(沢嶋)
今夜あなたは目撃する。
怪奇現象が起きる屋敷カメラが捉えた衝撃映像江戸の人々を震え上がらせた戦慄の出来事とは?渦巻く…
徹底調査で分かった…
そこで私が見たものとは?
その正体を追う!
え〜アブソリュートポジションN354W836E076S299ポジション確認。
アブソリュートタイムB0984524年45時54分23秒。
西暦変換しますと1793年3月5日9時31分44秒。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー393465これから記録を開始します。
沢嶋雄一彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名も無き人々を記録していくタイムスクープハンターである。
この年江戸の町では奇妙な怪奇現象が頻発していた。
何が起きているのか?その現象を取材するため私はある一軒の屋敷に向かった
これですね。
このお屋敷ですね。
こちらが旗本の…このお屋敷で何やら不思議な現象が起こるようなんですけど見たところ何ら変わったところはございませんね。
ちょっと中に入ってみて調査しましょう。
すみません。
どなたかいらっしゃいますか?は〜い!あっいらっしゃいましたね。
何でございましょう?あっすみません。
お待ちしておりました。
どうぞ中へお入り下さい。
ありがとうございます。
え〜無事に屋敷の中に入れそうです。
この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触するには細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに密着取材をするためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
失礼します。
どうぞ。
そしたら…ちょっとその…はい。
どうぞこちらです。
はい。
あっこちらがお勝手ですか?はい。
あっ割れてますね。
はい。
そうですか。
はい…。
これは…こちらに…。
はい。
ああほんとですね。
妙な音って何ですか?初めはやっぱり…誰もいない?ええ。
誰も…。
風の音とかじゃなくてですか?いえ風の音とはちょっと違いましたね。
この部屋ですか?ここのこれ。
行灯のロウソク。
焼けてますね。
焼けてますねこれ。
行灯が飛び上がった?
(平助)そう。
それで…この障子に?ええっそんな事ありえます?ああ…燃えてます。
燃えてますね実際に。
焼け焦げたあとがちゃんとあります。
奇怪な現象が屋敷では3か月前から起きているという。
江戸時代これと似たような現象が他にも数多く存在し言い伝えとして記録に残されている。
妖怪や幽霊の仕業なのだろうか。
石黒新左衛門。
先代を早く亡くし若くして家督を譲り受けた当主である
そうですね。
ばかばかしい。
お母様が…。
女性たちの不安は増すばかりであった。
相次ぐ怪奇現象をなんとか鎮めようとお札を土間に貼る事にした。
言いだしたのは新左衛門の母千代である
千代さん。
はいどうぞ。
大事な時ですか?
千代はかなり憔悴しているようだ
果たして原因は何なのか。
私は状況を捉えるため屋敷に監視カメラを設置させてもらう事にした。
証言を基に不思議な現象が起きたという物置部屋裏庭そして土間にカメラを配置。
その映像を廊下で監視する事にした
え〜現在9時を回ったところです。
屋敷の皆さんは寝床に入りました。
本当に怪奇現象が起きるんでしょうか。
(鳥の鳴き声)え〜現在午前3時を回ったところです。
何ら映像には変化は起きません。
今日はもう起きないんでしょうか。
その時だった!画面左下
白い布がかすかに動いた。
隙間風のいたずらだろうか。
その直後画面右のほうきが…更に棚の上の皿に変化が…
そして…
(皿の割れる音)
土間には割れた皿が落ちていた
割れてる…。
宙を飛んだ皿。
まるで幽霊に操られていたかのようだった
なんじゃ?あ…お皿が割れてます。
え?また起こったのか…。
妖怪の仕業…!やはりこの屋敷は祟られておる…。
再び起きた怪奇現象に不安と動揺が更に広がる
はい…。
大丈夫じゃ。
一体どうして皿が飛んだのか…。
携帯する映像モニターでは原因を検証する事はできなかった
(祈とう)
翌日屋敷に修験者を招きお祓いを行う事にした
(祈とう)
誰もがこれで怪奇現象が収まるだろうと信じていた。
ところが…!
(物音)静かに!
どこからか聞こえてくる奇怪な音
(物音)
原因を探ろうと裏口へ向かう。
そこで見たものは…
(悲鳴)空から…空から石が降ってきてます!
(祈とう)
恐怖におびえ誰も外に出られない
石の雨は深夜まで続いたが原因を突き止める事はできなかった
これが空から降ってきたんですね。
文献「遊歴雑記」によるとある与力の家では深夜屋根に無数の石が打ちつけられる怪奇現象が起きた。
そのため修験者を呼んで祈とうをしたがその後も皿や火の付いた薪が家の中を飛ぶポルターガイスト現象が続いたという
なぜこのようなところに…?ちょっと見せてもらっていいですか?はい。
現場に落ちていた小さなキノコ。
今回の現象に関係があるかどうかはまだ分からない
キノコ…。
ありがとうございます。
本部本部こちら沢嶋応答願います。
(古橋ミナミ)はいタイムナビゲーターの古橋です。
古橋さん監視カメラの映像の解析をお願いしたいんですが…。
江戸時代の超常現象の件ですか?ええ。
本当に妖怪がいるとは思えないんですがどうやら不思議な事が起こっておりまして念のため確認をお願いします。
了解しました。
データを転送して下さい。
はい。
あ…収録されたデータの量が多いですから解析には少し時間がかかりますがよろしいですか?もちろんです。
何かありましたら連絡お願いします。
了解しました。
お願いします。
しばらくして意外な人物から怪奇現象の手がかりを耳にする
実は…何?まことですか。
それはどこの家です?差し障り…。
池袋村…。
だ…誰です?母上!母上…。
ああ…。
母上?母上!母上!池袋村の者であったのか!奥様おやめ下さい。
どうされたというのですか。
(千代)よくもそんな事が言えるのう。
(千代)この疫病神が!母上!しばしお待ち下され。
黙っておいでなさい。
母上。
離しなさい新左衛門!
(新左衛門)いいえ!
(千代)新左衛門!そなた…
(新左衛門)さような事ではございません。
母上…もちろん…嫁に…。
なんてばかを申すの!新左衛門をたぶらかして!母上!母上といえども口を慎んで下され。
お願いいたしまする。
真相究明のため新左衛門は池袋村へ向かった。
江戸に続発した多くの怪奇現象。
怪奇現象が起きた家に共通するのは下女の中に池袋村出身の女性がいた事。
「池袋村の下女を雇うと怪奇現象が発生する」。
そんなうわさが都市伝説のように広まっていく
あれ?あれ?どうしたんですか?いや…向こうの木の辺りに人影が見えたようなんじゃが…。
ここにおったはずなんじゃが。
誰もいませんけど。
いや…。
あれ?
記録された映像をよく見てみると確かに木の陰に女性らしき姿が…
おったはずなんじゃが…。
その時だった!
(新左衛門)待て!池袋村の方ですかね?
村の女性なのだろうか?我々は必死に女性の後を追った
どこ行ったんですかね?分からん…。
どこじゃ!?いや…
気が付くと辺りはすっかり暗くなっていた
(鳥の鳴き声)うわ!本部本部こちら沢嶋。
本部!あれ…?おかしいな…。
何だよ何で通じないんだろう。
原因不明の機材トラブルで本部との通信ができない。
新左衛門と私は完全に森の中で迷ってしまった
あっ…あっ!えっどうしたんですか?
突然新左衛門が走り出す。
一体何が起きたのか?暗闇の先に小さな小屋が現れる
ハァ…ハァ…。
わっ!どうしたんですか?
そこにあったものは…
ああ…。
あっ!
更に…
あそこ!
それは家に石の雨が降り注いだ夜現場にあったキノコと同じ種類のものだった。
江戸時代池袋村はキノコの産地だという。
屋敷に石を投げつけたのはここの村人たちである疑惑が深まった。
恐らく大量の石を籠に入れる時にキノコも一緒に付着したのだろう
(新左衛門)ササコじゃ…。
ササコ…。
(戸が閉じる音)ええっ?
(物音)何ですか?何ですか?どうしたんですか?おい!えっちょっと…。
(物音)戸を破るぞ!あっはい!えいっ!わ〜っ!
外にはいちもくさんに逃げていく村人たちがいた。
必死に追いかける。
そして…
(村の男)何だよ!
(新左衛門)待て!
ついに一人を捕らえた
(村の男)いてえよ!離せよ!
(新左衛門)観念せい!まだしらを切るか。
観念せい!
(村の男)ちょっと…ちょっと!
(新左衛門)奉行所に引き渡すぞ!いてえ…。
ふざけるなよ!
(新左衛門)我らが悪いだと…?
(村の男)そうだよ!何を申しておるのだ。
もうよい。
(村の男)ハァ…あっああっ!はいこちら沢嶋。
沢嶋さん無事ですか?はい。
少し前から呼びかけていたんですが応答がなかったもので…。
原因不明の機材トラブルでした。
今は異常ありません。
そうですか。
よかったです。
映像の解析が終わったんですが…。
どうでした?こちらをご覧下さい。
土間の映像ですがお皿が落ちる直前に棒のようなものが映っています。
なるほど…。
隙間から棒を突き出して外からつついてたんですね。
更にこちら。
家の外に仕掛けられた映像です。
画像を補正してクリアにしたところここに男性が映っていました。
あっこれは…。
まさに先ほど捕まえた村の男だった。
手には棒のようなものを持っている。
多分この棒で皿を動かしていたのだろう
これではっきり分かりました。
ありがとうございます。
いえ…。
石つぶてや行灯への放火も全ては村人たちによる犯行であった。
屋敷に戻った新左衛門は真相を母親の千代に説明した。
そしてさきへの真剣な思いを伝えた。
このような類いのうわさには主人が村出身の下女と関係を持つと怪奇現象が起きるというストーリーになっている場合が多い。
村の女性をとられた事に対する男たちの怒りの行動だったのだ。
また虐げられた下女が主人に対する嫌がらせのために行った自作自演の場合もあった
(新左衛門)おっまつ。
はい。
あっ新左衛門様。
これが奉公人の部屋に置いてございました。
それはさきが書き残した置き手紙であった
どうしたんですか?
手紙には「騒動を起こしてしまった事をわび自ら責任をとって家を去る」とつづられていた。
閉鎖的な村のしきたりから端を発し根拠のないうわさが悲劇を生んでしまった。
恐ろしいのは妖怪や幽霊でもなく差別を作り出す人間である。
時がたちやがて村のしきたりがなくなると怪奇事件は立ち消えとなりうわさや差別もなくなった。
いつの時代も一時の流行の波にのまれ運命を翻弄されてしまう人々がいる。
そうした悲劇が繰り返されていく事を忘れてはならない
以上コードナンバー393465アウトします。
イギリスで19世紀に造られた歴史的な建物。
2014/05/02(金) 02:00〜02:30
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター「解明せよ!戦慄の超常現象」[字][再]
シーズン6の第4回。時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)は江戸時代の“怪奇現象”を取材。不可思議な現象で、民衆は妖怪や幽霊の仕業ではないかと恐れおののいていた。
詳細情報
番組内容
今回の取材対象は江戸時代の民衆をおびえさせた“怪奇現象”。1793年、旗本の石黒新左衛門の屋敷で不思議な現象が起きていた。沢嶋雄一は“特殊な交渉術”を用いて屋敷の中に入り、怪奇現象の調査を開始。台所のお皿が夜中に次々と割れたり、勝手に火がつき、障子が燃えたりした。数日後、石が雨のように屋敷の屋根に降り注ぐ。祈とう師のおはらいも効果がない。沢嶋は屋敷に監視カメラを設置。そして驚がくの映像が…
出演者
【出演】要潤,杏
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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