「ロミオとジュリエット」の公演はいよいよ明日に迫っておりました。
(畠山)はなさん。
小間使い役の梅田さんが風邪をひいてしまったの。
代役お願いできないかしら?
(はな)分かりました。
小間使いの衣装は梅田さんの部屋にあるから準備して下さる?はい。
…という訳ではなは脚本家と演出助手と小間使いの3役を務める事になり目の回る忙しさです。
・
(蓮子)「おおいとしいロミオ様。
私たちはどうすればよいのでしょう」。
・
(醍醐)「おおいとしいジュリエット。
私はあの月に誓う!そなたへの永遠の愛を!ジュリエット。
しばしの別れだ」。
(富山)「ロミオ様それはなりませぬ。
満ち欠けを繰り返す月のごとくあなた様のお心も変わってしまうではありませぬか」。
富山先生。
今のジュリエットのセリフですよね?・「ロミオ様。
月になど誓ってはいけませんわ。
月の形が変わっていくように…」。
そんな富山先生を見たのは初めてでした。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」次三幕一場決闘の場面いきます。
(一同)はい!はなさん。
セリフの言い回しを少し変えてもよろしいかしら。
どこですか?「私は父の決めたとおりになど生きたくありません」のところこうしたいの。
「私は父の操り人形ではありません」。
すごくいいと思います。
(大倉)「うわ〜!」。
「ロミオ!どこ見てる!?」。
醍醐さん!集中して下さい!すいません。
もう一度お願い致します。
(畠山)じゃあもう一度。
(大倉)はい。
「いざ戦わん!わあ〜!」。
(大倉)「ヘッヘッヘッヘッヘ」。
「うわ〜!」。
あっ!
(悲鳴)ごめんなさい!つい力が入ってしまって…。
き…気を付けて下さい。
あっ大変!
(悲鳴)本当にごめんなさい!
(茂木)明日お父様はいらっしゃらないの?ええ。
仕事でまた遠くに行ってしまって。
ご家族を招待して見てもらえるみんなが羨ましいです。
そうね。
あの…富山先生の事なんですけど。
富山先生…もしかしてジュリエットを演じた事がおありなのではないでしょうか。
どうして?今日お稽古を見にいらっしゃった時にジュリエットのセリフを完璧につぶやいていらっしゃったんです。
彼女がここの学生だった頃ジュリエットを演じた事があったの。
今のあなたたちと同じように元気でよく笑う明るいお嬢さんだったわ。
でも私たちが演目を決めた時なぜあんなに反対なさったんでしょう?回想「ロミオとジュリエット」なんて駄目です。
私は反対です。
何かつらい思い出でもあるんでしょうか。
さあ…どうだったかしら?相変わらずお裁縫が苦手ね。
私が代わりましょう。
すいません。
(園子)あなた。
蓮子さんからこれが。
(葉山)何だこれは?「修和女学校講堂にて大文学会開催の運びと相成り候。
兄上様には必ず必ずおいで下さりたく候。
おいで候わば理由お分かりと存じ候」。
まさか蓮子さんお芝居に出たりなさらないわよね?何?あそこの大文学会には華族のご父兄も大勢いらっしゃいますわ。
また悪いうわさでも立ったら…。
明日じゃないか!ついに本番の日を迎えました。
「私が家に縛られている?ロミオ様何をおっしゃいますの?」。
「そなたには父上が決めたいいなずけのパリス公爵というお方がいるではないか」。
「それは兄が勝手に決めた事。
兄が考えているのは…」。
違う!兄なんて台本のどこにも書いてありません!ごめんなさい。
蓮子さんも人並みに緊張するんですね。
練習どおりやればきっと大丈夫ですよ。
…って私すごくあがり性でさっきから足がガタガタ震えてるんですけど。
そう…。
あの…例の復讐の件私でよければつきあいます。
えっ?舞台に上がって家の人たちに復讐するって言ってたじゃないですか。
どうせやるなら本気でとことんやりましょうよ。
それで?その復讐の相手は今日はいらっしゃるんですか?招待状は送ったわ。
よし。
負けるもんか。
客席から怖い顔でにらんできてても絶対にひるまないで頑張りましょうね。
どうして私の復讐につきあってくれるの?それは…。
友達だから。
一時はどうなる事かと思いましたが無事にこの日を迎える事ができましたね。
(通訳する富山)
(茂木)お客様も大勢いらしてます。
私は仕事が残っておりますので。
富山先生…。
来たわ。
ジュリエットだと?あなた。
どんな役なんですか?主役だ。
あの恥さらしが…。
この演目は品行方正であるべきここの生徒にふさわしくないですね。
(開幕のベル)なぜ私がこの役をやりたかったか分かりますか?えっ?私もジュリエットのように家に縛られて不幸になったから。
兄が決めた人と無理やり結婚させられたの。
その時私はまだ14で右も左も分からなかった。
14歳…。
あなたと同じ16の時に子どもを産んだの。
でもその子も奪われて…。
もともと家の名を守るためだけに仕組まれた結婚だったの。
今の私は空っぽ。
生きていてもしょうがないの。
そんな…。
はなさんとは住む世界が違うの。
友達になんかなれっこないでしょう。
(開幕のベル)これ以上私に近づかないで。
嫌ですそんなの。
なぜだか分からないけどほっておけないんです蓮子さんの事。
(拍手)あなたは空っぽなんかじゃない。
・「おおジュリエット。
そなたこそ私の妻にふさわしい。
どうか私と結婚してくれ!」。
(拍手)さあ幕が開きました。
「ああどうすればいいの?パリス公爵の愛を受け入れる事など私には到底できませんわ」。
ごきげんよう。
さようなら。
2014/05/02(金) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(29)「波乱の大文学会」[解][字][デ][再]
公演が迫り、はな(吉高由里子)や蓮子(仲間由紀恵)たちの稽古は熱を帯びて行く。そんな折り、富山(ともさかりえ)が切なげな様子で稽古を見つめるのをはなは目撃する…
詳細情報
番組内容
公演を間近に控え、はな(吉高由里子)や蓮子(仲間由紀恵)たちの稽古は熱を帯びて行く。そんな折り、富山(ともさかりえ)が切なげな様子で稽古場を見つめるのを目撃したはなは、茂木(浅田美代子)から富山がかつてジュリエットを演じたことを聞かされる。一方、蓮子の実家では、兄・晶貴(飯田基祐)が蓮子からの招待状に目をむいていた。いよいよ大文学会当日、緊張で震えが止まらない蓮子に、はなは意外な言葉をかける…
出演者
【出演】吉高由里子,仲間由紀恵,ともさかりえ,浅田美代子,高梨臨,トーディ・クラーク,飯田基祐,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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