(七々々)《本当に行っちゃうの?》
(霞)《うん…》
(七々々)《私を殺した犯人を捜してくれるって言ったくせに》
(霞)《ごめん。
でもそれは私には無理なんだ》《その役目は私にはできない。
なぜなら…》《もし私を殺した犯人を追えば自分が殺されちゃうからでしょ?》
(霞)《それが人生先読みの鏡が私に見せた予知》《でも大丈夫だよ》《私には無理だったけど次にこの部屋に住み着く人がきっと願いをかなえてくれるから》
(天災)待っていたぞ重護。
(重護)あの二人が一鶴春秋と取引するって?
(天災)ああ。
杖を1億で売り払うそうだ。
1億!?フフッ…。
そんな好き勝手させるかよ。
(天災)なあ重護。
私たちは唯我殿たちから杖を取り戻せるだろうか?どうしたんだ?
(天災)何だか怖くなってきてしまったのだ。
抱き締めてくれないか?さあおいで。
何者だ?身長が3cmも違うぞ。
普通はそんな微妙な違い分からないって。
私は名探偵だからな。
それじゃあバレても仕方ないか。
おお。
あのときの偽警官。
(椴松)まあ名前は言えないけどこっちの業界じゃ怪盗団祭の百面相なんて二つ名があるんだ。
本物の怪盗だったとは…。
(椴松)ほれちゃった?ああ。
これはぜひ捕まえなければならないな!えっ?
(椴松)ああ…ちょっと!俺たち重護君を拉致しているんだけど…。
(天災)さらばだ重護!来世で会おう!
(銃声)
(椴松)痛たたた…。
重護君見殺しかよ!
(天災)こらー!待てー!
(重護)これで全て計算通りです。
(雪姫)あとは私たちが宝を奪うだけですね。
(重護)ええ。
(重護)あっ。
これが約束の報酬です。
(雪姫)偽物じゃないでしょうね?これは本物です。
そうですか。
それにしても意外でした。
まさか祭に共闘を申し込んでくるとは…。
《ごめんなさい!ごめんなさい!本当にすみませんでした!》《あのうところで七々々コレクション欲しくないですか?》《どういうことですか?》《これからここにあった七々々コレクションを取り返しに行くので協力してください》雪姫さんたちの協力には感謝しています。
パートナーにわれわれを選んだのはあの名探偵を危険から遠ざけるためですか?まさか。
ただあんまり俺の正体を知られたくないと思っただけです。
彼女をお願いしていいですか?分かりました。
お気を付けて。
(一心)こうして君と戦うことになるとは思わなかったよ。
俺も予想してませんでしたよ。
まさか部長の目的が七々々コレクションを売り払うことだったなんて。
アハハハハハ!そんなことするわけないだろ。
これさえあればどんな願いだっていくらでもかなえることができる。
まさに最強の七々々コレクションだよ。
なら本当の目的は何なんですか?世界征服だ。
はい?世界征服だ!僕の野望はねこの世界を支配することなんだ。
《アホだ。
唯我部長はアホだった》まず手始めにこれからやって来る一鶴春秋をこの杖で操りこの島を手に入れる。
えっと…。
とにかくそれは渡してもらいます。
ではこの杖の力で君を排除するとしよう。
燃えろ。
うっ…!《本物の魔法じゃねえかよ!》凍れ。
突き刺せ!わっ!うわっ…。
君のその素早い動きは厄介だな。
取りあえず…。
その場で硬直しろ八真重護。
それずるいっす!ぐあ…。
少し痛いよ。
吹き飛べ。
うわっ!くっ…。
いってえ…。
吹き飛べ!うわっ!あっ…。
なるほど。
声の大小やイメージによって威力は変わるのか。
マジいってえ…。
ありがとう八真君。
おかげでいいデータが取れた。
おい…いいかげんにしろよ。
てめえは何様のつもりだ?ホントにこの島はいらつく連中ばっかいやがる。
名探偵になりたいだの世界征服だのバカかお前ら!もうそんなノリはお呼びじゃねえんだよ!恥ずかしくてへどが出んだよ!そんなこと堂々と吠えてんじゃねえ!てめえらみたいなやつは見てるだけで腹が立つんだよ!八真君君は哀れだな。
あ?何だい?そのくだらない物言いは。
夢を抱くことが恥ずかしいだって?だったら君はいったい何だ?回りの人間と同じなら自分は正常だとでも言うのか!?そんな連中と一緒になって目指すべきものに向かってあがく人間を笑いさげすむのが正常か!?そんなことをするやつはただのくずだ!人は夢を失わない!ムカつくんだよ…。
どっちが正しいのか勝負しましょうよ。
あんたの夢が勝るか俺の腐った根性が勝るか我慢比べといきましょう。
いいだろう。
僕の魔法を存分に味わうがいい!うわっ!うわっ!
(一心)フッ…。
それにしてもタフだね。
親が教育バカだったもんでいまだに毎日の鍛錬は欠かしてません。
だがこれ以上は本当に命に関わる。
もう帰って眠るんだ八真重護。
《その手できたか…》どうした!?フフフフ…ハハハハ!ようやくエネルギー切れか。
なっ!?どういうことだこれは?部長知らなかったでしょ。
その杖に欠点があることを。
欠点?さっきいくらでもって言いましたけど魔法使いの杖は無制限に使えるわけじゃないんですよ。
何だって!?燃えろ!燃えろ…燃えろ!あんたはいいところばかりに目がいって欠点を見ようとしなかった。
自分が長年欲しかった杖に対する強烈な憧れが最強の七々々コレクションだという強烈な思い込みがその力を疑う気持ちをはなから捨てさせていた。
杖の力を過大評価し過ぎたこと。
それがあんたの敗因だ。
唯我部長。
あんたは七々々ちゃんに杖の使い方を確認すべきだった。
だけど俺たちへの後ろめたさからそれができなかった。
結局あんたは最後の最後で自分の夢を誇れなかった。
つまりあんたの夢はしょせんまだその程度だってことだ。
《ダセェ。
マジでダセェ。
死ね八真重護》《何をそんな偉そうに講釈垂れていやがる》《てめえなんかとっくの昔に自分の信念捨てて回りに溶け込んだただのカスだろうが!》殴らないのかい?別にその必要もないでしょ。
俺の勝ちってことでその杖を下さい。
・
(影虎)それはできぬ相談だな。
(影虎)許せ後輩。
うっ!
(影虎)それは一心の野望のために渡すことはできん。
(雪姫)大丈夫ですか?茨先輩は?逃げました。
なぜ殴らなかったのですか?ハハッ…なぜでしょう。
《人は夢を失わない!》《単純に嫌だった》《あんなバカな夢を持ってるやつを殴るのが》
(影虎)ずいぶん一方的に言われてたな。
まったくだ。
何も言い返せなかったよ。
だがあの八真という男悪いやつではなかったな。
(夕)どこがよ!?一心さまをぼろくそにけなしやがって!
(天災)ニャーッハッハッハ!ニャーッハッハッハッハッハ!
(一心)天災君!?あっ…。
(天災)どうも唯我殿。
こんな場所で会うとは奇遇だな。
(一心)君は…何者なんだ!?ただの名探偵だよ。
しかし今だけは一鶴春秋の使いだ。
どういうことだい?
(天災)実は先日国家権力の誤解を解く際に一鶴氏の力を借りてね。
不本意ながら一度だけ役に立つ行動をするという取引をしたのだ。
どうする?切り抜けるか?いや。
君だけならどうにかなるかもしれないが僕や夕には荷が重い。
これを渡せば僕と仲間たちの身の安全を保障してくれるのかな?
(天災)一鶴氏からの伝言だ。
「私はビジネスはするが強盗はしない」…だそうだ。
フッ…。
(一心)すまなかったね呼び出したりして。
ケガ大丈夫かい?すげえ痛いっすよ。
すまない。
後輩を裏切って無駄に力を振り回して結末がこれとはね。
はっ…ざまあ。
まったくだね。
それで?これからどうするんですか?また何か別のものを探すよ。
自分の野望に役立つ七々々コレクションをね。
ぷっ…あ〜あ。
それじゃまた部室に顔出しますから。
えっ…。
もう裏切りはなしですよ。
それは保証できないな。
やあ重護。
待っていたぞ。
何が待っていただ。
ふざけんな。
俺のことを見捨てたくせに。
何のことだ?お前俺があの連中に拉致されてたのに見捨てたろ。
なぜだ?だって重護は怪盗団祭の関係者ではないか。
はい?重護たちの狂言誘拐に何で私が付き合わなければならない。
…って待てお前。
えーと…その…。
何だ?何で分かった?確信したのは202号室に押し掛けて重護の携帯をチェックしたときだ。
えっ?おい嘘だ…。
嘘だろ!?深夜のコンビニでお前の腰が引けたのは携帯電話が震えたからだと言っていたな。
誰も信じてくれなかったけどな…。
いいや。
私は信じたぞ。
お前の携帯電話には着信もメールもなかったがアラームはあの時間にセットされていた。
あっ…。
それはあの宝石の入った箱がパラシュートで路地裏に降下してくる時間だった。
あっ…。
重護。
お前はあらかじめあそこにあのタイミングで宝石が降ってくることを知っていた。
どうやって知ったのか?それは怪盗団祭の連中が計画した犯行を事前に全て知っていたからだ。
ではなぜそれを事前に知ることができたのか?それはお前が祭の関係者だからだ。
そしてお前はその計画を横取りした。
証拠はあるのか?ハッキングしたんだ。
重護の携帯を。
まさか祭の連中が計画を練るのにネット上のSNSを使っているとは思わなかったぞ。
おま…いつやったそれ!?コンビニの映像が流れている間だ。
そのときに重護の携帯にハッキング用のプログラムをダウンロードしておいた。
えっ…。
遺跡に閉じ込められたときもお前は祭に所属するあの二人に助けを求めていた。
ハァ…。
むちゃくちゃなやつだなお前は。
まさかこんなふうにバレるなんて思わなかったよ。
ふっふん!私には全てお見通しなのだ。
それで?俺を警察にでも突き出すか?重護よ名探偵にはライバルが必要だ。
はっ?そいつは悪者の方がもちろんいい。
具体的には悪のサラブレッド。
秀でた身体能力。
計算高い頭脳の持ち主。
そして悪者っぽい目つき!お前!まさかそれを俺にやれとか言わないよな?ああ。
いまさらやれとは言わない。
なぜならもうなっているからな。
えっ…どういうこと?学校では隣の席。
そしてあしたから私とダルクは幸せ荘の203号室に引っ越すことにした。
したって…。
これが名探偵壱級天災だ!うるせえよ…。
何だよ。
(重護の父)雪姫から報告を受けてな。
気になったから電話しただけだ。
そうですか。
(重護の父)どうだ?その島は。
ずいぶんとおかしな島に島流しにしてくれたもんだ。
まあ祭なんて時代遅れの家業からも解放されたし好き勝手にやらせてもらってるよ。
(重護の父)フッ…。
そいつはよかった。
それで?祭からそっぽを向いて好き勝手にやっているお前が雪姫たちを巻き込んでどういう心境の変化だ?別に何もねえよ。
(重護の父)俺の跡なんて継がないんじゃなかったのか?ああそうだよ。
悪人からしか盗まない義賊だの困ってる人たちを救うだのそんなのくだらねえ。
(重護の父)まあそうだろうな。
何せお前は人ってもんが好きじゃないからな。
なっ…。
勝手に決め付けてんじゃねえよくそ親父!
(重護の父)そうか。
ならもう彼女の一人や二人はできているんだろうな?あっ…。
はっ…当たり前じゃねえか。
モテモテだよ。
最近知り合った金髪女なんて俺に引っ付いてしかたがねえよ。
《別の意味でだけど》
(重護の父)へぇ〜すごいじゃねえか。
ならお前はその子のことはどれくらい好きなんだ?ちょっと言ってみろよ。
あ?何でだよ。
(重護の父)人ってもんが嫌いじゃないんだろ?だったら聞かせてみろよ。
えっと…尊敬はしてる。
あいつのことは素直にすごいと思う。
(重護の父)だけどそれだけだろ?何を捨ててまでその子のためにしてやろうというほどじゃない。
違うか?だから別にほれてるとかじゃ…。
(重護の父)ならもしその子がお前を頼ってきたらお前はその子のために何かしてやれるのか?そりゃ…できる限りのことはするさ。
(重護の父)できる限りってのはどれくらいだ?あっ…。
(重護の父)ハハハハ…。
つまり今のお前は他人を好きになれてないんだよ。
だからお前は誰も救おうと思えない。
それなりの力があるのにそれを他人のために行使しようとは思えない。
くっ…。
(重護の父)まあ結局はあれこれ言う以前にそもそもお前に俺の跡を継ぐ資格はなかったってことだ。
言われなくても義賊なんて死んでもならねえよ!祭がやりたきゃ親父たちだけで勝手にやってろよ!俺はやらない。
絶対にやらない!死んでもごめんだ!おお?そんなのあり!?こなくそ…。
こっち来んな〜!ひっ…。
(ゲームオーバー音)あ〜もうくやしい!
(プリンを吸う音)ナイスシュート。
ん?おふぁえり。
ただいま。
ねえそれってキラキラ嘘発見器だよね?何か取引に使うとか言って持っていかなかった?うんだけど持って帰ってきちゃった。
えっ?笑いを取るつもりで偽物を渡したんだけど気付いてくれなくて。
重護って実は結構悪者だよね。
そんなことないよ!すいません…。
実はちょっともったいないと思って手放したくなかったです。
でもまあいいかな。
えっ?ど…どういうことですか?重護だったらきっといいことに使ってくれると思うから。
あっ…。
だって重護は私を殺した犯人を見つけてくれるんでしょ?2014/05/02(金) 02:28〜02:58
関西テレビ1
龍ヶ嬢七々々の埋蔵金[字]【父親に勘当された高校生と地縛霊が犯人探しの大冒険!】
一心が「魔法使いの杖」を一鶴春秋に売り渡すと知った重護は、取引現場近くで天災と落ち合い、杖を取り戻そうと機をうかがう。だが突然、天災が不安を口にする。
詳細情報
番組内容
父親に勘当され、家を追い出されて七重島にやってきた高校生「八真重護」は、一人暮らしを始めた部屋で地縛霊「龍ヶ嬢七々々」と出会う。重護は、10年前に何者かに殺害された七々々を成仏させるため、犯人捜しを決心する。
かつて七々々が世界各地で収集し、今では島のあちこちの「遺跡」に隠されている「七々々コレクション」。
この不思議な力を持つお宝を使えば、七々々を殺した犯人を見つけることができる。
番組内容2
重護は、七々々コレクションを手に入れるため、冒険部に入部する。
しかし、七々々コレクションを狙って、ひとくせもふたくせもあるプレーヤーの思惑が渦巻いていた…。
出演者
龍ヶ嬢七々々(りゅうがじょう ななな): 田辺留依
八真重護(やま じゅうご): 小野友樹
壱級天災(いっきゅう てんさい): 阿澄佳奈
星埜ダルク(ほしの だるく): 花澤香菜
唯我一心(ゆいが いっしん): 興津和幸
茨夕: 鈴木絵理
徒然影虎: 早志勇紀
不義雪姫: 能登麻美子
椴松鷲: 鳥海浩輔
真幌肆季: 内山夕実
夢路百合香: 伊藤かな恵
黒須参差: 櫻井浩美
出演者2
辻深鉄之進: 細谷佳正
吉野咲希: 久野美咲
スタッフ
【原作】
鳳乃一真(ファミ通文庫刊)
【キャラクター原案】
赤りんご
【監督】
亀井幹太
【シリーズ構成】
倉田英之
【キャラクターデザイン】
川上哲也
【プロップデザイン】
坂