(テーマ音楽)
つぼみが綻び始める頃
2人を祝福する桜の下です
おめでとう。
ありがとうございます。
おめでとう。
おめでとう!
花嫁はこの町で育ちました
おめでとう!
(拍手)
幼い頃から花の下でお弁当を食べたり散歩したり。
思い出は桜と共に
ずっと引越しもした事がなくてずっとこの辺りで過ごしてきたので家族もずっとこの辺りで住んでいたので桜のところで挙式ができてほんとにうれしい気持ちでいっぱいです。
新たな人生が花開いていきます
JR中央線で新宿駅からおよそ30分
4月上旬国立駅から延びる桜の道は満開の頃を迎えていました
国立に花の季節に来るのは初めてですけどやっぱり人が多いですね。
お花見の人たちなのかしら。
あ〜すごい。
駅前桜でいっぱい。
うわ〜豪華ですね!
駅前から南に1.2kmの桜並木。
「大学通り」と親しまれています
元は農村だったこの地に関東大震災のあと一橋大学が神田から移転し整備されました
町の大通りに潤いをと人々が植えた桜
今164本が咲き誇ります
すごくいい時ですね。
今日は一番いい時で。
満開ですものね。
国立の誇りですからこの花がね。
ほんとにきれいでしょ。
お天気がまた青空ですものね。
余計ね映えますよね青空に。
いい時においでになりました。
今日最高の日ですわ。
暖かな日ざしに誘われて休日国立を訪れる人は1万人以上に上ります
ソメイヨシノの他にも9種類の桜が通りを彩っています
華やかな八重咲きの…
20枚近い花びらを重ねます
淡い紅色のヤマザクラは花と同時に若葉を開きます
純白と緑が鮮やかなオオシマザクラ。
香りのよい葉は塩漬けにして桜餅に使います
桜を一本一本見回るのは近くに住む大谷和彦さんです
かつては桜並木の中を通勤していました。
年を経た桜が傷まないよう地元の仲間に呼びかけ活動をしています
根の周りは踏み荒らされないように市や商店会と連携し花壇を整備しました
桜を守り道行く人を楽しませる花壇
チューリップや菜の花パンジービオラ。
20種類に及びます
お花があると多分心笑顔になるのかなここにゴミが落っこってたりとか自転車を置いてあるよりは桜が咲いたりとか花壇に花が咲いてた方がみんなが多分気持ちいい。
そうすると多分自然に笑顔になると思うんですよ。
今年はね桜いっぱい咲いたからここもきれいに咲いてますよ。
花壇は通りに暮らす人も楽しませています。
理容店の2階に住む保科まささんです
花が大好きな保科さん。
大谷さんが花壇を作っていると店から出ていつも様子を見に来ました。
足を悪くしてからは出歩く事ができません
今は2階からのお花見。
桜とパンジーが心を和ませます
(保科)ここはいいとこだな。
花が咲いててね。
こんなとこないですよ駅の前で。
桜見られるだけ正直。
それに下もいろんなもの大谷さんが植えてくれるでしょ。
いっぱい植えてくれるからね感謝してるよ大谷さんに。
よくやってくれるなと思って。
ありがたい。
通りでは楽器を手にした学生たちを多く目にします
かつては国立音楽大学が。
今も付属幼稚園から高校までがこの町にあります
作曲家の久石譲さん歌手の美輪明宏さんや天地真理さんも青春の日々を過ごしました
昭和30年から続くお菓子と喫茶のお店です
いらっしゃいませ。
こんにちは。
桜のお菓子がいっぱいあるんですね。
そうなんですよ。
お〜おいしそう。
店を切り盛りする山井佳代子さんです。
50年以上売り場に立ち続けています
この季節並ぶのが春を運ぶ桜の焼き菓子やドーナツケーキです
山井さんは国立音大の卒業生。
声楽家を目指して16歳の時に栃木から上京しました
歌の練習に明け暮れた青春時代。
学校帰りに友達とこの店でケーキを2個ずつ食べるのが楽しみでした。
作っていたのが桜に惹かれてここに店を構えた和夫さんです。
卒業を間近に控えた日「一緒に店に立ってほしい」とプロポーズされました
歌の道から共に歩む道へ。
2人の子供を育てながら夫のそばで接客や経理をして支えました
私はあの人のケーキを作ってる姿が好きでした。
ほんとに好きでした。
夫も「どうだこのケーキは。
どうだよく出来たろう」とか言ってね作る度に私に食べさせるんですよ。
ハハハ…。
もういいと思いながらも「うんいいんじゃない?」とか「これこうね」とかそんな会話で。
あの人のケーキ作りが好きでしたね。
休みができると家に友人を招き歌うひとときを楽しみました
いつも歌ったのは幼い頃に習った「故郷」でした
結婚して23年。
店を大きくしたやさき和夫さんはがんを患い亡くなります。
55歳でした
告別式は桜の季節でした。
花びらが小雨にぬれていました
今ケーキ作りは長男の和恒さんが継いでいます。
大学の4年生になった時決意を母に伝えました
生地に桜の葉を入れ仕上げに桜の花を添えた焼き菓子は和恒さんが考えました
両親が愛した国立の春を届け店を守り継いでいこうとしています
母が一人で忙しくやってたので。
外でお店で見せる姿と家ではもう全く違うので疲れて帰ってくる姿で食事とかそういう感じになってしまうので。
とにかく手伝わないといけないのかなぁっていう。
どんな形になっても生きてるうちは名前だけは何とかどういう形でも残すっていうそういう感じです。
お店は夜9時まで
和夫さんを亡くしたあと山井さんは夫が好きだった季節をシャッターに描いてもらいました
自宅までの帰り道。
桜の老木の下でひとときを過ごします
学生時代から見守ってくれた桜です
(山井)こんなかれんな…かれんな花を咲かせるって。
いつもこの幹に励まされて何十年も生きてきたような気がしますよ。
いい時も悪い時もびくともしないで支えているこの木すばらしいですよね。
この町に生きて60年目の春です
並木の保全に取り組む大谷さん。
運んできたのは桜の枝です
市が計画的に伐採する枝台風や大雪で折れた枝を許可を得て引き取っています
輪切りにした枝は小学校の総合学習に生かされています
大谷さんは市内の10校の子供たちと一緒に活動しています。
初夏は花壇を彩る菜の花の種を集めイチョウが色づく秋はパンジーやビオラを植えます。
そして冬は桜に与える肥料を作ります
取り組んで20年。
小学生から高校生までが参加するようになりました
子供たちが描いた桜です
慈しむように一枚一枚の花びら
(大谷)「桜の木に描いてるわけだから桜の絵を上手に描きたいんです」と言われたんですよ。
これに描くとより子供たちにとっても気持ちが入るのかなという気がしてうれしかったです。
自分たちの住んでる町がいい町だと自信持ってほしいし一つは桜をきっかけに思いやる気持ち優しい気持ちなんかがうまく広がるといいなと思ってます。
大切にしたい故郷の風景です
雨上がりの朝
山井さんが花の季節に欠かさず行ってきた事があります
いらっしゃい。
またお世話になります。
童謡を歌う会の人たちにお店を開放してのお花見コンサート。
今年で11回目を数えます
ありがとうございます。
お待たせしててごめんなさい。
すみません。
ありがとうございます。
地元・国立をはじめ多摩地域の人たち50人が毎年来てくれます
先生お久しぶり。
お久しぶりです。
またよろしくお願いします。
桜の季節になりましたね。
はい。
大学の声楽科で親しくしていた友人もやって来ました
ほんと必ず毎年毎年ね。
今年は満開よね。
昨日雨降ったけど満開。
・「山の三月東風吹いて」・「どこかで春が生まれてる」
山井さんも歌の輪に招かれました
すばらしいソプラノだったんですよ。
国立で。
それなんですけどね卒業式の日にお嫁に来ちゃったようなものでしたよね。
ここの白十字の若旦那に見初められて。
見初められたのか誘惑されたのか。
(笑い声)・「兎追いしかの山」・「小鮒釣りしかの川」
夫との思い出の歌…
・「忘れがたき故郷」・「故郷」
(拍手)
7日間ほどその姿を輝かせてきた桜。
命が舞う頃です
(テーマ音楽)
いつまでも心に咲く並木道です
(テーマ音楽)2014/05/03(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「さくら道で〜東京 国立市〜」[字]
JR中央線で新宿から30分の東京国立。約1キロにわたり桜の古木が通りを彩る。亡き夫への思い重なる桜。花壇の手入れにいそしむ男性。通りの結婚式。人と桜の物語を紡ぐ
詳細情報
番組内容
JR中央線で新宿から30分の東京国立市。駅前から約1キロにわたり桜の古木が通りを彩る。昭和9年に植えられた桜は、地元の人々の心に寄り添ってきた。60年続く菓子店を切り盛りしてきた女性は、亡き夫への思いを桜に重ねる。桜を守るため、そして通りを行く人々の目を楽しませるため花壇の手入れを続ける男性。通りに立つ教会では、地元で生まれ育った女性が結婚式を挙げる。人と桜の物語を紡ぐ旅。
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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