くらし☆解説「爆発間近!?ベテルギウス」 2014.05.01

生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうは冬の代表的な星座オリオン座の一角で今起きようとしている異変についてお伝えします。
オリオン座で赤く輝く一等星ベテルギウスがまもなく死を迎え大爆発を起こすと予想されているということです。
水野倫之解説委員です。
水野さん、ベテルギウス、私星に詳しくないんですがオリオン座の肩にある赤い星のことですね、これが爆発するんですか。
水野⇒いずれ爆発することは間違いありません、地球からの距離は650光年光の速さで650年かかると言われていてこれは遠く感じるかもしれませんが天文学的には、これめちゃくちゃ近いんです。
ですので爆発をすれば史上最大級の天文ショーになるということは間違いありません、世界の天文学者が注目しています。
今でもベテルギウスは見ることはできるんですか。
条件がよければ日没直後の西の空に見ることができます。
こちらは東京・六本木の地上240mのビルの屋上です。
先週、天体観測会が開かれました。
ベテルギウスにも望遠鏡が向けられました。
オリオン座のベテルギウス赤っぽいやつです。
うわあ、本当だ。
もうすぐ大爆発してなくなります。
訪れた人たちは専門家の説明に興味深く耳を傾けていました。
そしてこちらが宇宙にある大望遠鏡で撮影した画像です。
本当に赤いんですね。
赤いのは表面の温度が低いからなんです。
そしてもう1つの特徴は大きさなんです。
最新の観測によりますと直径は14億キロこれは太陽の実に1000倍にあたります。
これを太陽系に置いてみますと木星の近くにまで達する超巨大な星なんです。
真ん中が太陽ですね。
このように星が大きく太って赤くなるのは実は老化現象なんです。
死が近づいている証拠なんです。
星はずっと変わらないんだと思っていました。
人と同じで生死があるんです。
星は宇宙を漂うガスが集まって生まれるんですけれども大部分は水素でできています。
水素どうしが重力で集まって中心部で合体して核融合反応が起きて輝き始めます。
ベテルギウスも100万年前はこの状態で太陽の20倍ぐらいのスリムな星だったと考えられているんです。
ずいぶん小さかったんですね。
時間がたつとともに核融合が進んで炭素や酸素などさまざまな元素が生まれて膨大なエネルギーで温度が上がって星は膨張を始めます。
そして赤く巨大な星となるんです。
これはもう星の晩年の姿なんです。
太陽よりもかなり重い星の場合はしばらくして鉄ができて核融合反応がここで止まります。
そうしますと星はみずからの重力を支えきれなくなり急速に潰れていって大爆発を起こして死にます。
ベテルギウスは、いつ爆発するんでしょうか。
ベテルギウスは一生はもう99.9%終わっているんです。
ですので近い将来爆発するのは間違いないんですけれどもなかなか星の内部まで観測できないので予測は難しいんです。
ただ光の速さで650年かかるところにありますので実はすでに爆発しているかもしれませんし、1000年後かもしれませんし、数万年後かもしれません。
そんなに先かもしれないんですか。
天文学では数万年も近い将来なんです。
ただここ数年の詳細な観測でこちらにありますように本体からいろんな方向にガスが放出される様子が捉えられていたり大きさを観測した結果、普通の丸い星ではなくて表面からガスがこぶのように湧きあがるなど爆発の兆候ともみられる姿が捉えられていることから、爆発はかなり近いと考える研究者もいます。
実際に爆発したらどんなふうに見えるんですか?近いので一大天文ショーになることは間違いありません。
星の爆発の研究の第一人者の東大の野本特任教授は理論に基づいて計算した結果を映像にしました。
爆発の瞬間、温度が急上昇するため色が赤から青に変わります。
そして爆発から1時間後にはどの星よりも明るく輝いて誰もが夜空に異変が起きていることに気付きます。
そして爆発から3時間後明るさは、さらに増して満月に近いまぶしさでぎらぎらと輝くようになります。
これは目立ちますね。
爆発は昼間でも明るくきらめきましてこの状態、3か月は続くと予想されています。
そんなに長いんですね。
しかしやがて温度は下がって暗くなっていきまして、4年後には肉眼では見えなくなってオリオン座から姿を消してしまいます。
これは早く見たくなりますね。
星は数千億個かたまって銀河を形づくるんですけれども星の爆発は1つの銀河で100年に1回程度と言われています。
われわれの太陽系があります、天の川銀河では写真は天の川銀河を横から見た姿です。
これまで数回、肉眼で見えたという記録が残っているんです。
そのうちの1つ「新古今和歌集」の選者、藤原定家が書いた「明月記」という日記があるんですけれどもそこにも1054年におうし座の方角に木星ぐらいの明るい星が出現したという星の爆発とみられる記述があるんです。
実はその方向を今、観測しますと広がった天体を見ることができるんです。
これはカニがはさみを広げているようにも見えることからかに星雲と呼ばれています。
きれいですので私のいちばん好きな天体の1つなんです。
いまだにガスやちりが毎秒1300キロの猛スピードで広がっているということが分かっています。
これを逆算していきますと900年余り前一点に集まるんです。
「明月記」に書かれていた1054年に爆発した星の今の姿ということなんですね。
爆発の残骸なんですね。
われわれの銀河では最後にこのように肉眼で爆発が観測されたのは1604年のことなんです。
もう400年以上も目撃されていませんので、ぜひこの目で見てみたいなという思いがあるんですが、というのもこの星の爆発というのは単なる天文ショーではなくてわれわれの存在にも深く関係しているからなんです。
どういうことですか?鉄よりも重い例えば金とか銀そういった元素、星の大爆発の瞬間のすさまじいエネルギーで合成されていると考えられているんです。
そういった元素は爆発の衝撃で宇宙空間にまき散らされていくんですけれどもやがて長い時間をかけて重力で再び集まってこの中から太陽のような星が生まれてそして星になりきれなかった地球のような惑星が誕生してその中に元素が含まれていて元素をもとにわれわれのような生命が誕生したとも考えられているんです。
巨大な星の爆発、死が繰り返されることによって今私たちはここに存在しているともいえるんです。
ロマンを感じますね。
ますます爆発が見たくなるんですが、やはり近いということもあって地球に爆発の影響は何かないのかなということも心配になりますね。
星が爆発をするとガンマ線が放出されることが分かっています。
それが地球を直撃しないかという心配はあるんですけれどこれまでの研究からガンマ線の放出は星の自転軸から2度ぐらいの範囲でそこでおさまっているということが分かっています。
ベテルギウスの場合はどうかといいますと自転軸は地球の方角に対して、20度ずれています。
それが分かっていますので大きな影響はないのではないかと考えられているんです。
ですので、もしも爆発が目の当たりにできれば本当にラッキー。
思う存分楽しんでほしいなと思います。
次回は広瀬公巳解説委員と共にお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。
2014/05/01(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「爆発間近!?ベテルギウス」[字]

NHK解説委員…水野倫之,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…水野倫之,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:27064(0x69B8)