NHK高校講座 芸術「書道 書の世界〜芸術としての書への入門〜」 2014.05.01

皆さんこんにちは日笠陽子です。
私は小学校1年生から6年生まで書道を習っていたんですけれど今日は高校生になったつもりで皆さんと一緒に書道の勉強をしていきたいと思います。
よろしくお願いします。
さて高校の書道では字を正しく書くところから書の表現や鑑賞にも取り組んでいく事が大事なんですって。
つまり…それでは皆さん私と一緒に書の世界を探っていきましょう!お〜!「空」という一つの文字を書く時にもさまざまな表現があります。
うんうん。
例えば太い線や細い線墨の濃い線かすれた線など。
筆だけでさまざまな雰囲気を生み出す事ができるのです。
すごい!一つの文字でそんなにいっぱい表現があるんだ。
そうです。
今日はまず筆使いなどの基本を学んでいきましょう。
よっしゃ〜!今日やって来たのは静岡県浜松市にある…参加するのは美術科と書道科の生徒です。
書道では筆を使う訳ですけども筆って一体どういうふうに使うんだろう。
筆を自由に使って遊んでみようというところからスタートしたいなと思っています。
皆さんが持ってる筆それぞれ違いますけども太さも違ったりね。
自分の持ってるその筆でできうるかぎりの一番太い線を一本横に引いてみて頂けます?はいどうぞ。
ええっ!いきなり一番太い線ですか?どんなふうに使ったら太い線書けますかね。
う〜ん。
墨をたっぷり含ませて筆を寝かせ気味にするんですね。
お〜太い太い。
あぁすごいすごい。
それではその下に今度は逆にその筆で…おっ次は細い線か。
できるだけ細く安定してしかもまっすぐな線ですって。
おっこちらはなかなか。
でお隣は?ん…ん?手が震えちゃいます。
細く安定した線を書くには筆を立て穂先に意識を集中しなければなりません。
すごい。
度胸あるね。
よくテレビカメラの前でそんなに細い線を…。
こうして集中していくと背筋が伸び姿勢も自然と整ってきます。
これが筆使いの第一歩なんですね。
こちらは昔の象形文字。
一体何という字でしょう。
何かに似ていませんか?そうこれは心臓の形。
心臓の形からやがて「心」という文字が出来たのでした。
「線の基本」。
次は何でしょう?一番細い状態から始まって一番太い状態で終わる線。
ず〜っと太くなっていく線を書いてみて下さい。
今度は徐々に太くなる線を書きます。
このように太さが変化する線を書くのは筆を自由に操るための基礎練習ともいえるもの。
さあそこからもうちょい太くいくか?なかなかうまいですねぇ。
難しいのは多分これの反対で太い所から細い所までどう持ってくのか。
今度は徐々に細くなっていく線。
きれいに書くためにはゆっくりと力を抜いていかなければなりません。
さあどうか?あぁこれはちょっと短いかな。
集中して最後まで気を抜かないようにしましょうね。
そのままずっとずっと…。
ずっと先っぽ見てて。
そう。
ゆっくりゆっくり。
まだまだ見て見て。
そう。
そのぐらいの気持ち。
最後こっち見なくていいから。
最初は筆を寝かせ気味にしてそこからゆっくりと筆を立てながら細くしていきます。
お〜上手!筆の立て方を意識するのがポイントなんです。
書道に必要な道具の中でも筆墨硯紙は文房四宝と呼ばれ大切にされています。
今日は筆がどのように作られるのか見ていきましょう。
筆の材料は羊や馬などの動物の毛。
材料の種類や交ぜ方でさまざまな筆が出来ます。
まずは長さをそろえた毛を束ね逆毛を抜き取ります。
毛を薄く広げ満遍なく交ぜ合わせて…。
練り交ぜた毛を筒に入れ太さをそろえます。
乾燥した根元を麻糸で締め焼きごてで焼き接着させます。
最後は残っているふのりを取って穂先を整えます。
材料や形などによってさまざまに工夫された筆は書の豊かな表現を可能にするのです。
日笠陽子17歳!おいおい!書道を極めるために頑張るぞ〜!頼もう!先生こんにちは。
こんにちは。
今日は道具の中で大事な筆の勉強をしたいと思います。
まず筆の種類を一緒に見てみましょう。
まずこれをご覧下さい。
そちらが穂が長い毛の筆長鋒といいます。
これを短い穂ですから短鋒といいます。
その次こちらをご覧下さい。
これを剛毛といいます。
これを柔毛。
柔らかい毛と書きまして柔毛といいます。
ちょっと持ってみて下さい。
え〜こっち何かほうきみたいな。
めちゃくちゃ柔らかいです。
耳掃除したいぞみたいな感じです。
相当大きな耳じゃないと駄目ですね。
こっちはそうですね動物の毛かなぁって…。
ちょっとごわごわしています。
ちょっと硬いですね。
まず硬い毛で書いてみたいと思います。
「一」を書いてみますね。
お〜!じゃあ次柔らかい毛。
全然違いますね。
細さも違いますし柔らかい感じ硬い感じ。
筆によって線の質の違いが出てきます。
それでは今硬い毛と柔らかい筆で書きましたのでちょうど中間ぐらいの筆で書いてみたいと思います。
かすれも出てきました。
このかすれた感じがはかなさも出されててもうホントに夢って感じですね。
ちょうど今使った筆が筆をおろした状態になります。
今日は筆のおろし方を最初にやってみたいと思います。
まずふのりというのりがついてますからそののりを…そうしますと筆が割れていきますから。
本当だ。
ほぐれてきました。
だんだんおろしていきます。
これを全部おろしてみましょう。
ふのりがまだついてますからちょっとこうやって少し…。
お〜…。
中に入っている毛がちょっと出てくる事がありますが筆が壊れた訳じゃありません。
こういう形で筆をさばいて下まで全部おろした形。
全部おろした状態と3分の2ぐらいおろした状態。
やっぱりこれでも差が出るんですか?最初のうちはやはりこのぐらいまで固めておいてそして墨を付ける方が一般的には書きやすいといえるかもしれません。
でもせっかく筆というのはここに墨のタンクを持ってる事になりますのでだんだん全部おろして筆を使うようになるといいと思います。
へぇ〜。
頑張ります!「書の実践」の後半です。
ん?おや?机の上には筆だけでなく日用品が並んでいますね。
さてここにある中でどれで書いたでしょう。
さあどれだと思う?さてこの「空」この中のどれで書いたのでしょう。
皆さんも考えてみて下さい。
生徒たちの推理はこのとおり。
果たして正解は?これは当たり。
でねこれがねここなんだよ。
歯ブラシだからやっぱりこうやって書いたら歯ブラシっぽいかなぁと思って。
正解は歯ブラシ化粧用のパフそして硬いひも。
へぇ〜こんなふうに書けるんですね。
さあ今日はみんなもいろいろなモノで自由な線を書いてみましょう。
さあさあ何を選ぶのかな?せっかくだから変わったモノがいいかな?あっそれにしたのね。
うん。
あっほうきか。
どんな線が書けるのかな?おっブラシ。
でパフとひも?こんなふうに曲がる時にこんな線が出るなぁとか細くなるなぁとか柔らかい感じの線が出るなぁっていう事を体験して感じて頂きたいと思っています。
ここでは道具のさまざまな感触を体験するのがポイント。
まずはどんな線が出来るか実験です。
柔らかいモノ硬いモノ墨を含まないモノなど筆とは違って不便。
でも思いも寄らない発見もあります。
ふだんとは違う線が体験できたようですね。
あらこれ面白い。
あぁさすが!出来ました。
初夏しょーかしょーか。
しょかーようこ!巣鴨の商店街で皆さんが大切にしている言葉を書いてもらいました。
人生の達人たちの一筆を味わいましょう。
15〜16の時に先生から聞かされた言葉なんです。
いまだに覚えてるんだよね。
何年かぶりに筆を持ちまして。
これを機会に勉強でもしたいかなって…。
皆さんご協力ありがとうございました。
深い!今日の最後は選んだ道具で自分の名前の一文字を書きます。
こちらはほうきですか。
おっなかなかかっこいい感じですねぇ。
墨を含まないので大変そう。
でこちらは…?あったわしですね。
紙にはなじみませんが意外と墨を含んで独特の線が書けました。
これは…?あっ「咲」ですね。
うんなかなか。
柔らかい素材硬い素材それぞれの特徴を生かして自分なりの表現に挑戦しています。
これは「夏」かな?お…。
こちらは書くというよりもこすりつけるような使い方。
斬新ですねぇ。
ハハハ。
お化粧用のパフは何だか優しい線になりました。
パフの細い角と腹のとことうまく使って太い細い出して書いてますね。
いつもの筆と違って面白いです。
今日は極端でね。
まさか本当にスポンジで書く書家はあまりいませんよ世の中に。
あまりいないけれども筆の中にもさまざまな種類があって長くてひょろひょろなのもあるし短くて硬いのもあるしね。
それを使い分ければ全然違う線が出る訳なんですね。
ですから道具をまず見極めてこんな線が出したいなっていうものを使いその筆の使い方も「こうやったらこんな線が出るんじゃないか」というふうに考えながら書いたりね。
いろんな狙いができるんですよね。
(自分の書いた文字を読む生徒たち)漢字のルーツとなる甲骨文が生まれたのは中国です。
甲骨文は占いの結果を記録するためのものでした。
亀の甲羅や動物の骨を焼きそこに入ったひびで農耕や狩猟のよしあしを占ったのです。
硬い骨に刻むため甲骨文は直線的で単純な形です。
その中には現在の漢字につながるものもたくさんあります。
この字は「雨」という漢字になりました。
現在の漢字はこの甲骨文から始まっていったのです。
面白いですね〜。
骨とか甲羅に文字を書いたところから始まってるんですね。
(長野)そうですね。
漢字は甲骨文字が最初と考えましょう。
ではこの甲骨文字の中から一文字書いたものがありますから日笠さん見て頂けますでしょうか。
はい。
あら先生すごいピンクの文字で。
ちょっとポップアートに書いてみたんですけども。
先生おしゃれ!ちょっと先生。
何ていう字だと思いますか?え〜?これが鼻みたいな。
はいピンクの…。
ピンクの象!はい正解です。
象〜!へぇ〜。
やっぱ分かりやすいというか。
ですから絵であり文字であるという事になると思います。
何か現代で使われてる字。
気になるところがありますか?気になる字ですか…。
葉っぱみたいですよね。
それからこれとかは…。
葉っぱという言葉があったか…?道具の特徴を生かし穂先の角度や書く強さなどを変える事でさまざまな線を書く事ができます。
漢字のルーツは中国。
骨や甲羅に刻んだ甲骨文が始まりです。
当時は占いのために使われていました。
筆は主に羊や馬などの動物の毛で作られます。
表現に合わせて長い筆短い筆硬い筆柔らかい筆などさまざまな筆が使われます。
2014/05/01(木) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 芸術「書道 書の世界〜芸術としての書への入門〜」[字]

美術と書道の2本柱で芸術に親しみます。第一線の作家とともに楽しむ創作ワークショップや鑑賞のヒントを満載したアニメなどを通して、美術や書道の魅力を伝えます。

詳細情報
番組内容
今回は書くことの基本。線や筆使いについて学ぶ。実践の場所は、静岡県浜松市の浜松学芸高等学校。実技担当講師の川合広太郎先生、林慶子先生の指導のもと、いろいろな線を書いたり、さまざまな道具での書に挑戦する。
出演者
【講師】東京学芸大学教授…長野秀章,NHK学園高等学校教諭…川合広太郎,千葉県立犢橋高等学校教諭…林慶子,【きき手】日笠陽子,【語り】西脇保

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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