野球というスポーツで
重要な役割を担うポジション
長いプロ野球の歴史の中で
強いチームには必ずその時代を代表する
名捕手の存在があった
今そのキャッチャーで
期待される男がいる
去年オールスターで
パ・リーグキャッチャー部門ファン投票1位
「侍ジャパン」にも選ばれた
伊藤はプロ入り2年目に…
何をやってもよくならず
引退の瀬戸際に追い込まれた
1年9ヵ月にもおよぶリハビリ
日常生活すら困難だった男が
一体どのように復帰しよみがえったのか
10年連続Aクラス入りイチローを擁し2年連続でのリーグ制覇日本一にも輝くなど一時代を築き上げたしかし2000年以降長きにわたり低迷が続いてきましたそんな中今年オリックスは開幕から破竹の快進撃を続け大きな躍進を遂げていますそのキーマンとも言うべき若きキャッチャーに迫りました
(実況)打った大きな当たりだバックスクリーン右飛び込んだ〜!
プロ野球開幕から3週間
オリックス・バファローズが快進撃を続けている
4月上旬に7連勝をマーク
長年低迷していたチームが…
前評判を覆し
激戦パ・リーグの
主役になっている
強さの秘密は
リーグトップの防御率を誇る投手陣
12球団屈指の
安定した投手力がオリックスの生命線だ
(実況)直球ストライク見逃し三振
そんなピッチャー達を支え
絶好調のチームを牽引するのが
この男
彼はまだ24歳
入団6年目の去年正捕手の座をつかんだ
最大の武器は12球団トップクラスの強肩
矢のような送球で盗塁を許さない
去年の盗塁王も…
若き守りの要
伊藤の存在が
オリックス躍進の源と言っても
決して過言ではない
だが伊藤は4年前
歩くことすらできない
当然プレーは不可能
リハビリは1年9ヵ月もの長きにおよんだ
野球を諦めなければならない
そんなどん底から
伊藤はどうやってはい上がったのか?
そこには知られざる
苦闘の日々があった
伊藤は高校野球の強豪
甲子園出場はならなかったが
その強肩でプロのスカウトに
注目されていた
・セールスポントは?
伊藤はすぐに頭角を現した
プロ2年目19歳で…
オープン戦も多く出場
チームの期待は大きく
伊藤もまたその期待に応えようとしていた
だが…シーズン開幕の直前
腰にこれまで感じたことのない
強烈な痛みが走る
診断の結果は…
その症状は想像以上に重く手術をしても
しびれやマヒが残る可能性があった
それでも伊藤は手術を決断
1日でも早く野球に復帰するためだった
ところが…
腰の痛みは消えたが懸念された
それは足のつけねからふくらはぎ
足の裏にまで広範囲におよんだ
左足をひきずり右足で動くのが精いっぱい
そんな自分の体に
伊藤は絶望的な思いを抱いたという
時が解決してくれる
そう信じようとしたが
しびれとマヒは
野球に復帰するどころか
日常生活もままならない
いつ終わるとも知れない地獄の日々
すがる思いで…
その数はいつしか10を超えた
しかし足の状態は改善しないままだった
手術から5ヵ月がたってもランニングもできない
当時球団の寮で暮らしていた
二十歳の伊藤は
練習や試合から帰ってくるチームメイトの姿を
悔しさを噛みしめながら
ただ見ていることしかできなかった
復帰のメドが全く立たない中
それでも球団は苦しむ伊藤を
前向きに見守りサポートしていた
契約更改は現状維持で更新
期待は揺るがなかった
その期待に応えようと
伊藤も苦しいリハビリに必死に取り組んだ
そして…
大きな転機が訪れた
何気なく見ていたテレビで
あるトレーニング施設が特集されていた
そこは脊髄損傷者のためのジム
車イスで暮らしていた人が
立ち上がれるまで回復するという内容だった
伊藤は藁にもすがる思いでその施設を訪ねた
その当時の
伊藤の姿を写した映像が残っている
伊藤の足はプロ野球選手とは思えないほど
痩せ細っていた
ここでのトレーニングには
これまでとは違う特徴があった
大きな鏡に映る自分の左足を見ることで
左足への意識を高めるという
様々なトレーニングや治療を受けながら
その姿をじっと鏡で見る
これが効果をより引き出す方法だという
そしてこれは小刻みに振動する機械の上で
足を動かすトレーニング
神経の回復や筋肉の発達を促す
すると驚くべきことが起きた
始めてわずか3日で
伊藤の足に変化が見られたのだ
・上げて下ろす上げてふくらはぎしっかり力入りますねもうちょっと入れましょう上げて下ろす
これまでにない変化
伊藤の足はこのことをきっかけに
回復に向かう
左足が徐々に本来の動きを
取り戻し始めるとともに
しびれやマヒが薄れていったのだ
このジムを訪れてからひと月後には
マヒしていた左足だけで
ジャンプができるまでになった
おお〜ッ!いいっすよいいっすよ
1年以上先の見えない日々を送っていた伊藤にとって
この現実は奇跡だった
そして…
人生の転機となったこの出来事は
伊藤の野球に対する考えを大きく変えた
この当時伊藤の体を見ていた
チームのトレーナーも
その劇的な変化を感じていた
そして手術からおよそ1年半
ようやく本来のプレーができるようになった伊藤は
水を得た魚のように猛烈にアピールを続けた
翌2011年開幕を
1軍で迎えた伊藤は念願のプロ初ヒットをマーク
(実況)ヒットになりそうだワンバウンド…ヒット!手を叩いて喜んでいます
2年間正捕手を目指す戦いを続けた
(実況)投げました空振り三振!
そして昨年大きな飛躍を遂げる
伊藤は…
投手陣を引っ張り
チームの成績は5位と振るわなかったものの…
手術から4年
大きな苦難を乗り越えた伊藤は
正捕手の座をつかみ取った
・ありがとうございました
そして2014年
それは…
左足のマヒから奇跡の復活を果たした
オープン戦のさなか
伊藤は他球団のバッターを
独自に分析していた
パソコンに映像を出す
伊藤はライバル球団の試合の映像を
ハードディスクに入れ
いつでも見ることができるようにしている
このとき彼が注目しているポイント
それはバッター一人一人で違う癖だという
特にカウントによって
どんな行動を取るのかを分析する
そして分析した結果を
試合で確認
この日の相手は…
伊藤のリードが冴えわたった
相手の裏をかき三振
研究成果を生かし阪神打線を
1点に抑え込む見事なリードを見せた
伊藤は開幕に向け手応えを感じていた
そして…
オリックスは開幕戦こそ落としたものの
伊藤のリードは冴え
その後チームは連戦連勝
4月4日には実に4年ぶりとなる
単独首位に立つなど
快進撃を続けていった
そして伊藤のリードにエースの金子も
絶大な信頼を寄せていた
伊藤のリードの特徴
バッテリーコーチはこう語る
そして開幕から10試合目
この日伊藤はその存在感を見せつけた
2回裏0対0で
ランナー2・3塁という
先制のチャンス
(実況)ツーボールツーストライク粘っていますバッターの伊藤投げました…直球打ったレフト頭の上を抜くか〜!
レフトオーバーの2点タイムリー
(実況)2点タイムリーツーベース!
守備では先発の西を
リズムよくリードする
(実況)空振り三振三球三振
そしてその後も0点に抑え
迎えた9回
(実況)ツーアウトランナーなし
(実況)試合終了〜!オリックス7連勝!
伊藤は見事チームを
完封勝利に導いた
・さらに一つになろう!
現在もオリックスは好調を維持
伊藤はオリックス快進撃のキーマンとして
活躍を続けている
左足のマヒから奇跡とも言える
復活を遂げた伊藤光
18年ぶりとなる
チームの優勝を果たしたそのときこそ
伊藤の新たなるバース・デイとなるだろう
(ナレーション)「住人十色」。
今日の家は…。
2014/05/03(土) 16:24〜17:00
MBS毎日放送
バース・デイ[字]【左足がマヒ…野球を続けられるのか▽オリ伊藤光】
プロ野球開幕から快進撃を続けるオリックスの若き正捕手・伊藤光24歳。選手生命の危機に立たされた闘病生活、どん底から這い上がった復活までの壮絶人生に迫る。
詳細情報
お知らせ
この番組は2014年4月19日に関東地方で放送されたものです。
番組内容
番組の最後に、必ず物語の主人公達は、何らかの結果と向き合う。それは、勝利とはかぎらない、敗北、希望、挫折… しかし、その瞬間、彼らは新しい自分を発見するはずだ。
出演者
【語り】
東山紀之
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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