ありがとう。
たいせつにするね。
(テーマ音楽)げき流を下るカヤック。
雪しぶきをあげてすべるスノーボード。
いや〜かっこいいですね!「道徳ドキュメント」。
今回の主人公はこの人辰己博実さんです。
辰己さんはアウトドアスポーツの達人。
夏は海や川へ冬は雪山へと出かけスポーツを楽しんでいます。
しかし実は辰己さんは足に障害があります。
立って歩くことはできないのです。
真っ白な雪の上をさっそうとすべる人がいます。
じゃあちょっと行ってきます!辰己さんが乗っているのはイスとスノーボードを合体させた…足が使えなくてもこしやうででバランスをとりながらすべっていきます。
直角に切り立ったかべでジャンプをすることもできます。
辰己さんは冬から春にかけては毎日のようにすべりを楽しんでいます。
辰己さんはふだん車イスで生活しています。
6年前に大けがをしてから足を自由に動かすことができなくなったのです。
もともとは徳島県出身の辰己さん。
スノーボードのみりょくにはまり北海道に移住。
アウトドアスポーツのガイドとして働いていました。
しかし悲げきがおそいます。
ジャンプをした時バランスをくずして落下。
背中を地面に強くたたきつけられました。
せきずい損傷。
一生歩くことはできないと医師に告げられました。
結婚して子どもが生まれたばかりの時でした。
手じゅつ終わったあとに病室で起きると横に妻がいるわけですよね。
その時にはやっぱりいちばん最初に出た言葉は「ごめん」ですよね。
もうホントごめんねしか言えなくて…。
その晩は妻と2人で病室で泣きましたね。
入院生活は4か月におよびました。
辰己さん車イスで生活を始めましたが外に出る気分になれませんでした。
なんかかわいそうなものを見ちゃったみたいなそういう目で見られるのがいちばん最初すごくいやで。
劣等感でしかないですよ。
やっぱり人とちがう。
乗り物に乗ってるってこともそうだし足が動かないってこともそうだし足が動かなくて車イスに乗ってるからできないこととかってすごく多くて…。
将来への見通しが立たず落ちこむ日々が続きました。
そんな辰己さんを救ってくれたのが病院で見つけたあるざっしでした。
そこには車イスの人たちがさまざまなスポーツを楽しむ様子がしょうかいされていました。
その中にチェアスキーをしゅみとして楽しんでいる人の写真がありました。
辰己さんそれまでチェアスキーは勝ち負けを争うものだと思いこんでいました。
「なんだこれ!」って思って「あれ?もしかしてこの人がこういうことをしているんであればぼくはこれができるんではないか。
あれ?あきらめてたけどもしかしたらあきらめなくてもいいのかな」。
辰己さんはふたたびゲレンデにもどる決意をします。
しかし目ざしたのはチェアスキーではありません。
大好きだったスノーボードです。
ところがチェアスノーボードは見たことがありませんでした。
ためしにチェアスキー用のイスにスノーボードをつけてすべってみましたがうまくすべることができません。
いちばんのなやみはイスが固定できないことでした。
取り付ける金具を変えたりネジの太さを変えたり。
修理をしてはゲレンデに通う日々が続きました。
そのすがたを見て声をかけてくれた人がいます。
玉井さんはスノーボードを作る会社を経営しています。
とにかくすべりたいっていうのが伝わってきたからそれにすなおにスパッとこたえたっていうか。
まあ好きなんだなと思いましたよね。
ホントに。
ネジが折れちゃうんで。
玉井さんはイスとスノーボードをつなげるための部品選びから取り付ける方法まで幅広く相談に乗ってくれました。
なるほど。
試行錯誤は1年も続きました。
そしてついに辰己さん手作りのチェアスノーボードが完成しました。
今では昔と同じようにすべりを楽しむことができるようになりました。
それをこえる努力っていうのはつねにやっぱりそれはホントにぼくだろうが障害者だろうが健常者だろうが関係ないと思うんですよね。
やっぱりつねにそういう意識で生きていくっていうか。
できなくてもあきらめないという気持ちでふたたびスノーボードに乗れるようになった辰己さん。
もう一つできるようになったことがあります。
それがこのカヤックです。
けがをする前辰己さんはカヤックで川下りをするのが夏の間の楽しみでした。
プールにカヤックをうかべてれん習を始め仲間たちに助けてもらいながら川に通いこげるようになりました。
ふたたびアウトドアを楽しめるようになった辰己さん。
3年前にある仕事を始めました。
雪がとけ初夏をむかえたニセコ。
この季節になると辰己さんはアウトドアツアーのガイドとしての仕事を始めます。
乗りこむのはカヤック。
おお〜。
辰己さんはけがをする前げき流の川を下るラフティングのツアーガイドとして働いていました。
その経験を生かしアウトドアの会社を立ち上げたのです。
ツアーの場所に選んだのはげき流の川ではなく流れのないおだやかな池。
どんな人でも手軽にアウトドアを体験できるようにするためです。
やりたいっていう人にはみんなやってもらえるようなそういうツアーを目ざして。
辰己さんは中でも障害のある人にこそツアーに参加してほしいと考えています。
この日ツアーに参加したのは高橋さん一家です。
よろしくお願いします。
よろしくね。
むすめの野々花さんは病気のため体全体を動かすことができません。
もう一組乗りこむのは長岡さん一家。
長岡さんは足に障害があります。
辰己さんはどんな人でも安全に楽しめるようにさまざまな工夫をしています。
ボートは転ぷくしにくいように設計されているものを選びました。
軽い力でこいでも前に進んでいくようにできています。
さらに池は流れもなく波も立たないのでゆっくりと周りの風景を見わたすことができます。
どう?野々花ちゃん。
つける?つけてみよう。
ジャバジャバしてみる?してみない。
してみない?
(辰己)すごい冷たいよ。
水の冷たさやそよぐ風。
自然のゆたかさを全身で感じるのがアウトドアスポーツの楽しみです。
わあ〜!あっ冷たい。
(辰己)冷たいでしょう。
(笑い声)やられた!ツアーの最後は辰己さんがボートを引っぱってスピードアップ。
風を切る気持ちよさを感じてもらいます。
すごいね。
すごいすごいすごい。
楽しかったです。
水がすごい冷たくて気持ちよかったです。
野々花さんから辰己さんに「すごいわざが見たい」とリクエストがありました。
この辺が見やすいかな。
おお〜!冷たいのに!だいじょうぶですか〜?やった!
(はくしゅ)
(笑い声)もう1回!?もう1回やる。
もう1回だって。
うわ〜!
(はくしゅ)
(はくしゅ)あれもできるかもしれないよ。
もっといろいろ楽しめるしもっとみんなが出ていけるしって思うんですよね。
そういうふうになればいいししなきゃいけないなと思って。
今辰己さんは新しいちょう戦を始めています。
パラカヌーというスポーツでパラリンピックに出ることです。
そのゆめに向かってさまざまな大会に参加しています。
この日出場した大会では全体で2番目の好記録を出しました。
準優勝辰己博実さん。
ありがとうございます。
辰己〜!
(はくしゅ)けがをしたのは最悪で最低なんですけどでも世界はすごく広がりましたね。
今けっこうやりたいことがいっぱい出てきたし。
まあただでは転ばなかったっていう…。
転んで拾ったものもけっこういっぱいあるしなくしたものもすごいあるけど拾ったものもすごいあるし今はすごくじゅう実して楽しくやらせてもらってます。
けがをしてからまもなく6年がたとうとしています。
さらなるかのうせいを求め辰己さんのちょう戦はこれからも続いていきます。
2014/05/02(金) 09:50〜10:05
NHKEテレ1大阪
道徳ドキュメント「あきらめたことをあきらめない」[解][字]
辰己博実さんは、6年前にスノーボードで事故にあい、足が不自由になった。二度と雪の上を滑ることはないとあきらめていたが、1枚の写真がその気持ちを変えることになる。
詳細情報
番組内容
北海道に住む辰己博実さんは、6年前にスノーボードで大事故にあい、足が不自由になってしまった。もう2度と雪の上を滑ることはない、とあきらめていた辰己さん。しかし、1枚の写真がその気持ちを変えることになる。家族や仲間に支えてもらいながら、自分で「チェアスノーボード」を作り、再びゲレンデを滑るようになったのだ。今では障がい者にこそアウトドアを楽しんでほしいと、活躍の幅を広げる辰己さんの日々を見つめる。
出演者
【司会】谷地健吾,【語り】三輪秀香
ジャンル :
趣味/教育 – 幼児・小学生
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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