生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分になりました。
きょうは日本で働く外国人というテーマです。
外国人の労働者について広瀬公巳解説委員と考えます。
広瀬さん、まずは日本で働く外国人、なにか状況が変わったんでしょうか。
広瀬⇒日本人の人手が足りないので、とりあえず建設現場で外国人の労働者を増やしていく措置を取ることが決まりました。
震災からの復興ですとかオリンピック関連の工事でこれから、ますます人手不足が深刻になっていくからなんです。
日本で3年間の技能実習を終えた人、すでに日本で働いているいわば即戦力の人に特別の在留資格を与えてもっと長く日本にいてもらおうということになったんです。
まず技能実習ということばはあまり耳慣れないんですが。
先日ベトナム人の技能実習生が働いている様子を見てきました。
千葉県の建設会社で技能実習をしているのはベトナム人のホアンさんとチュンさんの2人。
日本に来て8か月になります。
新築の住宅ですとかマンションのリフォームなど現場で壁紙を貼る作業を行っています。
内装装飾の技能を現場で体で覚えていくというものです。
ことばの問題はありますが覚えた仕事は、きちんとこなせるということです。
指導という感じですか?指導ではないです。
仕事です。
労働力として?日本の若い子と同じような感覚です。
2人の時給は法律で決められた800円弱の最低賃金で諸経費などを除くと、手元には10万円も残らないんですね。
そのほとんどをベトナムの家族に仕送りしているということです。
真面目そうなお二人ですね。
きょうは今ご覧いただいた技能実習生がどんな人でどんな暮らしをしていて、私たちはどうすればいいのかを見ていこうと思います。
まず技能実習生はどういう人なんでしょうか。
国籍で言いますと中国、タイ、ベトナム、フィリピンが中心です。
全部で今15万人ほどいます。
ご覧いただいた建設業のほかに工場で働く人、ミシンなどで縫製をしている人それから農業や漁業に携わっている人養豚、養鶏さまざまな分野で働いています。
主に3年間見習いとして働きながら技能を習得します。
政府としては途上国の人づくりに貢献するものとして受け入れています。
日本の労働力にもなって国際貢献にもなるというのであればいい制度のようにも見えますね。
取材した千葉のケースでは特にトラブルはないということなんですが技能実習を巡ってはさまざまな問題も指摘されています。
どんな問題があるんですか?仕事の面でいいますと労働局が調べたところ2776か所の事業所を調べたところおよそ80%の2200か所の事業所で法律違反などの不正行為が見つかりました。
不正行為というのは?具体的には賃金の不払い、長時間労働、安全対策が徹底していなかったとか最低賃金が守られていなかった法律で守られているはずなのにこういうことがあるということです。
日本の企業側の問題なわけですね。
特にその中でも注意して注目していただきたいのはこのようなたくさんの不正行為があるのに、実習生側からなんとかしてください、という申し出届け出の件数は126件しかないんです。
つまり勤め先の不正を告発すると自分も働けなくなってしまう帰らないといけなくなってしまうという弱い立場なんですね。
そんな状態なのに外国人の労働者を増やそうとしているわけですか。
人づくりのために途上国から人材を預かっているという立場ですので日本の雇い主側が、きちんと外国人を扱っているのか監督指導ということを整備していくことは日本側の責任ですよね。
私たちも無関係ではないですよね。
仕事をするのは職場ですが暮らすのはそれぞれの地域です。
まずはどんな暮らしをしているのかを知ること。
そして、人づきあいお互い気まずくならないよう理解し合う環境を築くことが大切です。
人づきあいは、どうしていけばいいんでしょうか。
外国人の中では特に技能実習生の場合、留学の経験がないような人がほとんどなんです。
日本のことを知らない人が多いということを知っておいたほうがいいですね。
初めて日本に来た人ですね。
貧しい状況で出稼ぎに来ているという人が多いですね。
思わぬことが誤解を招いたりすることもあるので誤解がないようにしないといけないと思います。
技能実習生に対して日本人側から出ている苦情の例です。
ごみの出し方を知らない。
ルールを守らない。
家を土足で歩き回る。
それからトイレを詰まらせても流さない。
このような苦情があります。
これまでの習慣が違うわけですからこれは日本側が、ちゃんと教えればいいんじゃないでしょうか。
日本のルールを知っていれば避けられるトラブルもありますよね。
逆にルールを知らなかったらわれわれ日本人だって苦情の対象になるということもあると思います。
受け入れの便宜を図っている国際研修協力機構ではこのような日本の生活案内といういろいろな国の言語で書かれた冊子を作って外国人が日本を理解できるようにしています。
少し中身を紹介したいと思います。
先ほどの例でいきますとごみにはいろいろな種類があって燃えるごみ、燃えないごみ捨てられるごみ引き取ってもらわないといけないごみ、いろいろありますね。
回収のしかたもいろいろあります。
日本人は、玄関では靴を脱ぐ布団は朝は畳んだり干したりするということです。
日本のトイレットペーパーは溶けるので、それ以外の紙は流さない、といったことです。
日本人にとっては当たり前のことですが、外国人にとっては当たり前ではないということを理解しないといけないですね。
ごみやトイレよりももっと深刻な状況もあります。
こちらは技能実習生の安全対策として配布されているものなんです。
中身を見ていきたいと思います。
感電ですとか、地震落ちる、知っておかなければ日本語が分からなければ命に関わることばがたくさんあります。
危険とか、触るな、混ぜるなということばを知らないと思わぬ事故に巻き込まれることもあります。
日本語が話せない状態で来るわけですからね。
途上国から裸一貫で来ています。
日本に来て1か月の研修で建設現場にも入れます。
日本に来る前に最低限のことばを身につけておくことも大事ですね。
技能実習生の扱いは国際的にも非難されています。
難しい話になりますが技能実習生の人権を考えることも重要です。
きちんと外国人を受け入れられるように制度を整えないといけないですね。
私たちはどうすればいいでしょう。
国に任せるのではなく、一人一人が自分の問題として考えていかなければいけません。
外国人の労働者は景気の変動で生じる一時的な人手不足というだけではなく少子高齢化でこれから働く日本人がどんどん減っていきます。
建設以外の分野でも介護や家事など身近なことで外国人の受け入れを考えていかなければいけません。
せっぱ詰まった問題ですね。
人づくりに対して技能実習生がいるということ。
われわれは外国人との人づきあいを考える。
外国人の人権を考えるということです。
外国人の労働者の受け入れの拡大が現実のものになってきています。
これからは労働を受け入れるということは人を受け入れるということにもなるということを心しておかなければいけないです。
広瀬公巳解説委員でした。
ぜひ、ご覧ください。
2014/05/02(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「日本で働く外国人」[字]
NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:27714(0x6C42)