シリーズ世界遺産100「中央運河の水力式リフトと周辺〜ベルギー〜」 2014.05.01

(テーマ音楽)
(江守徹)水に浮かぶ船がエレベーターに乗っているかのように上がっていきます。
動力は水。
100年前の技術は今も健在です。
ベルギーの南西部を貫く中央運河です。
運河を包むようにのどかな風景が広がります。
19世紀の産業革命に伴い流通網拡大のためフランスとドイツを結んで造られました。
運河はベルギー経済の翼を担ってきたのです。
当時ペニッシュ船と呼ばれる運搬船が頻繁に往来していました。
開通当時の風景をしのばせる可動式の旋回橋です。
橋のゲートを下ろし車の通行を遮断します。
管理人がレバーを回すと橋はゆっくりと滑らかに回転を始めます。
今やこの橋を利用するのは専ら観光船や小型のレジャーボートです。
通る船は変わっても水辺を彩る風景は100年前と少しも変わりません。
運河の建設は1888年に始まりました。
しかし大きな問題が立ちふさがります。
7kmの区間に67mの標高差があることでした。
そこで導入されたのがイギリスの最新技術を備えた水力式リフトでした。
このリフトを4か所設置することで問題は解消されたのです。
着工から30年余りを要しました。
リフトに船が入ってきます。
上の運河との高低差はおよそ17m。
船が上がる様子を見てみましょう。
ゲートが閉まると船はプールに浮かんだ状態になります。
リフトは船を浮かべたままプールごとゆっくりと持ち上げていきます。
実はこのプールもう片方のプールと連動しているのです。
水を加えたり減らしたりすることで2つのプールの重さが変わる仕組みになっています。
重くなったプールは下降し反対に軽くなったプールは上がっていきます。
こうして船は運河の高低差をクリアーしながら更に先へと進みます。
単純な原理ですがこれを可能にしたのは高精度の技術でした。
ゲートの開閉などリフトに必要な動力もすべて水で賄われています。
燃料を使わずに運河の高低差を利用して流れ落ちる水の力をエネルギーに変えているのです。
このリフトで働くルソーさんです。
40年間運河と苦楽を共にしてきたルソーさんは間もなく定年を迎えます。
2002年中央運河と並行する新しい運河に巨大リフトが完成しました。
新しいリフトでも船を運ぶ原理は100年前と同じです。
水をもって水を制した運河の水力式リフト。
先人たちの知恵と技術は今も生き続けています。
2014/05/01(木) 04:15〜04:20
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「中央運河の水力式リフトと周辺〜ベルギー〜」[字]

船のエレベーター ▽文化遺産 【語り】江守徹 【テーマ音楽】久石譲

詳細情報
番組内容
船のエレベーター ▽文化遺産 【語り】江守徹 【テーマ音楽】久石譲
出演者
【語り】江守徹
音楽
【テーマ音楽】久石譲

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

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