3世紀前半…歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!今日はこのピラミッドにまつわる方が私のお部屋に来てくれます。
ようこそ。
お待ちしてました。
(フィフィ)こんにちは。
歯に衣着せぬ本音トークで人気のタレントです
…とも呼ばれています。
ファラオって王様ですよね?そうなんです。
まあ自称…。
今日は古代エジプト文明をテーマに説明していこうと思っています。
エジプト文明ですか〜。
はい。
そこでですねテーマを持ってきたんですけど。
ザザン!お〜!「A」!おっきい「A」。
文字のルーツが?そうなんです。
え〜何だろう。
面白そう。
そして今日はこれをナビゲートしてくれるのはこの方。
見た事あると思いますけど。
あっツタンカーメンですね。
そう。
いかにも我が名はツタンカーメン。
およそ3,300年も昔のファラオである。
私は10歳に満たない年で即位し20歳にならずして生を終えた。
王として大きな業績を残せなかった事はとても無念である。
そんな私が一躍脚光を浴びる事になったのは20世紀になって私の墓がほとんど荒らされていない状態で発見されたからだ。
汝らも私の黄金の柩やマスクを目にした事があろう。
今回紹介する時代は紀元前5000年ごろから紀元前400年ごろまでの長い間である。
舞台は我がエジプトメソポタミア文明が栄えた現在のイラク周辺そしてギリシア。
「オリエント」とはヨーロッパ人が現在の中東地域を指して使った言葉で「日出ずる処」という意味だそうだ。
この地とアルファベットには一体どんな関係があるのだろうか。
ツタンカーメンって十何歳で死んじゃったんですね。
若くして亡くなったんですよ。
もったいないですね。
ツタンカーメンがいた頃っていえば日本はまだ縄文時代なんです。
ではツタンカーメンに対抗して日本のこんな人を紹介します。
エジプト文明って名前が分かってるのがすごいですよね。
そうなんです。
当時からツタンカーメンという名前がある訳ですよね。
ねっ。
それが今に伝わってるんですもんね。
そう。
それがこれ。
これのおかげなの。
皆まで言うなフィフィよ。
ここからは私が語って聞かせよう。
…という言葉に聞き覚えがあるかな?悠久の時を超えてとうとうと流れ続けるこの大河が我がエジプトの文明を育んでくれたという意味だ。
ナイル川は毎年決まった時期に水かさが増して氾濫する。
その時に上流から栄養分をたっぷり含んだ土を運んできてくれるのだ。
だから水が引いたあとは肥料をまかなくとも作物が十分に育つという訳だ。
この恵みのおかげでナイル川流域では紀元前5000年ごろから農耕が始まったといわれている。
それだけではなく川が氾濫する時期を予測するための天文学水が引いたあとに土地の境を正確に測るための測量術などさまざまな技術が発達したのだ。
やがて紀元前3000年ごろ統一国家が現れた。
我らファラオは太陽神の化身として神のお告げに基づいて国を治めた。
後の世の人々は「神権政治」と呼んでいる。
王の墓ともいわれるピラミッドが盛んに造られるようになるのは紀元前2600年ごろ。
中でもその最高峰まさに金字塔と呼ぶにふさわしいのが…高さおよそ150m平均2t以上の石を280万個ほど積み重ねたもので当時の高い技術とファラオの大きな権力を物語っている。
そしてファラオの偉大な業績を書き記すためのものも作られた。
象形文字…私の黄金の柩にも我が名「ツタンカーメン」という文字が刻まれている。
このヒエログリフこそが後の人類の歴史に大きな影響を与える事になるのだ。
文字といえば人類最古の文字を発明したメソポタミア文明についても紹介しておこう。
メソポタミアとは「川の間の地域」という意味である。
その名のとおりティグリス川とユーフラテス川2つの大河の流域にいくつもの都市国家が建設された。
時に紀元前3500年ごろ。
我がエジプトの統一国家よりも前の話だ。
それぞれの都市国家に守護神がいて我らと同じように神の代理である王が民を治めていた。
メソポタミアではかんがい農業が積極的に行われていた。
その生産性はとても高く1粒の麦から80粒もの麦が実ったという。
この量は現代のアメリカと比べて4倍にもなるというからメソポタミアの技術には目をみはるものがある。
民が食べる分をはるかに上回る収穫があったので余った麦は交易に使われた。
大切な麦を管理したり交易の記録を残したりするために作られたのが楔形文字である。
この文字は先をとがらせた植物の枝などを使って粘土板に刻まれた。
発明したのはシュメール人という民族だったがその後この地方に栄えたさまざまな民族の言葉を書き記すのに使われたという。
こうして文字が生まれさまざまな事柄が記されたからこそ汝らは歴史を学ぶ事ができるのだ。
日本ではまだ文字もない時代紀元前2600年にあんな大きい立派なピラミッドを造っちゃうなんてエジプト文明すごいですね。
そうなんですよね。
すごいんですけど今の現代のエジプト人ってそこまで古代のエジプトに対して執着というか関心がないんですよ実は。
え〜何でですか?もっと誇りに思った方がいいですよ。
あのね古代のエジプトと今のエジプトを比較するとその宗教観だったり価値観が全く別のもので。
でも確かにエジプトは主な産業が観光業で結構栄えてきましたからその産業としてのエジプトの遺跡を守ったりとか勉強するという事はあるんですけれども全く別のものと考えている。
あまり自分たちの祖先とかルーツというふうには感じてない?そうそう。
でもね現代の人たちに通ずるものがあって。
実は古代エジプトの遺跡を一生懸命探すと化粧道具が発見されてるんですよ。
えっ化粧道具が!?そう。
昔の人たちの美に対する意識の高さがすごくうかがえて。
例えばアイライン。
古代エジプトからずっとアイラインというアイメークの技法があるんですよ。
そういえばツタンカーメンも目の周り囲ってますもんね。
それは今の若い女の子たちもみんなやってるでしょ。
なるほど一緒なんですね。
あとね豪華とか権力の象徴は金につながるっていうのが多分古代エジプトから来てるんじゃないかなって。
王様の部屋は金が使われてたり金の椅子があったりとか。
日本も京都の金閣寺とか平泉の中尊寺金色堂とか。
豊臣秀吉なんて黄金の茶室を造って。
これだけお金があるし権力もあるよって事をそれで見せつけてたんですよね。
じゃあ古代エジプトと通じるものが…。
何か共通しててエジプトの人たちが身近に感じてきましたね。
そうですね。
今の日本で体験できる古代オリエントの文字を探して。
東京・池袋の博物館にやって来ました。
まずは楔形文字やヒエログリフが刻まれた展示品を見学。
そして勉強会にもお邪魔しましたよ。
この日のテーマはエジプトのヒエログリフ。
参加していた皆さんにヒエログリフを学ぼうとしたきっかけや魅力を伺いました。
さて本来…これ「s」でしたよね。
発音を利用して表音文字として使う場合もあったらしいんです。
勉強会の講師村治笙子さんに詳しくお聞きしました。
私たちが見ている石碑は…ここに書かれている内容を解読したところ王の名前を書く時にヒエログリフを表音文字として使っていたというんです。
ここを見て下さい。
王様の名前を書くんですけれど「プトレマイオス永遠に生きよ」って書いてあるんです。
例えばこの「P」の音は植物で作った椅子とか。
「T」の音はパンなんですね。
それから「O」の音は縄なんです。
これは椅子に座ってパンを食べて縄跳びしてる王様っていう事ではないんですよね?そうですね。
音だけを表してますね。
日本でも意味を表す漢字から音を表す仮名が生まれました。
それと同じような事があったんですね。
実は日本語もヒエログリフで表す事ができるんですよ。
ここに並んでいる文字の組み合わせで五十音表が出来ます。
この博物館にはヒエログリフで五十音を表したスタンプがあります。
そこで…。
出来た。
これが5,000年前の文字で書かれた「こひなたえり」。
何かかわいい。
みんなもヒエログリフで古代エジプト文明感じてみてね。
象形文字であったヒエログリフが表音文字としても使われたという事汝らも理解できたであろうか。
それでは我がエジプトから始まる文字の旅に出かけよう。
時代は紀元前12世紀。
海上貿易で活躍するフェニキア人という人々がいた。
彼らは地中海の各地に拠点を作り遠くイギリスへも渡っていたという。
貿易の記録を残すための文字を必要としたフェニキア人はエジプトの文字を簡略化して独自のアルファベットフェニキア文字を作り出したのだ。
時代は更に進んで紀元前8世紀ごろギリシアの各地に「ポリス」と呼ばれる都市国家が成立する。
そして紀元前5世紀ごろまでには市民が主導権を握って政治を行う「民主政」なるものが始められた。
ギリシアの民は労働を奴隷に分担させて自由な生活を送る事ができた。
その時間的経済的な余裕を背景として人間を中心にし合理性を重んじる文化を生み出していく。
この文化創造に一役買ったのがフェニキア文字を更に改良して作られたギリシア文字だった。
その後更にイタリア半島に伝わり汝らもよく知っているアルファベットローマ字に変化する。
このようにしてアルファベットが我が偉大なるエジプトの文字から生まれたのだ。
やっと持ってきて頂いた「A」とつながりましたね。
今エジプトで使われている文字はヒエログリフじゃないですよね。
違うんです。
こういう感じ。
これアラビア文字っていうんですが。
さっき私が「アッサラームアライクム」って入ってきたんですけど「こんにちは」という意味なんです。
へぇ〜何かかわいいですね。
踊ってるみたい字が。
そう。
しかも右から左に書くの。
全然ローマ字と違うじゃないですか。
でもねこのアラビア文字もルーツはヒエログリフ。
そうなんですか。
ローマ字と同じルーツなんですか?そう。
何でこんなに違うふうになったんだろう。
じゃあ今は全くヒエログリフは使われてないんですか?いや使ってるんですよ。
例えばこれ見て下さい。
「生命」っていう意味なんですけど。
かわいいですね。
観光客にも人気のお土産になってたり…。
結構使われてたりするんですよ。
それじゃあ今でも生活の中で受け継がれてるんですね。
そうなんですよ。
あっこの音は…先生が呼んでるので…。
お話を聞いてきますね。
は〜い行ってらっしゃい。
本村先生!お呼びですか?呼びましたはい。
聞いてたんですね。
何か文字についてお話があるんですか?ええ。
文字が発明された事の意義について考えたいんですが。
我々が古代エジプトのツタンカーメンという王の名前を知っているのは文字によって記録されているからな訳です。
特に少ない30に足らないような文字で表せるアルファベットが出来たという事はある人に言わせれば人類最大の発明といわれるくらいの事な訳です。
大発明だったんですね。
ええ。
そういうふうに思った事もなかったです。
身近すぎて。
でその文字に関して古代ギリシアの文化を代表する哲学者のソクラテスに非常に面白いエピソードが残っている訳ですね。
その事は例えば政治家が演説を原稿の棒読みをする。
そんな政治家は何となく頼りない。
自分の言葉で語ってる政治家は非常に力強いと我々が感じる。
そのシーンを思い浮かべてくれればいいんですけれども。
ところがですねソクラテスはそうでしたけども弟子たちが…そのためにソクラテスの考えが今現在でも使われている。
それはある意味ではソクラテスの逆説といっていい事ではないかと思います。
ああ確かに。
文字を否定したソクラテスだけどその考えも文字がなければ今に伝わってないって事ですもんね。
皮肉ですね。
先生また何かお話があったら呼んで下さい。
はい。
えりちゃん今日の古代エジプトから始まる文字の旅ってどうでした?そうですね。
ふだん使ってるアルファベットが古代エジプトから来たんだって思うと古代エジプトについてもっと知りたくなってきましたね。
私ね逆に文字がなかった生活っていうのがあった訳でしょ。
それを知っただけでも何か不思議で。
確かに言われてみれば。
文字がない時ってどうやって暮らしてたんでしょうね。
まだまだ歴史の中では文字を使って…文字が発明されて文字を使ってきたっていう歴史は短いですもんね。
でも身近にある文字がこうして歴史を伝えてくれてるんですよね。
今回も歴史と私たちがつながりましたね。
メソポタミアでは麦を管理したり交易の記録をつけるために人類最古の楔形文字が使われていた。
エジプトではファラオの業績を書き記すヒエログリフが発明された。
フェニキア人はエジプトの文字を簡略化してアルファベットの元となるフェニキア文字を作り出した。
そしてそれが更に改良されてギリシア文字となり現在はイタリアで生まれたローマ字が広く使われている。
文字が生まれ記録された事によって私たちは歴史を学ぶ事ができるのだ。
2014/05/02(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「オリエントとギリシア」[字]
歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つ多彩なゲストが訪れ、歴史上の人物のメッセージを届ける…ツタンカーメン王が語る「文字」の歴史
詳細情報
番組内容
◇ナイルの賜物(たまもの)・エジプト文明で生まれたヒエログリフ◇現代にも通じる古代エジプトの美意識◇文字が生まれたからこそ、歴史を学ぶことができる?◇学習ポイントは「楔(くさび)形文字とヒエログリフ」「人類最大の発明…アルファベット」「ソクラテスの逆説」【司会】小日向えり【ゲスト】フィフィ【講師】本村凌二(元東京大学教授)【語り】朴ろ美
出演者
【講師】早稲田大学特任教授…本村凌二,【ゲスト】フィフィ,【司会】小日向えり,【語り】朴ろ美
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
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