グレーテルのかまど「“端午の節句”のかしわ餅」 2014.05.02

5月5日は端午の節句。
この季節に欠かせないお菓子といえば…。
子どもの成長を願う家族の思いが込められています。
カシワの葉は新芽が出るまで古い葉を落とさない事から子孫繁栄の意味があるともいわれています。
うめえ!子どもの成長だけでなく家ごとに受け継がれる味。
そして家族の思い出も詰まっています。
今回は日本各地に伝わるかしわ餅とそれを愛する人々の物語です。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
え〜…いつもホントにありがとうございます。
毎年僕のために本当にありがとうございます。
感謝してもしきれないんですけど…。
キッチンにも豪華な端午の節句のお飾りが来ましたね。
そうそう…あっ。
「グレーテルのかまど」へようこそ。
どうしたの?どうしてかぶとに話しかけてたの?いやだってさこのよろいかぶとってさそのうちの子どもを事故とか病気から守ってくれるように飾ってあるんでしょ?これ。
だからさ毎年俺がこうやって丈夫に育ったのはこのかぶとのおかげでしょ。
だから感謝言ってたの。
気持ちを。
フフフ…何か胸が熱くなった今。
ホント?目頭もつんと来た…目頭がつんと来るって変か。
あっそうだ!かまど!姉ちゃんがさこれ見てよ。
もう何言ってんのって話でしょ!何で?だっていつもは姉ちゃんのためにスイーツ作ってるけど端午の節句の時はさ俺様のためでしょ!男子の節句なんだから。
ウフフフ!それがそうでもないのよ。
何?ウフフフフフ!そうでもないのよ。
何?何何何?ウフフフフ!そうでもないんだから。
え〜!?はいはい見ていきましょ。
フフフ!…という事で今宵ひもとくのは端午の節句のかしわ餅。
5月の風物詩でもあるかしわ餅。
モチモチと弾力のある生地にこしあん粒あんと並んで優しい甘さのみそあんも人気です。
江戸時代には既に庶民に愛されていたお菓子でした。
江戸末期に書かれた書物に端午の節句の様子が生き生きと描かれています。
店にはかぶと飾りが並べられこいのぼりがはためく下には…よく見るとカシワの葉を売る人の姿が!ちまきを運ぶ人の後ろでは…子どもがかしわ餅を落としてしまうほほ笑ましい姿もあります。
端午の節句とはそもそもは古代中国の邪気払いに由来します。
魔よけのまじないとしてちまきが使われていました。
その風習が江戸時代に日本に伝わる中で男の子の節句となり日本で独自にかしわ餅が生まれたのです。
カシワは新しい芽が出るまで古い葉が落ちない事から後に子孫繁栄の願いが込められたお菓子として重宝されたともいわれています。
そんなカシワの木を大切にしてきた女性がいます。
34年前庭に植えられたこのカシワの木は当時はまだ小さな苗木でした。
やっぱりこう…シゲヨさんは昭和47年21歳で酪農を営む永山家に嫁ぎました。
縁起がよく家が栄えるからと実家の父が植えてくれたのがこのカシワの木でした。
朝から晩までの牛舎の仕事そして家事に子育て。
シゲヨさんの隣にはいつもこのカシワの木がありました。
毎年6月旧暦の端午の節句には力強い葉をつけるカシワ。
その葉でシゲヨさんは長年かしわ餅を作ってきました。
現在は夫婦でかしわ餅を自宅の加工所で手作りし直売所に出しています。
シゲヨさんが作るかしわ餅の一番の特徴はカシワの葉を巻いてから蒸す事。
餅がくっついて食べにくいと最近では蒸し上がってから巻くのが主流ですがこれが永山家のこだわり。
葉の香りがしっかりとついたかしわ餅はシゲヨさんの父の優しさのように食べる人をほっとさせてくれる味です。
ねえかまど。
端午の節句には今まで普通にかしわ餅食べてたけどさカシワの葉にそんな願いが込められていたんだね。
知らなかった?うん知らなかった。
あとあの永山さんちのかしわ餅もすごいおいしそうだったね。
でしょ?葉っぱを巻いてから蒸すというのがねすごい香りがしておいしいんですよ〜。
いや〜そんなカシワの葉が香るかしわ餅食べてみたいな。
食べてみたいでしょ?うん。
じゃあじゃあ味わいのキメテまずどうぞ!はい!カシワの葉が香る素朴なかしわ餅を目指します。
はいまずはカシワの葉っぱですよ。
カシワ。
塩漬けと乾燥タイプがありますけれども今日は塩漬けを使います。
よし!OK!いきましたか?次はあん作りです。
あん作り…!?小豆あんは用意しておいたので今日作るのはみそあんですよ。
みそあんってすごい難しそうでしょ?うんすごく。
だけど白あんベースのみそ風味って感じ。
割と簡単って事?そうそうそうそう。
まず砂糖と水を沸騰させたいんですけど…。
そしてお水浸すぐらいに…。
浸るぐらい?このぐらい?それで沸騰させていきましょうか。
は〜…かまど!はいはい。
ちょっと腕が疲れてきた…。
はいはい疲れるもんです。
まだまだまだまだ。
まだまだ?まだまだどんどん。
オキテどうぞ!はい!ドウイウコト?フフフ!何人でしょうか?どういう事?生地に包みやすいようにいつものあんよりちょっと固くしたいんですよ。
固くしちゃって大丈夫?大丈夫よ。
あとで蒸す時に生地の水分で軟らかくなるからちょっと固めに。
ああそういう事なの?へえ!どんどんどんどん。
それにしてもこれ…。
木じゃくしに結構ついてきてるでしょ?それぐらいになってくるといいんですよ。
OK?そこで白みそを投入!そろそろいいんじゃないでしょうか。
木べらでちょっと持ち上げてすぐに落ちなければ。
全然落ちません。
ものすごくいいですね。
いつの間にやら。
OKですよ。
だってめっちゃ混ぜたもん!父が贈ってくれたカシワの木の葉でかしわ餅を作っていたというシゲヨさん。
4人の子どもの端午の節句もこのかしわ餅でお祝いしました。
しかし永山家にとってかしわ餅にはもう一つ意味があったのです。
この辺りの地域には季節の節目ごとに餅を持って嫁が実家に里帰りする風習がありました。
シゲヨさんも正月には白餅3月にはよもぎ餅そして端午の節句には姑お手製のかしわ餅を持って実家に帰りました。
なかなか休みがないシゲヨさんにとってその里帰りは特別なものでした。
実は端午の節句は男の節句だけではなく女の節句でもあったという話があります。
農村では女性の休息日でもあった端午の節句。
シゲヨさんの住む地域でもこの時にかしわ餅を食べ女性をねぎらっていたといいます。
かしわ餅は女たちの安らぎのお菓子でもあったのです。
へえ〜。
これ男の子のお祝いだけじゃなくて女性に感謝する日でもあったんだね。
ねえ。
姉ちゃんはこの事を言ってたのか。
女性の休息の日ですからね忙しいグレにもねぎらいの味を作ってあげましょうよ。
ね?よっしゃ!やる気出てきた。
おう!生地作りにいきます。
モチモチした感じは残しつつ形は作りやすい割合になってます。
なめらかにして下さい。
OK!いい感じな感じ?いい感じな感じ!よいしょ。
うわ〜来ましたね。
もうすっごい熱いから!もうすっごいから気を付けて下さい。
よっ!熱っ!熱い…。
アハハハハハ!やっぱ熱い…。
様子見ながらやってね。
はい。
よいしょ…。
オキテどうぞ!はい!そうそうそうそう。
上新粉は冷やすとギュッと締まって弾力が出ますからモッチモチの生地にするために1回冷やします。
はい!ギュ〜ッと指入れたらどうなってる?中までちゃんと冷えてますよ。
よかったよかった。
にゅにゅにゅにゅにゅ〜。
いいんじゃないでしょうか!古くから伝わるかしわ餅。
地域によって特色があります。
どうぞ。
かしわ餅作りが得意な主婦の…この日も近所に住む娘さんとかしわ餅作りの真っ最中。
手慣れた手つきであんを包み葉っぱでくるみます。
あれ?カシワの葉っぱじゃない?実はこの地域では昔からこのサルトリイバラで巻いたものをかしわ餅と呼んでいます。
寺中さんの家ではいつでも作れるよう6月末に採って冷凍保存するそう。
そもそもかしわ餅の「かしわ」とは食べ物を調理する際に使われる葉「炊ぐ葉」が由来ともいわれています。
日本でかしわ餅に使われている葉っぱを見てみると…ある調査によればカシワが生息しづらい西日本ではサルトリイバラを使う地域がほとんど。
それ以外の葉でかしわ餅のように餅を包む地域もあるのです。
更にもっと違う姿のかしわ餅があるという静岡県浜松市。
端午の節句に大きな凧を競わせる浜松まつりが有名です。
この地方に伝わるかしわ餅は…なんととってもビッグサイズ!その名も大かしわ餅です!いつごろから始まったかは定かではありませんが明治4年創業のこちらのお店では今でも大かしわ餅の伝統を受け継いでいます。
ありがとうございます。
形は違っても地域に根づき守られてきたかしわ餅。
一つ一つに親が子を愛する気持ちが詰まっていました。
うんかしわ餅っていってもいろんな姿があるんだね。
そうですよ。
今日はかまどがねサルトリイバラを用意しました。
へえ〜!これがサルトリイバラか。
初めて見たな。
ホント?円くてかわいいね。
かわいいでしょ。
色もきれいでしょ。
うん。
じゃあ次はあんを包みましょう。
OK!ねえねえ頭にねポワワワンってかしわ餅を思い浮かべてよ。
どんな形してる?どんな形?中身が?中身中身。
かぶとみたいに事故や病気から守ってくれますようにっていう願いが込められてかぶとの形が多いんですよ。
うそ!?すごいでしょ?知らなかった!かぶとの形作ろうよ。
ねえ。
包んでみましょうそれを。
まず生地の手前の2/3を伸ばして平たくして下さい。
こんな?うん。
そしたらその手前の引っ込んだ所にあんをのっけて下さい。
そして上を折り込む。
右手であんこにかぶせた!それでくっつけるんだけどまず右手で何て言うか手のひらをすぼめるという…。
こういう事?そうそうすぼめてこの手の腹の部分がU字形みたいになるでしょ?ここ?そこそこそこ!その付け根の部分を使って優しく包んで下さい。
こういう事?形を作る。
そうそう!いいじゃないですか!出来ました!すばらしいすてきな形になりました!そっくりでしょうか?そっくり!ちゃんとかぶとみたいに真ん中盛り上がってるもんね。
よし!葉っぱの巻き方は中身が区別できるようにしましょうかね。
小豆のあんは葉っぱの表面が外側になるように。
もう一つのみそあんの方は裏が外から見えるように。
じゃあ逆って事ね。
分けてみちゃう?法則を作る。
よ〜し。
出来ましたか?OK!じゃあ早速蒸しましょうか。
オキテどうぞ!そうなのよね蒸しすぎちゃうと生地がブヨブヨになっちゃうからホントにちょうどいい時間で蒸してほしいんです。
短時間でね。
う〜ん!いい匂いがしてきたよ。
開けてみてみてみて!よっ!お〜!すごいいい香りだねこれ。
葉っぱの香り豊かなかしわ餅完成です!
(チャイム)あっ!姉ちゃん帰ってきた!姉ちゃんお帰り!かしわ餅出来てるよ!こしあんとみそあんがあるんだけどどっちがいい?モッチモチの生地でくるんだ優しい甘さのみそあんとこしあん。
爽やかなカシワの葉の香りにグレーテルも癒やされるかしら?今年も端午の節句がやって来ます。
日本各地で作られるかしわ餅には子どもや家族大切な人への思いが込められていました。
郷土料理を若い人に伝えたいと講師としても活動する寺中さん。
昔ながらのかしわ餅を子どもたちに振る舞う事に。
(一同)頂きます!うまい!おいしいです。
(取材者)どうですか?う〜ん普通!でも好き!端午の節句のかしわ餅。
時代は変わっても家族の絆を確かめ合うお菓子でした。
(一同)ごちそうさまでした!今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?端午の節句にかしわ餅を食べる。
地域によってその姿は違ってもたくさんの人々の願いが込められている事を改めて知りました。
ではまたこのキッチンでお目にかかりましょう。
じゃあちょっと失礼して。
よし!頂きます!じゃあまずこしあんの方からいこうかな。
はいどうぞ!どう?どう?どう?どうよ?この餅自体に弾力があるしねやっぱりカシワの葉の香りが…。
するでしょ?じゃあ続いて…。
おっいよいよみそあんいきますか。
初めてです!初めてですか。
どう?どうどうどうどうどう?うん!みその風味がねほわっと。
どっちが好きですか?みそ!みそ!あっそう!初めて食べたけどおいしい!ああホント。
いいですね。
そういえばグレーテル疲れてたけどどうでしたかしら?そうだよかまど!無言でかしわ餅をばくばく食べてねもう寝ちゃいましたよ姉ちゃん。
よかったね。
そうだね。
女の休息日ですよ。
うん。
優しくしないと。
寝かせといてあげましょ。
はい。
あのねヘンゼルかまどねしょうが蜂蜜とアイマスクして寝たい。
もう寝たい?頑張ってきたから。
かまど疲れてるの?もう火が消えそうなんです。
…おやすみ。
2014/05/02(金) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど「“端午の節句”のかしわ餅」[字][デ]

5月5日の端午の節句。子どもたちの健やかな成長を願う行事に欠かせないお菓子がかしわ餅。古来、子孫繁栄の象徴とされてきたかしわの葉、そこに託された人々の思いとは?

詳細情報
番組内容
子どもの成長を祝う端午の節句に欠かせないかしわ餅。新芽が出るまで、古い葉が落ちないカシワの葉にあやかり、その葉であん入りの餅を包み「子孫繁栄」の願いを込めたお菓子と伝えられる。カシワとは、古くはたべものを包む葉の総称とされ、カシワではなく別の木の葉を使ったかしわ餅も各地に存在するのだ。地域に受け継がれてきたかしわ餅に、人々が寄せる思いとは?また家族への愛情がたっぷり詰まったかしわ餅のおいしさとは?
出演者
【出演】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理

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