ハートネットTV「自閉っ子 学校へ〜父が撮った240日〜」 2014.05.01

自閉症や発達障害のある子どもたちが多く通う…一般の小・中学校に設置されるようになって7年目を迎えました。
現在16万人が学びその数は増加の一途をたどっています。
しかし今も現場では試行錯誤が続いています。
田村晃くんは去年の春特別支援学級に入った新入生。
自閉症と軽い知的障害があります。
その晃くんをテレビディレクターの父親が1年にわたり撮影しました。
おうちに帰るに決まってるじゃん!おうちに帰るの!もう〜!
(田村)何で?自閉症のためこだわりが強く対人関係が苦手な息子が特別支援学級という場でどんな時間を過ごすのか。
障害児教育の実情を知りたいと撮影を続けた父親。
そのカメラに映ったのは家庭では見る事のできない周囲とのぶつかり合いや成長の姿でした。
晃くん親子の奮闘の記録です。
私たち家族は神奈川県横浜市の郊外で暮らしています
晃は3人兄弟の次男ですがテレビを見る時は別々。
自分の見たい番組を決して譲らないためやむをえずもう一台買う事になりました。
小部屋で自分の世界に籠もる事が多く録画した番組を毎日繰り返し見ています。
その一方で晃は外で遊ぶのが小さい頃から大好きでした。
元気よく育つ彼の姿に私たち夫婦は大きな心配は感じずにいました。
晃が自閉症と分かったのは2歳になってすぐ。
当時言葉はほとんど出ていませんでしたが男の子はそういうものと思っていました。
しかし母親が連れていった福祉保健センターで初めてその可能性を指摘されたのです。
その時の気持ちを妻の美由紀に改めて聞いてみました
その質問のしかたでちょっと…。
私もそのころの事を思い出すと泣けてくるんで…。
今は平気なんだけどその時の自分がちょっとかわいそうで泣けてきちゃう。
その後大好きな外遊びから連れ戻そうとすると激しく抵抗するようになりました。
壁に頭を打ちつけ私たちが止めても聞きませんでした
この…玄関入って…この辺。
ちょっと分かんないけど触ると分かるんだけどベコベコにへこんでおります。
ここでまず家に入りたくなくてここでゴンゴンゴンゴン打ちつけてあとはうちは2階がリビングなので「2階もう行っちゃうよ!」とか言って先に私が行っちゃったりすると階段の下でまだ粘ってここでもゴンゴンやってベコベコです。
ここへこんでます。
この子は将来どうなっていくのか。
私たちは先の見えない不安の中で子育てを続けてきました
4月5日。
晃くんの小学校入学の日を迎えました。
(美由紀)待って待って待って!車来るから飛び出さないよ!自宅から歩いて15分の…6年間晃くんが通う学校です。
そうそうそう…!ようやく体育館にたどりついた時入学式は既に始まっていました。

(「君が代」)
晃は入学前から母親と学校の下見や先生との面談を重ねてきました。
しかし入学式だけはぶっつけ本番でした
晃は音の刺激に敏感です。
案の定落ち着かなくなりました
やむなく式を諦め教室へ。
見学の時に覚えた自分の席へまっしぐら。
記憶力はいいんです
ねえちょっとさ置いておくんだよ。
もう…。
ねえ!学校で使うの。
ねえ!持って帰らない。
学校に置いとくの。
ああ〜!5月下旬保護者会での取材意図の説明などを経て田村ディレクターの本格的な撮影が始まりました。
このころ子どもたちも学校へ通う事にようやく慣れてきていました。
はいできたよ。
立つ!立つ!できたよ。
ヒカ!パパ!一緒に行きな。
はい行ってらっしゃ〜い。
教室に行くのが気の進まないようです。
朝活に間に合わない。
私の方が焦ります
ねえ。
そっちじゃないんじゃないの?
こうなるとてこでも動かないのは家でもさんざん経験しています
10分後晃が向かったのは…なんと校長室でした。
毎日ウロウロしていたらしく校長先生ともすっかり顔なじみのようです
家でもソファーが大好きだからここを気に入ったに違いありません
担任の土屋先生がようやく来てくれました
おはようございます。
(一同)おはようございます。
この教室では1年生から6年生まで合計9人の子どもを2人の先生が見ています。
今年は新入生が一気に5人も加わりました。
支援学級に通う子どもが増え続けている横浜市でもこの学校はトップクラスの増加率。
しかも5人中3人が今まで経験の少ない自閉症の子どもです。
このころは新入生一人一人の障害の特徴を見極めている段階でした。
どら焼き2個書いてくれる人!
(子どもたち)はい!はい。
じゃあユウトさん。
リョウさん次ね。
ええ〜。
担任の一人土屋洋子先生は3年前長い教員生活で初めて特別支援学級を受け持ちました。
何入れてあげる?どら焼き書いて入れてあげるかお花入れてあげるかチューリップ入れてあげるかどれでもいいよ。
できた〜!できた〜!晃くんタッチ!晃さんのドラえもんポッケここ。
これ入れて。
…ね?授業の後半はプリントを使い数字の勉強のおさらいをします。
先生がほかの子の所に行ったので晃は一人きり
ようやく答えを書いたかと思ったら落書きのようになってしまいました
落ち着かない様子ですが先生はまだ見に来てくれません
ほかの1年生もプリントが終わったようです。
ところが…
ああ〜!ちょ…ちょ…ちょっと!
晃が席を立っていちもくさんに走りだしました
何かに隠れるのは晃にとって意味があるって事私はこの時気が付いてもよかったのですが…
晃くんは小学校入学の直前まで横浜市の療育施設に通っていました。
ここでは専門の医師や臨床心理士の指導の下経験を積んだ保育士が自閉症の子どもたちをサポートしています。
晃くんを含め自閉症の場合気持ちの切り替えが苦手な子が多くいます。
このクラスではついたてで部屋を仕切りクールダウンの場所を設けていました。
外からの刺激を遮断できるこうした場所が自閉症の子には有効なのです。
この日は1学期で最も大きな行事運動会。
晃たちのクラスも全員参加します
(スタートの合図の音)
(子どものアナウンス)「勢いよくスタートしました。
白が並んでいます。
白が抜きました」。
ところが始まって1時間もたたないうちに晃の機嫌が急に悪くなりました
晃さん!ほら!晃さんほら!お弁当!
(美由紀)今ここまでだ。
運動会は一日の時間の流れも雰囲気もいつもと全く違います。
特製のプログラムも目に入らないようです
パニック状態。
しかし校庭にはクールダウンできる場所はありません
入学式から2か月。
一人一人違う自閉症の特性に学校側も戸惑いが続いているようでした
夏休み。
学校では最初の4か月の様子を基に教育委員会と相談する事になりました。
そして専門家のアドバイスを受け教室を改装する事に…。
これが新しくなった教室です。
真ん中にはイスだけ。
教室の端にはパーティションのついた机が並びました。
朝礼をしたりみんなで先生の話を聞く共有スペースと一人一人が勉強する個人の席に分けられました。
イスに座れば隣の席が見えないので気が散る事は少なくなります。
人目を気にしなくて済むのでクールダウンの場所としても使えます。
・「はじまるよはじまるよはじまるよったらはじまるよ」教室のレイアウトが変わって1か月がたちました。
教える側も担任2人に更に養護教員の経験を持つ先生が加わりました。
5時だよ晃さん。
長い針と短い針に気を付けて。
どっちかな?いいね!いいね〜!はい。
できました〜!5時。
新しい席が使われるのはそれぞれがプリントの課題に取り組む時です。
次に何をするのか分かりやすいよう順番を書いたトレーも新しい工夫です。
晃が1枚目のプリントを始めました。
時計の絵を見て時刻を書く問題
まずは順調です
おっ!晃さん1番できた?うん。
じゃあ丸付けするから見せて。
はい。
じゃあこれ何時?1時2時3時4時。
4時じゃなくて4時。
4時。
そうです!そうです!1時丸。
よくできました。
じゃあ1番の課題合格です。
2枚目のプリント
できたよ!おっ!書けた?これは?123456。
12345。
OK。
じゃあ晃さんこれ読んで。
ここから。
はい。
(2人)「かだいが…」。
ここ見て!ここ。
(2人)「かだいがおわったので…」。
晃さんここ見て。
「ほんをよみます」。
はい分かりました。
はいじゃあ晃さん「おしまい」って言ったら返してね。
うん。
はいどうぞ。
プリントが終われば待っているのは大好きな読書の時間です
毎日家でも見ている戦隊ヒーローの絵本。
それが楽しみで頑張れるんだね
この日特別支援学級にボランティアの方が紙芝居を見せに来てくれました
「おい!止まれ止まれ!」。
(太鼓の音)
しかし晃の姿はありませんでした
晃さん。
ああ〜!紙芝居してくれてる。
ああ〜!紙芝居してくれてる。
ボランティアの方に申し訳なくなんとか紙芝居に関心を向けたいと思いました
イス座ろうよ。
イスに座ろうよ。
ねえ?はあっ!はあっ!はあっ!やめて。
やめてやめて。
やめて。
バンバンしない。
今度はねすごい手品を見せてやる。
手品!?手品だよ。
ああ〜!
後から考えるとこの太鼓の音が苦手だったのかもしれません。
また教室を飛び出してしまいました
ここで過ごしたのは5分ほど。
それでも晃は随分落ち着いてきました
初体験の紙芝居。
その状況を受け入れられなかった晃。
しかし水飲み場が新しいクールダウンの場所になりました
自分自身で自分なりの気持ちの収め方を見つけたようです
入学から間もなく丸8か月。
まだまだ一筋縄ではいきません。
はい!はい晃さん。
どこ読んでくれますか?こっち。
どれどれ?夜ごはん!難しいよ夜ごはんは…。
何時?8時!ちょっと惜しいな。
7時半!そうそう…!よく読めた!やった〜!よし!よ〜し!じゃあね夜ごはん食べて頑張るぞ〜!夜ごはんハンバーグ食べて頑張るぞ〜!今度は自分の席でプリントです。
できました!5時半。
合ってます。
これ12時半。
12時半。
すごい!晃さん!全部できました!やったね!うん。
やった〜!すばらしい。
(2人)「かだいがおわったので」。
これここ見て。
「えを…」。
(2人)「かきます」。
はい分かりました。
いつもは落書きくらいしか書かないノート。
この日晃くんは自分から文字や数字を書きだしました。
2!ねえねえ!先生!先生!先生!
(土屋)はい!9はどこ?えっ?9!9?晃さん前お勉強したよ。
これ見てごらん。
9どこだ?こっち!そうだよ!これ9だよ。
(土屋)できた!できた!よくできた!すごいすごい!数できた!すごいね。
俺全部できた!できたね。
いっぱい書けたね。
試行錯誤の中で支援学級全体が変わり始めたようです。
1か月2か月と重ねるうちに…
もうすぐ2年生になる晃。
まだできない事も多いだけに母親の心配の種は尽きません
(美由紀)ほらおならする。
臭〜い!嫌だ!臭いの持ってこないでちょうだい。
そうだね。
この日は学芸会の練習です
父親としては我が子の将来がまだまだ不安なのが本音。
でも今は晃がこの教室で見せてくれた小さな成長の兆しを褒めてあげたい気持ちです
2014/05/01(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「自閉っ子 学校へ〜父が撮った240日〜」[字]

集団生活になじみづらい自閉症の子どもたち。小学校に設置された特別支援学級に入学し、様々な壁にぶつかりながら育つわが子を、父親のディレクターが240日に渡り取材。

詳細情報
番組内容
自閉症や発達障害のある子どもたちが数多く通う特別支援学級。一般の小中学校に設置されるようになって7年目。児童数は16万人を超え、増え続けている。田村晃(ひかる)くんは、自閉症と軽い知的障害のある、特別支援学級の新入生。こだわりが強く、対人関係も苦手。その晃くんを、テレビディレクターの父親が240日にわたって取材。カメラに映ったのは、家庭では見ることのできない、周囲とのぶつかり合いや成長の姿だった。
出演者
【語り】小谷あゆみ

ジャンル :
福祉 – 障害者
趣味/教育 – 幼児・小学生
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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