ねえねえ池上さん。
また遊びにきていい?う〜んどうしようかなあ?じゃあ勝手に入る。
そうか。
わかったわかった。
じゃあ勝手にいらっしゃい。
ぼくはオリバー。
13歳。
トレーニングは毎日かかさない。
今度大きなチャレンジをするんだ。
自転車でトゥールマレーとうげにのぼる。
自転車レースツール・ド・フランスのコースで一番高い山だ。
きつすぎてぼくにはムリかもしれないけどやってみたい。
友だちはぼくのこと「自転車オタク」ってよぶ。
そのとおり!自転車レースが大好きなんだ。
大きなレースはぜんぶテレビで見てる。
選手とチームのじょうほうはざっしでぜんぶチェックしてる。
トゥールマレーとうげはピレネーさんみゃくのフランスがわにある。
自転車なかまといっしょに行くんだ。
パパとママは来ない。
自転車の話はうんざりだって。
自転車好きと話をするのって楽しい。
トゥールマレーとうげはそれより700m高い。
明日はツール・ド・フランスがとうげを走るところを観戦するんだ。
ここがとうげにつづく道。
頂上から24kmの地点だ。
今日はプロの選手たちがのぼる。
明日はぼくの番。
有名な選手がつぎつぎに通る。
ファビアン・カンセララ。
トレードマークは黄色いサングラス。
あの選手はいつスパートをかけようかって考えてるんだと思うな。
先頭から5分おくれのしゅうだんが来た。
ここはきつい上り坂だから選手をゆっくり見られる。
選手たちを見送ったら今度は店のテレビでレースを見る。
みんながツール・ド・フランスを見てる。
あそこが明日ぼくが行く場所。
あんなにはやくないけどね。
すごい!ツール・ド・フランスが通りすぎたからぼくらが走れる。
手ごわそうな山だけどやってみる。
トゥールマレーにのぼる。
(取材者)どうして?自転車のりだから。
距離は?30km。
ちょくせんでね。
ちょっとしんけいしつになってる。
がんばって。
うん。
いっしょに走るなかまがしっかりサポートしてくれるからやれると思う。
何人かのなかまは少しの間だけほかのなかまは頂上までいっしょに走ってくれる。
トゥールマレーとうげにのぼったことがあるなかまは山に強い。
ぼく山はとくいじゃない。
このたいけいだし。
11km走ってサント・マリーっていう町についた。
いよいよトゥールマレーへの上り坂がはじまる。
ここからもっと上りがきつくなるんだ。
うちにかえりたい…。
あと20kmだよ。
ベストはつくすけど…。
すごくあつい。
水をのまなくちゃ。
体をひやして気もちよくなったけどあと18kmもある。
みんなから3kmもおくれてる。
いっしょなのはダニーだけ。
山をのぼるときはペースをまもらないと死んじゃう。
もうヘトヘトだ。
まだ14kmものこってる。
きゅうけいしないと。
きついかい?う〜ん。
何かこの間と同じで右のふくらはぎがいたいんだ。
そりゃたいへんだ。
うん。
走りつづけなくちゃ。
こんな手前で車にのったらはずかしい。
昨日ここをツール・ド・フランスが通ったんだなあ。
今標高1,900m。
ぼくの頭たたいて。
足いたいのわすれるかも。
なかまがいるはずなのに。
おいてけぼり?うん。
山道ってほんとにきつい。
まだあと14kmもある。
何か目もおかしくなってきちゃった。
プロの選手たちはきゅうけいなんかしてなかった。
あきらめないよ。
でももしバテたら…車にのっけてよね。
曲がり角に来るたびに次はたいらな道がつづいていないかなって思う。
でもげんじつはずっと上りがつづく。
気温は35度以上ありそう。
クラクラする。
あとどれくらい?10km。
10km?あれが頂上?大体ね。
大体?21kmのうち10kmまで来た。
ということはまだ半分だ。
いやになる。
これがツール・ド・フランスならほうき車にひろわれてたな。
あまりにもおくれた選手をひろう車のことさ。
やめる?やめない。
でもはきそう。
行くよ。
またあとでね。
はきけがおさまった。
でもすぐにぶりかえした。
まだ7km以上ある。
コペンハーゲンじゃこう言うんだ。
アスタ・ラ・ビスタ!トゥールマレーとうげへののぼり坂はそうぞうをこえてる。
こうばいはへいきんで8%いじょう。
ものすごく急だ。
ほかのみんなもぼくの1km先で一休みしてた。
このあと頂上近くのラ・モンジェっていう村できゅうけいするらしい。
グッドニュースだ。
有名な選手が言ってた。
自分にはゴールラインのにおいが分かるって。
水いる?いらない。
おくれちゃうから。
もうちょっとだ。
みんなにおいつかなくちゃ。
1kmっていっても上りだからたいへんだ。
やっぱり水ちょうだい。
どうぞ。
みんなが一休みした場所まで来た。
みんな上の村でコーラをのんでるらしいよ。
おいつかなくちゃ。
え?行かなくちゃ。
とうとうラ・モンジェ村についた。
みんなを見つけなくちゃ。
どこかにすわりたい。
チョコレートフォンデュ食べたいな。
でもこの店にはないよね。
ハンバーガーとコーラでいいや。
うそでしょ?頂上までまだ4kmもあるの?ハンバーガーなんか食べるんじゃなかった。
村を出ようとしたところでリタイアした。
みんなとわかれて車にのった。
ほとんどのぼれたね。
でも頂上には行ってないからね。
やりとげたとは言えないや。
でもよくがんばったよオリバー。
ありがとう。
だけど…。
まだ4kmあるってもっとはやく分かってたら最後まで走れたかも。
もう頂上だと思いこんじゃってエネルギーを使いはたしちゃったんだ。
がっかり!だけど車ってラクチンだな〜。
車で頂上につくなんてチョーかっこわるい。
くやしいけど自分にはムリだったんだ。
自転車をこぐフィリップたちを見て自分はあそこにいなくてよかったって思っちゃった。
そうなの?うん。
もっとがんばりたかったのはがんばりたかったんだけど…。
がんばったよ。
う〜ん。
でも気分は…みじめだな。
とにかくぼくはトゥールマレーとうげのちょうじょうにいる。
みんなはやりとげた。
ダメだったのはぼくだけだ。
ちょうじょうから3.8kmのところでギブアップした。
ホントくやしい!平地ばっかりのデンマークを走るのはへんなかんじだ。
山のぼりのたいへんさをそうぞうするのもむずかしい。
でもいっしょうけんめいトレーニングすれば来年はやれるかもしれない。
2014/05/01(木) 09:50〜10:05
NHKEテレ1大阪
カラフル!〜世界の子どもたち〜「オリバーくんと山」[解][字]
デンマークの自転車大好き少年オリバーくん(13)。憧れるレースの難コースを走ることになったが山道続きでバテ気味。やめようか、がんばろうか、悩みながら走り続ける。
詳細情報
番組内容
子どものひとり語りによるドキュメンタリー「カラフル!」。今回の主人公は、デンマークの自転車大好き少年、オリバーくん(13歳)。あこがれの自転車レースの難コースに挑戦することになったが、山道の連続で足は痛くなるし、吐きそうになるし、リタイア寸前。あきらめれば楽になるけれど、それはかっこ悪い。どうしようか、悩みながら走り続けるオリバーくんに密着する。
制作
〜EBU制作〜
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
趣味/教育 – 幼児・小学生
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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