゃいけないなんて。
まぁ蒲田支店の業績が下がってるのは間違いなく須賀支店長のせいだろうな。
ですよね毎日人として否定され続けてたらモチベーションだだ下がりですよ。
もうあの人ホントにエリートなんですか?仕事ができるできないと人の上に立つのにふさわしいかどうかってのは意外に別問題だからな。
なるほどつまりあの人は支店長失格ってことですよね。
俺はそこまでは言ってない。
う〜ん何とかなんないかな〜。
花咲そこまで毎回支店の行員に肩入れしてたらこの先臨店の仕事やってくの大変だぞ。
はい。
(幸三)何だって?ホントですか?
(客)ああホントなんだよ。
アチャ〜やられた。
どうしたの?お父さん。
あぁ聞いてくれよ舞。
このサプリ詐欺らしいんだよ。
え?詐欺?
(幸三)苦情殺到でネットでは結構前からうわさになってたそうだとうさんだまされた。
アチャ〜。
(客)ひでぇよな〜。
これ成分調べた人がいて何の効果もないお菓子みたいなもんだっつうんじゃないか。
もう連絡つかないらしいしな。
(客)トンズラしたってことなんだろうな。
トンズラって…。
あのちょっとそれ見せてもらっていいですか?あぁどうぞ。
「荒磯の子」。
おいこれ振込先うちの阿佐ヶ谷支店だぞ。
ホントだってことはうちの銀行の口座が犯罪に使われたってことですね?いや詐欺だとすればまぁそういうことになるわな。
ってことは舞お前のとこの銀行では犯人が誰だか分かんじゃないのか?警察に通報してくれよ。
あぁそれちょっと無理ですね。
え?何でですか?こうした犯罪にはほとんど架空口座が使われるんですよ。
架空口座?他人名義の口座ですとか存在しない人の名前を使って銀行をだまして作った口座のことです。
誰が使ってるのか銀行でも実態が分からないから問題になってるの。
あぁあれかな?振り込め詐欺なんかに使われてるあれかな?何かで見たことありますけど。
それです。
銀行としても勝手に取引を止めるわけにもいかなくて対応が難しいんですよ。
何だよもどかしいな〜。
どう考えても詐欺だって分かってるのに捕まえることができないなんて!あ〜!あ〜!!何だ?お前急に。
相馬さんこの詐欺師捕まえられるかもしれません!え?やっぱり。
「やっぱり」って何がだよ。
相馬さんこれ見てください。
ん?この口座に登録されている名前は『荒磯の子』ではなく「新井園子」なんです。
あっ。
この架空口座を手に入れた詐欺師はこの名前の健康食品を使って詐欺することを思いついたんじゃないんでしょうか?どちらもカタカナで書けば同じ。
銀行振り込みはカタカナですからそこを利用したんじゃないでしょうか。
なるほどな〜。
同じ読み方でも個人名ならば振込先として怪しいがこれなら会社名に見えるだからみんなだまされた。
うちの父も。
賢いっていえば賢いが…。
あれ?お前言ってなかったか?「詐欺師捕まえられるかも」って。
あれ誰なんだよ?武内さんです。
(相馬の声)武内さん…。
え?蒲田支店のお客様か?はい。
私昨日見たんですよ。
(舞の声)武内さんがこの口座の通帳持ってるのを。
妻のなんです武内さん奥様の通帳だっておっしゃってたんですけど名字が違うから何か引っ掛かってて。
ホントかよ…。
武内さんが詐欺師ということですよね。
そういうことになるよな…。
あ…おいマズいぞ。
昨日武内さんの会社の社員42人の預金口座の開設手続き済ましちまったぞ!え!?いや委任状はあったんだが本人確認は不十分だっただが支店長が無理やりに推し進めたんだ。
あれが全部詐欺に使うための架空口座だったとしたら…。
大変ですよ。
相馬さん武内さんに会いに行きましょう。
ああ!そこの角を曲がった所にあるはずなんですけど…。
え?42名様分の通帳ご用意いたしました。
ありがとうございます。
ちょっと待ってください!
(須賀)何だ?君達は。
あっ…。
この通帳渡しちゃいけません!何をするんだ!?いきなり入って来て失礼にも程があるぞ!返しなさい!武内様申し訳ございません。
武内さんあなたの会社どこにあるんですか?はい?さっき武内さんの会社があるはずの場所に行って来たんです。
(舞の声)そこはただの小さな公園でした。
何をでたらめなこと言ってるんだ?でたらめではありません。
武内さんあなた詐欺師ですよね?移転どころか会社はありませんでした。
最初から犯罪に使う架空口座を作るために支店長に近づいたんですよね?武内克美という名前も恐らく偽名…。
フッ…。
ハッハッハ…!本当は何て名前なんですか?・とんでもないことになったな・まさか武内さんが詐欺師だったなんて…。
どうなっちゃうんだようちの支店。
花咲行くぞ。
はい。
支店長と私は警察へ行って事情聴取を受けて来ます。
君達は何も心配することはない。
今回のことは我々は被害者なんだから。
さぁ支店長まいりましょう。
支店長?何で俺がこんな目に…。
全部お前達のせいだ!お前達が数字を上げていればあんな詐欺にだまされることはなかったんだ!俺のキャリアに傷を付けやがって!!すいません!すいませんでした!待ってください!おいちょっ…。
あんな詐欺なんかにだまされたのは須賀支店長ですよね?何?それを支店の人達のせいにするなんておかしいです!臨店ごときが生意気な口をたたくな!無能な奴らのせいで俺がどれぐらい苦労してると思ってんだ?お言葉を返すようですがここにいる人達はみんな無能な奴らではありません!そうやって毎日自分達のことを否定され続けたら働く意味が分からなくなると思いませんか?この支店の業績が悪いのは職場の空気が悪いからだと思います。
何を言ってるんだ?お前は。
黙れ!黙りません!自分の出世のことしか頭になくて部下達には言いたいことも言えなくさせてそんな支店長間違ってます!あなたはいつもこの支店に無能な人間は必要ないとおっしゃっていますがだとしたらこの支店に必要ないのは須賀支店長あなたです!ハァ〜。
あっ…。
すいませんお騒がせしました!
(拍手)え?
(拍手)え?あっいやそんな…。
拍手されるようなこと何にも…。
(行員達)あ〜!アハハハ…。
・花咲さん!もういろいろ…・心臓バクバクしちゃいます…。
(栞)すごいカッコ良かったよね。
ん?あっ捕まったのか。
まったく悪そうな顔してんなこいつ。
あ〜バス間に合うかな?あっお父さんこれ。
いってきま〜す。
うんうんいっといで。
ん?あいつ…。
須賀支店長次の異動で地方行きは確実だな。
そうでしょうね。
大変ですよね銀行って。
そうだぞ僕だって上司と部下との間で板挟みになりながら苦労に苦労を重ねて今日までやって来たわけで…。
あ〜!え?あ〜!私今日コンプライアンスの研修なんでした。
ヤバい時間間に合わないかも。
おいしっかりしてくれよ。
上司の管理責任問題って言われるんだぞ。
すいません。
そうだぞ花咲君。
約束と時間を守れないのは銀行員として以前に人として問題があるという…。
すいませんいってきます!人の話を聞かないね〜。
あっ何かすいません…。
申し訳ございません!まさかこんなことになるとは。
いいんじゃないかなぁ。
あの2人の働きで架空口座の開設などという当行の恥をさらさずに済んだんだからな。
チッしかし児玉君…。
はい!私はねぇ「失う」という漢字の付いた言葉が嫌いでねぇ…。
過失。
損失。
失敗!う〜んうなぎも捨て難いフフ…。
ハァ…。
ん?今度はどうした〜?研修明日でした…。
おい!すいません。
ハァ〜。
フフフ…。
2014/04/30(水) 22:00〜23:00
読売テレビ1
花咲舞が黙ってない #3[字][デ]

舞(杏)と相馬(上川隆也)は蒲田支店へ事務応援に行くように命じられる。支店長の須賀(神保悟志)は高圧的な発言をする男で、二人にも敵意をむき出しにしてきた。

詳細情報
番組内容
舞(杏)と相馬(上川隆也)は蒲田支店へ事務応援に行くように命じられる。久々にテラーの仕事ができると張り切る舞。だが、蒲田支店の支店長・須賀(神保悟志)は「無能な奴はこの支店には必要ない!」と部下たちが委縮するほど高圧的な発言をする男で、舞と相馬にもあからさまに敵意をむき出しにしてきた。そして、須賀の策略にはめられた舞は大きなミスを犯してしまい……。
出演者

上川隆也
塚地武雅
甲本雅裕
大杉漣
生瀬勝久
神保悟志
阿南健治
丸山智己
原作・脚本
【原作】
「不祥事」「銀行総務特命」池井戸潤(講談社文庫)
【脚本】
松田裕子
監督・演出
【演出】
佐久間紀佳
音楽
菅野祐悟
得田真裕
【主題歌】
「We Don’t Stop」西野カナ(SMEレコーズ)
制作
【チーフプロデューサー】
伊藤響
【プロデューサー】
加藤正俊
【制作協力】
日テレアックスオン
【製作著作】
日本テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
ステレオ
サンプリングレート : 48kHz

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