(璃子)
これは日本有数の進学校の超弱小野球部と彼らを率いる若き監督の記録
さまざまな苦境を乗り越え彼ら独自のセオリーを生み出し勝利を手にするまでの姿を描く実話である
しかし今…
(璃子)さながらゴーストタウン。
いいえ荒野。
彼らはどこへ行ってしまったんだろう。
金属バッドの余韻地面を削るスパイクの音。
みんなみんな一体どこへ!?あっ人だ!荒野に生命体を確認。
お〜い!あっちょっと!何で逃げるのよ!
(璃子)あっ亀沢君岡留君!ちょっと!どうしてよ!1年生!
(光安)璃子さん!ちょっと話を聞いてあっていうか聞かせて!
(光安)離してください!
(増本)いいかげんにしないかジャーナリスト!増本部長。
(増本)何度言えば分かるんだ?
(増本)試験期間中の部活動は禁止なんだ!2週間も休むことないでしょ!野球をしてくれないことには記事が書けません。
知ったことかジャーナリストめ。
さぁ出て行け!触らないで!離してもう!監督〜監督〜!
(増本)早く出ろ!
(田茂青志)困った人だなぁ。
(璃子)もう私には仕事しかないんだから離して!
(牛丸)増本…。
(樫山)見てないで助けに行ってやれよ。
(牛丸)でも非は璃子さんにある。
(樫山)じゃしょうがないだろ大体さお前は…。
あっ図書館行く時間だ。
話の途中で?タイト過ぎるぞお前のスケジュール。
(樽見柚子)あ〜あ〜あ〜あ〜諦めないなぁあの人も。
(白尾)俺的には取材は大歓迎だけどそうなるとこうして校則を破って練習してることがバレるしな。
えっバレたくないのに何でユニホーム?着ないとやる気が出ない。
赤岩君どこ行ったんだろう?もう一緒に帰ろうって約束したのに。
まだその辺にいるんじゃないか?もし見つけたら私が捜してたって言っといて。
分かった。
ありがとう。
(赤岩公康)してないよそんな約束。
俺に気を使うな。
ホントにしてないんだって。
樽見はモテるぞ。
この学校であいつに惚れてる奴は俺が知ってるだけで29人もいる。
俺を入れたら30人の大台だぞ。
お前が避ける理由がさっぱり分からない。
いや別に避けちゃいないけどさ。
(白尾)そんなふうに余裕ぶってると寝首をかかれるぞ!俺を見ろ!こんなに才能にあふれながらも鍛錬を怠らないんだ!とはいえ2週間も休んでる暇はない。
俺達はただでさえ練習量が少ないチームだからな。
(白尾)安心してください。
俺は試験なんかに惑わされず野球に打ち込みます。
いや別にそこまでしろとは言ってないんだよ。
ただ各自トレーニングはなるべく継続して行ってもらいたい。
分かりましたなるべく時間つくって練習します。
(岡留)あ〜あはいはい。
(江波戸)そりゃ赤岩は時間つくれるよ。
赤岩さんは勉強しなくてもね。
(亀沢)俺らは赤岩とは違うんだよ。
(伊勢田)赤岩さんってそんなに頭いいんですか?
(江波戸)化け物だよ。
化け物って。
まぁ僕は赤岩さんほど時間割けませんけど19時からの夕食前15分間素振りに当てましょう。
お前一日15分が限界か?
(亀沢)この23時の就寝前15分も…。
それは弁当箱洗う時間です。
15分も洗うの?
(光安)すみませんが僕は素振りする余裕もありません。
(伊勢田)入学してから初めてのテストだしね。
(志方)誰もが自分より頭良く見えんだろ?そうなんです。
実際そうなんだよ。
ビビらせてどうすんのよバカ。
別に素振りとかじゃなくても筋トレとかでもいいんだけどな。
なるべくしようとしてます。
すると必ず監督に怒られたこと思い出してその後勉強が手につかないんです。
それめっちゃ分かるわ。
おい同意してんのに無視かよ。
じゃあ先輩として言わせてもらうけどお前達はあの『小田原城徳』の生徒なんだぞ。
そんな奴らが2週間そこら勉強しなくたって『東大』は逃げて行かないぞ。
無理無理!逃げます!な〜んて恐ろしいこと言うんですか!2週間も勉強しないだなんて!殺す気か!鬼鬼。
(亀沢)青志じゃなくて青鬼だ!
(光安)逃げますって!
(樫山)人の形をした鬼だ!あぁ邪魔だな…勉強が。
(赤岩晴敏)実際親として恥ずかしいよ。
どうせ家出するなら一生戻らない覚悟でやれっつうんだよ。
(樽見楓)そんなこと言ってホントはうれしいくせに。
まさか。
でも戻って来たっていうことはやっと俺と楓さんのことを認めたってことだろうなぁ。
公康君が?うん。
あいつ言ってくれたんだよ。
「幼なじみのお母さんでも構わない僕はパパを応援する」って。
絶対ウソでしょ。
楓さんこれカレーの量少ないっすよね?朝っぱらからカレーなんてよく食えんなぁ。
練習がない間はそれくらいがちょうどいいのよ。
いや練習がないのは生徒達で俺は俺でやることあるんですけどね。
何よ?やることって。
あっ監督。
今の野球部に何が足りない?時間です。
いや物だよ物ほらほら備品とか。
ほ〜ら息子の力になろうとしてる。
やっぱりうれしいんじゃないのよ。
違うって。
足りない物ね…。
動物に生まれつき備わっている。
つまり特別な経験や行動をしなくても起こる定型的な行動。
それを…赤岩。
生得的行動です。
そうだ。
生得的行動じゃあ赤岩例を挙げ…。
はい!あのほら…。
赤岩!本能行動や走性です。
そうだ。
本能…。
俺が小さい頃はまだ野球をしてる子供が大勢いた。
(松田)野球?
(中尾)何だ?突然。
だから俺達にとって物を投げるという動作はものすごく当たり前にあったんだ。
だけど今はそれは違う。
野球を知らないほとんどのお前達は物を投げられない。
そりゃそうだよ!大体日常生活において物を投げたら行儀が悪い不必要な動作なんだ!つまり人間にとって投げるという行為は生得的行動ではない!
(土井)あっなるほど。
(稲村)つながった。
もちろん捕るのも打つのも練習しないことには絶対上達はしないんだよ。
その通りです。
練習したくてたまらないんだな。
ねぇ。
なぁ白尾お前ホントに一切勉強しない気か?しない。
試験前ぐらいは勉強したら?そうだよ。
本人がそう決めたんだ尊重してやれって。
お前は最近妙に生き生きしてんな。
部活がなくて岡留に会わないで済むからだろ。
そ〜んな関係ないって。
痛いよ。
ねぇ亀沢君は勉強できてるの?バイトしながらでしょ?
(亀沢)さすがに今は休んでる。
俺が赤岩なら両立できるんだろうけど!いやできないよ俺だって。
またまた〜!だからやめてって江波戸君。
何かキャラまで変わってる。
「付き合いたい」って…俺と?
(芽衣)返事は今じゃなくていいから。
あそう…えっじゃあいつ?それは…任せます。
(牛丸)テニス部2年飯室芽衣。
牛丸お前いつから!?プレースタイルはカウンターパンチャー。
何でそんなことまで…!だてに屋上に張り込んじゃいない。
はぁ…。
付き合うの?いやいやいや…そんなんまだ。
見直したら?スケジュール。
(執事)おかえりなさいませお坊ちゃま。
ただいま。
(晴敏)もうすぐ試験だそうだがどうだ?勉強は。
別に問題ないよ。
野球のほうは?野球?
(晴敏)ピッチャーを任せられてるんだろ?大役じゃないか。
まあね。
お前が本気で取り組むっていうなら何だその…俺も多少は力になってやれなくもない。
「力に」って例えば?庭にブルペンでも造るか?ブルペンを庭に!?では早速業者に見積もりを。
ちょっと待て!何だそんな大声で。
モテる上に勉強もできてさらに庭にブルペンなんて…。
嘆く要素は一つもないぞ。
堕落だ!俺はこのままじゃ堕落する!キッ…。
そんなふうに余裕ぶってると寝首をかかれるぞ!俺が赤岩なら両立できるんだろうけど!よっ。
よし。
(璃子)何かしら?話って。
取材するネタがないなら俺に…俺に密着してください。
あなたに?安定した投球だけが取りえのピッチャーが努力を重ねて真のエースになるまでの軌跡です。
勉強はいいの?あぁ俺は昔から何とな〜く勉強はできるんです。
『城徳』の生徒じゃなかったらとんでもない発言ね。
すいません。
いいわ。
あなたに密着してあげる。
「密着してあげる」だ?試験さえなければいくらでも俺に密着させてあげるのに。
志方!忍者みたいだな。
あの2人に密着して妙な雰囲気になったらすぐに連絡!行け!
(牛丸)俺にも1人欲しいな。
チッ。
一体何のまねですか?ノックの精度上げてるんですよ。
えっ?あっ部…部活動は…。
いや教師は関係ないでしょ?あっ…。
どうです?お暇なら受けてみませんか?えっ何のために?歴代の城徳エースの球を受けて来た壁です。
その割には真ん中だけ随分キレイね。
危ないから離れてください。
あぁ…。
よっ。
あっ!なるほどそれで。
よし。
はい当たった〜!あんな遅い球私でも打てそうよ。
打てる打てないの問題じゃなくてこれはコントロールの…。
赤岩君こんな練習どこだって見られるわ。
そうじゃないのよ私はもっとこう…『城徳』野球部にしかないものを見て書きたいの!あっちょ…。
行くぞ!ちくしょ〜。
もっと腰を落として正面でキャッチしろよ!来い!まだまだ!まだまだ!
(三條)やめなさい!試験の期間に教師が遊んでどうする!校長!これが遊んでるように見えますか?
(三條)見えるよ。
なぜか部長をしごく鬼監督。
こういうのが欲しいのよ〜。
早く片付けなさい。
はい。
はぁ〜参ったなぁ。
何か練習以外の野球部の活動を考えないと。
はぁ。
(楓)何だか異様な光景ね。
ええ。
こんなんで記事書けるんですか?書けなくても書きます。
あっ今の連載のタイトルみたいじゃありません?「弱くても勝て…」。
璃子さん!あっ何もこんなやらせの勉強会なんかじゃなくたって。
俺の密着取材を続けてください!そうはさせない!「させない」じゃないよ。
白尾お前勉強やめたんじゃなかったのか?英語だけは続けてるんです。
グラウンドではプレーで語ればいいけど日常生活はそうもいきませんから。
白尾はすでにメジャーへの準備を着々と進めていた。
ちっとも集中できないよ!それまた俺のせいか?ち…違うよもともと1人じゃないと。
あと1時間だけ辛抱して。
そしたらちゃんと記事にまとめるから。
でも勉強の様子を記事にしてもらうのは戦略的に有効なんじゃないですか?
(牛丸)戦略?僕達はきっと他校から勉強しかできない連中だと思われてます。
だからそのイメージをもっと補強してもらって…。
相手を油断させるってことか。
それは油断にはならないぞ。
単にナメられてるだけだ。
油断は付け入ることができるがナメられていいことは何一つない。
その時相手は楽な気持ちでいるだけだからな。
なるほどね〜。
じゃあ!書かないでください。
野球も勉強も書けないんじゃ何にもないわ。
だから俺の記事を。
ヤダ!つまんないだもん。
(白尾)赤岩!俺にはいいけどこいつらの前でそういうこと言うのは嫌みだぞ。
みんな野球がしたいんだよ。
ここで勉強放り出して将来棒に振るわけには…。
だったら俺だって将来を考えての行動だ。
詳しく聞こうか。
俺はこの18年間実に楽な人生を歩んで来ました。
でもこんなものが一生続くわけがない近い将来今の彼らのようなつらく苦しい人生が始まるかもしれない。
そんな時に俺はうろたえたくないんですよ。
早いうちにちゃんとつまずいておきたい。
この俺がつまずけるものそれが…野球なんです。
でもそういうことでいうとここにいる連中みんな野球でつまずいてるんじゃないのか?そう思いました。
俺は入れないでくださいよ。
俺達は勉強も野球もつまずいてるってことか!!そう言いてぇのか赤岩!言ってないよ!!何だか自分がものすごく不幸な気がして来ました。
惨めだ。
(楓)ねぇちょっと超難関校の生徒達が何でこんなに落ち込んでるの?分かりませんよこれもう。
はぁ。
これもあなたの企画ですか?いやいや私だって呼び出されたんです。
何のつもりだよ今どき道場破りだなんて。
監督を呼んだ覚えはありません。
(璃子)私が連絡したのよ。
俺だってこんなとこ来たくないよ。
止めても無駄ですよ。
止めはしないがせかす。
短期決戦目指せ。
(部員)お願いします!
(部員)お願いします!お願いします!お願いします!
(部員)お願いします!
(部員)お願いします!
(峠)はっきり言うがおたくのピッチャーと対戦してうちが得るものは何一つない!お言葉ですがこっちだってない。
じゃあ何でやるんだ?あっ…。
弊誌の企画なんです協力していただけませんか?高校野球を盛り上げるために。
赤岩!はい。
赤岩お前こっち来て頭下げろよ。
何で付き合わされた俺達が交渉しなきゃいけないんだよ。
お願いします!
(部員)お願いします。
(璃子)片手?脇をしめろ。
手首を支点に振るんだ。
(部員)はい。
よし!いいぞ赤岩君。
はい。
(峠)そうその感じだ次!
(部員)はい!
(璃子)えっこれずっと片手なんですか?その通りミートの確実性を高める練習です。
彼の遅い球速はこの練習に最適だ。
いやでも練習って…。
なるほどね〜。
さぁどんどん来い!赤岩君!はいじゃ行きます。
(峠)よ〜し次!さぁ次だ!
(峠)はい次!ありがとうございました!
(部員達)ありがとうございました!ありがとうございました。
え〜っ?赤岩君がコケにされた?
(志方)文字通り片手間に扱われて満身創痍です。
慰めておきましょうか?何であんたが慰めんのよ!もういいわ!ご苦労さま。
あっ…。
もう…。
あっ出掛けんなら帰りに卵買って来て。
はい。
結果に納得が行かないようだな。
そりゃそうでしょ。
じゃあ…お前はどんな結果を想像してたんだよ?
(璃子)あっ…赤岩君!勝手にひと呼んどいて勝手に帰って…。
勝手な奴だなぁ。
監督を呼んだのは私です。
あぁ…そうでしたか。
何だか彼つらそうですね。
まっ練習台にされて面白い奴はいないでしょう。
実は私も『城徳』に入りたかったんです。
えっ?だってその頃まだ男子校でしょ?知らなかったんですよ。
まぁ共学でも結局受験しなかったと思うけど。
どうして?だって『城徳』の過去問を見た時の衝撃はいまだに忘れられません。
この世にこんな難問解ける人がいるのかなって。
ここにいますよ。
はぁ…。
それで『城徳』は諦めたんだけど大学受験は『東大』を受けたんです。
あっ何だ先輩だったんですか。
(璃子)残念ながら違います。
結局私立の大学に。
『早稲田』とか『慶應』あたりだ。
『青学』?『上智』?だからちょっと不思議なんですよ。
『城徳』のコ達も普通の10代と同じように悩むんだなって。
もちろんです。
そうなんですね。
ただ同じ悩みを抱いたとしてもやっぱり俺達は賢い。
だって本気で考えれば必ず解答が出るんです。
あなた方みたいに時間が解決してくれるなんてのんびり構えたりしないんですよ。
何かもうきっぱり線引きしてません?そうか。
時間が解決してくれるんじゃない。
解決すべきは時間なんだ。
書いていいですよ。
そんな気分になれません。
柚子。
『堂学』にボコボコにされたんだって?ボコボコというより何十人もの部員達に代わる代わる頭なでられた感じ。
それは精神的に来るね。
来た…。
「勝てる!」って思ってたの?監督にも似たようなこと言われたよ。
「どんな結果を想像してたんだ?」って。
何か俺いっつもそうなんだよね。
うん?野球部辞めたのだって家出したのだって結果を何も想像してないから続かないんだよ。
えっ?じゃあホントは野球部に戻りたくなかったの?ず〜っと家出してるつもりだったの?いやそういうわけじゃ…。
だったら悩まなくていいって!そのやり方でキミちゃんは結果出してるんだし。
そこが危険なんだ!えっ?俺は何をやっても何となくいい感じになっちゃうんだ。
いやそれ普通の人からしたらうらやましいよ?普通でいいんだよ俺は普通になりたいんだ!はぁ…。
赤岩さん!おい!辞めるんじゃねえ!
(亀沢)早まるな赤岩!赤岩さん!辞めないで!辞めない!辞めないよ!
(部員達)えっ?ホントに?何でそんなことになってんだよ。
だってまた『堂学』にやられたんだろ?前と同じパターンだからさ。
グローブを戻しに来ただけだよ。
やっぱり誤報か。
思い詰めた顔をされてたものですから。
あんたもう尾行しなくていいわもう!チッ使えないんだから。
ひどいな。
しかしこの事の発端は赤岩お前だぞ。
みんな試験勉強をやめて駆け付けてくれたんだから。
ごめん…。
まぁよかったですよ。
(岡留)お前一応うちのエースだしな。
練習台にされたとはいえ。
もうそこまで伝わってんのか。
(亀沢)全然よくねえぞ!俺はな丸3日取り組んで来た数学の問題が今まさに解けそうなとこだったんだよ!たった1問に3日も?暗記科目ならまだしもひらめき勝負の数学に3日はかけ過ぎじゃないか?亀沢さんの気持ち分かります。
僕も数学は粘れますけど文系の暗記ものはまるで集中力が続きません。
お前らグラウンドでも集中力続かないしな。
守備練習の時だけだろ。
バッティングは好きだぞ。
何かバッティングって理系な感じしません?コツさえつかんだら飛躍的に伸びそうっていうか。
じゃあお前達に言わせると守備は文系ってことなのか?ひらめきというより日々の地道な努力ですから。
つまり文系で守って理系で打つってこと?あぁそうなるな。
だけどな一見文系は時間かかるように思うかもしれないけど理系はひらめかなければ文系より時間を食うんだよ。
だからひらめきを信じて理系を取るのかそれとも文系で堅実に行くのかそこで問われるのは決断する勇気と時間に対するセンスだ。
センス?だって誰もが一日24時間しかない中時間があるという奴とないという奴の差はこのセンスの差に他ならない。
常に時間のない俺達にとって最も必要だったのはこのセンスだと思わないか?試験期間中俺達に必要だったのは素振りや筋トレじゃない。
このセンスを磨くことだったんだよ。
だからどうか立派な時間の使い手になってほしい。
そしてまたグラウンドで再会しよう。
はい!あ〜!何でだ!
(亀沢)「脱水して得られる中性の化合物をエステルという」。
(タイマーのベル)
(伊勢田)652年。
ムコニ頼まれ班田収授法。
6年ごとに戸籍をつくり租を徴収した!正解。
(白尾)センター試験頻出英単語!Strain!重圧負担!始め。
・すげぇ・安定感ってこういうことだね。
うん。
お前ちょっとは喜べよ。
まぁでもいつものことだしな!じゃあ…お願いします!お願いします!お願いします!フフフ…。
(白尾)よし!よし!何やってんですか?何だよまだその伝統やってんのかよ。
伝統?うん。
1位の人になでられると次の試験の順位が上がるっていう験担ぎよ。
じゃあ僕もお願いします。
僕もなでてください。
よくやるなぁ。
俺それ最初の1回しかやらなかったよ。
えっ!じゃあ監督も1位だったってこと!?それ嫌なんだよな帰る時手がベトベトするから。
だから3年間断り続けたよ。
ずっと1位だったんだ。
すげぇ。
(芽衣)何で?一日15分は会えるって言ったじゃん。
いやそうだったんだけどさちょっとこれ見てよ。
今回試験で成績が落ちたことを受けてここを勉強に当てたいんだよ。
(芽衣)何か他に削れるとこないの?例えばこの「イメトレ」って?守備のイメージトレーニング。
私そんなんに負けんの?作り直して!ねぇ本当に忙しいんだって!今日から練習だって始まっちゃうしさ。
待ち切れないといった顔だね。
そうですか?あの頃はよ〜く叱ったなぁ。
君は私の目を盗んじゃグラウンドに出るもんだから。
あれ?今回も?失礼します。
おいおいまだ話の途中じゃないか。
部活が…あるんで。
行って来〜い!守備に就け!おう!
(晴敏)おっ?やってるな監督受け取ってくれ。
親父!バッティングネットだ!・すげぇ・・お〜!・えっ?戻って来ちゃうの?どういうことですか?ハハハ…。
いや〜こんなもんですまないな。
ホントはバッティングマシンを考えてたんだけど公康が予算は10万に抑えろって言うもんだから。
(江波戸)すごいこれだけあればみんなでいっぺんに練習できる。
(牛丸)短い練習時間も有効に使えますね。
何はともあれありがとうございました。
ありがとうございました!
(晴敏)みんなこいつで一生懸命練習して公康を援護してやってくれ。
援護します!
(晴敏)ハハっ。
(楓)すごいじゃないまた1番だったんですって?あぁ…すごいのかなぁ?
(楓)すごいわよ。
何か全然実感湧かなくて。
評価されるのはもともと持ってるものばっかりでさ。
あらそう…まぁ極めて普通の悩みね。
えっ?これ普通?だってほら簡単に言っちゃえば努力が報われたいって話でしょ?あぁ…。
は〜い。
野菜が少ない。
家出も終わったし普通盛りよ。
あ…いただきます。
(楓)うん。
あっそうですかお忙しいところお時間頂きありがとうございました失礼します。
ダメでした?どうも避けられてる気がするな。
そりゃあどの学校もうちと練習試合したってメリットないもんね。
何も強豪校じゃなくていいんです同レベルでいいんですよ。
その同レベルがまた難しいんだよ。
うちからしてみりゃどこも強豪校…。
もう!愚痴はいいから次!はい。
これは上達しそうですね。
どうかな。
えっ?
(璃子)全部断られた。
県内の高校全部に。
よし中学校に当たってみよう。
軟式野球じゃないですか!何か違うの?とにかく早まらないでください。
『堂学』との親善試合の影響だな。
1回コールド負けのチームとなんかやれるかっていう。
そっか…じゃあ『堂学』に責任取ってもらおう。
あの対談って言われても別に『堂学』の監督と話すことなんか何もないんですけど。
全ては誌面を埋めるためです。
(シャッター音)しかし相手も今日の今日でよく引き受けてくれたもんだな。
『堂学』のせいで練習試合が組めないんだからこのくらい協力してもらわないと。
いや別に『堂学』のせいってわけじゃ…。
遅いなぁちょっと呼んで来ます。
せっかちな人だな。
(ドアの開閉音)
(谷内田)よく来るな君も。
まぁ好きで来てるわけじゃないんですけどね。
あぁいやそこ峠監督の席ですよ。
(谷内田)強豪校の監督は君みたいに暇じゃないんだ。
来れないんですか?だから僕が代理で来たんだ。
(ボイスレコーダー:録音開始音)あなたと?対談相手が臨時の雇いコーチじゃ不満か?いや…肩書どうこうってことじゃなくてもうあなたと話すことがないんですよ。
どうして?だって…。
あなたは私がやってることを野球だとは思ってらっしゃらない。
それはお互いさまだろ。
君も僕の野球を異常だと言った。
少なくとも野球だとは思ってますよ。
ただ種類が違うって言ってるんだ。
違うな〜。
だったらいっそさ…高校野球もメジャーリーグやマイナーリーグみたいに…。
いや…本気リーグとお遊びリーグに分けるべきじゃないか?なかなかのネーミングセンスだ。
君だったら何と名付けるんだ?リーグ分けなんかして逃げられたらたまったもんじゃない!逃げるんじゃないよ。
逃がしてやるんだ。
何か…不毛な議論ですね。
君から聞くことは決意ばかりで戦略はない。
チームを勝利に導く戦略だ。
いやそれ…。
だからそれは…。
夏の大会で明かしますよ。
(谷内田)それじゃあ僕には明かされないってことだ。
いや1回戦でうちと当たるかもしれませんよ。
そういう意味じゃないよ僕はもうアメリカに戻るんだ。
えっ?これでもう僕の前で恥をかくことはない。
(ボイスレコーダー:録音停止音)もういいだろ?失礼。
残念です。
残念だ。
(ドアの開閉音)
(璃子)ドタキャンされた!峠監督急用で来られないんですって。
これどうやって消すんですか?うん?これから打撃テストを行う。
(部員達)はい!ルールは簡単だ3球3セットをセンター方向のネットを越えれば2点越えなければ1点。
ライト方向ネットを越えれば右バッターは2点左バッターは1点。
越えなければ右バッターは1点左バッターは0.5点。
そしてレフトレフトは志方を越えれば右バッターは1点左バッターは2点。
越えなければ右バッターは0.5点左バッターは1点。
分かったか?はい!ホントに?始め。
2点!お〜!
(亀沢)もらった〜!あっダメだ。
えい!くそ〜!はい報告。
(白尾)白尾13点。
次。
江波戸0点です。
亀沢0点です。
岡留0点!
(牛丸)僕も0点です。
あ〜もう!監督!むしろ前より打率が落ちてます!何で?ネットのおかげでバッティング練習増えたのに。
いやむしろそれが原因でしょう。
えっ?いや設備のないうちのグラウンドではバッティング練習の時間は限られてた。
だからこそお前達にはまだ集中力があったんじゃないのか?それがバッティングネットを導入した途端にお前達の中で「あ〜これでいつでも練習ができるな」…っていう甘えが生じたんじゃないのか?違うか?なぁ全員でよく考えろよ。
何度も言わすなよ俺達は練習時間が少ないんだよ!その練習時間が増えた途端に集中力が減るだなんてさこれ信じられない現象なんだよ。
何でお前達はそんな現象を簡単に起こすんだよ!はぁ…。
こんにちは。
どうも。
(増本)赤岩さん。
お〜どうもどうも。
先日は結構なお品物を頂戴いたしまして野球部一同…。
よしてくださいよ。
たったあれしきのことでハハハ…。
あれ?
(増本)な…何だ?どういうことだ?ふざけんじゃねえよ!覚えてろよ!2週間っていう試験期間は我々に大きな遅れをもたらした。
(白尾)このままじゃ『甲子園』は夢のまた夢だ!残り少ない練習時間を有効活用し遅れた分を一気に取り戻すためにはじゃあどうしたらいい?自主練を増やすしかない。
お前はそれでいいかもしれないけど他の者は進学があるんだよダメだ!座れ!そうか…。
実はなもう答えはお前達が出してるんだよ。
試験の前にな。
えっ?あっさらに勉強に励んで他校を油断させるっていう。
それは単にナメられるだけだって言ったろ?あっあの文系で守って理系で打つ。
正解。
お〜。
(璃子)何それ。
地道な反復練習がものをいう文系の守備。
そしてコツさえ分かってしまえば飛躍的に伸びる理系の打撃。
お前達は残り少ない練習時間の中でどっちを勉強する?理系。
じゃあつまりバッティング練習に重きを置くってことですか?いや全体重を傾ける。
いいかこれから『城徳』野球部は守備を捨てる。
(部員達)えっ?ただでさえザルなのに守備を捨てるってザルさえも捨てちゃうんですか?1試合で各ポジションに飛んで来る打球はせいぜい3から8。
そのうち猛烈な練習が身を結ぶような難しい球が飛んで来るのは1つあるかないかなんだよ。
そこにお前達は貴重な練習時間を割くのか?監督不安です。
俺もだよ。
大量失点は目に見えてる。
見えてるな。
だったら…。
だったらさらに大量得点すれば。
(岡留)簡単に言うな!白尾は言えるけどさ。
だからさ俺達も言えるようになるってことだろ。
おうそのために打撃に特化するんだよ。
大量に取られて大量に取り返すってことか。
そういうことだ10点取られたらその裏で15点。
20点取られたらその裏30点取り返せばいい!
(璃子)取り返せなかったら?負けですよ。
そんなのただのギャンブルじゃない?あなたは我々の何を見て来たんですか?ギャンブルを仕掛けなければ我々に活路はないんですよ。
そうかもしれないけど。
ハイリスクハイリターンですね。
いや理想は早い回での大量得点によるコールド勝ち。
つまりリスクとなる回をつぶす。
これはなハイリターンノーリスクなんだよ。
何て虫のいい…。
ハイリターンでノーリスクか。
待って単なる言葉のマジックよ。
いいかこれを遂行するには驚異的な攻撃力が必要だ。
そのためには血のにじむような努力が必要なんだよ。
お前達にその覚悟はあるのか?あります!打ちまくります!やります!打ちます!打つぞ〜!よ〜し!それでも打たれないに越したことはないですよね。
いやこの戦略の場合ピッチャーに求められる役割は打たれないというよりもフォアボールやデッドボールで試合を壊さないっていうところにあるんだよ。
お前は安定した球が投げれる。
エースとして完璧なんだよ。
いいか?簡単に見送らせるなよ。
しっかり打ってもらえ。
必ずみんなが取り返す。
はい。
よし決まったな。
これが俺達『城徳』野球部の戦略だ!はい!はい部長の増本ですが。
えっ!ウソ!試合?
(璃子)そんな戦略ホントにうまく行くんですか?うまく行くと信じてやるしかありませんよ。
俺達にはもう迷ってる時間はないんですから。
(増本)監督!決まった!試合相手!試合?
(部員達)試合?武宮高校!武宮高校?
(晴敏)ハハハ…!田茂青志。
この赤岩晴敏を怒らせるとどうなるか。
ハッハハせいぜい思い知るがいい!ハハハ…フハハハ…!うるさい!大声出すんならもう外でやって。
(晴敏)フフっごめんねフフフ…。
まったく大人げないんだから。
フフフ…。
試合だ〜!よ〜し!
(璃子)ついに実戦よ。
親善試合以来ですね。
強い気持ちでプライドを持ってもらいたい。
(白尾)試合に負けたら告白してみるわ。
(亀沢)学校辞めることにします。
(楓)今度の練習試合何か仕掛けて来るわ。
(璃子)実験は成功しますかね?勝てるんだよ。
「嵐」が歌うこのドラマの主題歌『GUTS!』のCDを抽選でプレゼントいたします。
ハガキに住所氏名年齢番組の感想をご記入の上ご覧の宛先までどうぞお送りください。
2014/05/03(土) 21:00〜21:54
読売テレビ1
弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #4[字][デ]
試験期間に入り、野球部も勉強漬けの毎日。青志が野球と勉強を両立させろと言うと部員達は「無理!」と猛反発!そんな中、学年トップの赤岩の様子がどこかおかしくて…。
詳細情報
番組内容
試験期間に入り、部活動が禁止に。
野球部員達も勉強、勉強、また勉強…。青志(二宮和也)が野球と勉強を両立させろと言うと、部員達は「無理!」と猛反発!
そんな中、赤岩(福士蒼汰)の様子がどこかおかしい。必死に勉強しなくても成績は学年トップ、モテる上に、実家はお金持ちの赤岩は「このままでは俺は堕落してしまう」と何とも贅沢な悩みをこじらせた結果、璃子(麻生久美子)に自分の密着取材をしてくれ、と頼むが…
出演者
二宮和也
麻生久美子
福士蒼汰
有村架純
中島裕翔
山