土曜ドラマ ロング・グッドバイ(3)「妹の愛人」 2014.05.03

(森田)
私立探偵増沢磐二はある夜一人の酔っ払いを救った。
原田保
(保)お気付きですか?あなたって人はねホント全くどうかしてますよ!あなたのような人間になりたかった。
(志津香)原田志津香です。
やがてその妻女優の原田志津香が何者かに殺された。
夫であった原田保が犯人の疑いをかけられて自殺。
だが増沢磐二は保の無実を信じ独自の調査を進めている
「独立第361国境守備隊」?
(磐二)戦中原田保はそこにいたらしい。
一方そんな磐二のもとに一件の依頼が入った。
依頼主は上井戸亜以子。
行方不明の夫を捜してほしいと言う。
夫の名は上井戸譲治。
流行作家である
(羽丘)いわゆる酒浸りというやつです。
酔った上井戸の暴力がそれはひどいらしいんです。
先日なんぞとうとう夫人が階段から突き落とされましてね。
(亜以子)助けてほしいとは申しません。
ただ連れ戻して頂きたいのです。
連れ戻したらまたあなたが危険な目にさらされるんでは?もちろん覚悟の上です。
きっと財前先生の所ですわ。
あなた財前をご存じなんですか?え?財前先生ですか?
(財前)診察ならしませんよ。
捜索の結果夫が闇医者のもとにいるのを発見
こんばんは。
(譲治)何だ?迎えに来ましたよ。
直ちに自宅へ送還。
任務は無事成功
待って下さい!もう少しだけここにいて下さいませんか?
いや諸君。
磐二がこう出たには事情がある。
あるがここでは省略する

そしてある夜また一人美女が現れた
(世志乃)ねえ誰があなたをそんなに傷つけたの?疑り深い目をして。
私は正直に名乗ってあげる。
あなたがこれ以上悩まなくて済むように。
高村世志乃よ。
旧姓は原田。
原田世志乃。
女優をやっていた妹がこの前死んだわ。
自分の旦那に殺されてね。
敵か味方か。
続きを見届けられたい

(マスター)どうぞ。
いい店ね。
よく来るの?よく来ると知ってるからあなたはここにいるのでは?誤解しないで。
悪意はないの。
ただ個人的に興味を持ったのよ。
あなたという人に。
うちの弁護士の報告を聞いていて。
遠藤氏の事ですか?どうも。
(遠藤)どうも。
(世志乃)遠藤を雇ってあなたを釈放させようとしたのは私の父よ。
君の弁護を引き受けるよう指示されてきた。
一体誰に?
(遠藤)それは明かせない。
(世志乃)捜査を長引かせたところで妹が生き返る訳じゃなしさっさとこの事件を終わらせたかった。
そういう人なの。
(世志乃)遠藤弁護士お見えになりました。
(秘書)ご苦労さま。
どうぞ。
どうも。
原田社長は急用でね私が代わりに報告を聞く。
でどうだった?増沢磐二との面会は?どうもこうも…。
相当な難物ですなありゃ。
難物?「原田保はやってない」の一点張りでしてね。
何だそりゃ。
根拠でもあるのか?
(遠藤)ないでしょうなそんなものは。
ただ強いて言えば仁義というやつですか。
仁義?死んだ友への忠義立てですよ。
(秘書)今どき侍か?参ったな〜。
(世志乃)父の秘書も弁護士も頭を抱えていたわ。
フフッ。
(世志乃)だけど私は何だかおかしかった。
あの事件のあと久しく笑ってなかったのに。
ねえあなたはなぜ原田保の無実を信じるの?悪いけど私は原田保が殺したんだと思ってる。
その理由は?姉の私が言うのもなんだけれどそうされてもしかたのないぐらい志津香はひどい妻だったの。
新聞にはお座敷犬なんて書かれていたけれど犬だってあんな飼い主は憎むでしょうね。
原田保は確かに妹の男の中ではマシな方だったかもしれない。
礼儀正しいし優しいところもあった。
でもただそれだけの男よ。
どうしてあなたは彼にそんなに肩入れするのかしら?まあ誠実な男だった。
今どき珍しいのは私よりむしろやつの方だった。
そういう人間に対してはこっちだってそう不誠実ではいられない。
ただそれだけですよ。
なるほど。
私ね嫌な女といる時の何が嫌って自分まで嫌な女になる事なのよ。
(世志乃)鏡のようなもの。
あなたは原田保と一緒にいる時は一番誠実でよき人間でいられたんでしょうね。
そういう相手は確かに大事に思わずにはいられないものだわ。
私だけじゃない。
あの正虎にとってさえそうだったんでしょう。
正虎?あなたの父上がよこしたヤクザですよ。
回想
(正岡)なんぼもろた!?なんぼもろて保を警察に売ったか聞いとんじゃ!待って。
父はヤクザなんて雇わないわ。
ねえ増沢さん。
彼はあなたが思っているほど悪い人間じゃないのよ。
お嬢様が思っておられるほどいい人間じゃありませんけどね。
随分はっきり言うのね。
私が父上ならば己の選挙のために事件を葬り去るのではなく娘を殺した人間が誰だったかを捜したでしょう。
あれだけの権力をもってすれば真犯人は見つかったかもしれない。
そして原田保は死なずに済んだかもしれない。
増沢さん。
悪いけど妹を殺したのは原田保よ。
彼はやっていない。
バカげてる。
だって告白書まで書いて自殺してるのよ。
父上にそうさせられた可能性だってある。
(テーブルをたたく音)あなたなんかが父の何を知ってるっていうのよ!
(頬をたたく音)
(平蔵)私って人間はね常に正直でありたいと思っている。
(グラスが割れる音)
再び増沢磐二事務所に平穏な日常が戻っていた
そうそうこれよ。
このおせいっていう女。
なんて憎たらしい顔だろう。
奥さんねご主人今この女のとこいませんよ。
えっ?じゃあまだほかにいんのかい?そうみたいですね。
そうみたいって…。
あなたそりゃそっちも捜してちょうだいよ!あのね奥さん。
これはご相談なんですけどねこれ以上の調査をご希望となると今の金額じゃとてもね…。
ま〜たその話?いやいや大事な事なんですよ。
調査っていうのは元手がかかりますからね。
・ちょっと失礼。
はいもしもし増沢磐二事務所。

(譲治)よう増沢磐二君かい?はい。
俺だ。
上井戸だ。
・ええ。
その節は世話になったな。
大丈夫。
今日はしらふだ。
どころかあれ以来一滴も飲んでいない。
ツルッツルのピッカピカ。
赤ん坊のような清らかな体だ。
見せてもいい。
いやいや結構ですよ。
実は増沢君。
君に頼みがあるんだ。
うちに来てくれないか?・
(譲治)もしもし?あはい…いえ。
何かまずい事でもあるかい?いやいや何もありません。

(鉢の割れる音)
(章介)ど…どうなさいました?今これをお客様に頂いてしまって。
僕がやります。
いいえ私が。
いいえ!奥様は見ない方がよろしいです。
今日はきっとたくさん頂いてしまうわね。
あとで全部焼いておきます。
(ブザー)僕が行きます。
(ブザー)何のご用です?ご主人は?ですから何のご用です?君は?ここの書生ですが。
回想先生を寝室へ連れてってさしあげて。
はい。
いらんもう!・どうしたの?増沢さん。
どうなさいました?あ〜あの…ご主人に呼ばれましてね。
まあそうでしたの。
どうぞ。
今日はうちでパーティーがありまして少しバタバタとしておりますが。
パーティー?主人が文学賞を取りましてそのお祝いなんです。

(ノック)どうぞ。
よう名探偵。
お掛け下さい。
あ〜いいよ亜以子。
僕がやろう。
ですけど…。
君も今日は忙しいだろう。
下で羽丘の手伝いを頼むよ。
分かりました。
では増沢さん。
ごゆっくりなさって下さいませね。
本日はおめでとうございます。
ありがとうございます。
どうぞごゆっくりさあ。
先生も間もなく下りてこられますんで。
章介君。
これ木村様からお祝いのお花頂いたよ。
ありがとうございます。
今日はどうもありがとうございます。
やっぱり酒をやめると違うな。
随分と体が楽だ。
仕事もなんとか復帰したし羽丘のやつがホクホクしてやがら。
どうも。
君は今どこに住んでるんだ?事務所です。
事務所?中古車屋の一室を間借りしてましてそこで寝泊まりしてます。
家賃は?3,000円ですが。
そうか。
よしそれも謝礼に上乗せしよう。
君しばらくの間うちに住んでくれないか?え?いやいやずっとじゃないんだ3か月でいい。
3か月ここに住んで俺を見張ってほしい。
見張るって?ああ。
あなたがお酒を飲まないようにですか?君は俺の本を読んだ事があるか?いや。
そうか。
怪奇小説には興味はないかい。
はい。
あれ〜きっぱり言いやがったな。
しかし君世の中じゃ今こういうのが実に売れるんだ。
いわゆるエログロというやつだ。
かくいう俺ももともとはこの手のものは得意じゃない。
ロマン主義や白樺派なんかに親しんできたし。
でもさこの年にもなると分かってくるんだよね。
裸の女や血もドンパチも書かずに売れるとなればあれが必要だって。
あれ…。
例のあれだよ。
才能ってやつだ。
残念ながら俺はそれを持ってなかったんだよ。
だがな増沢君。
それでも俺の次回作はこれまでのものとは違う。
怪奇小説じゃない。
ジャンル的には私小説。
俺自身をモデルにする。
遅くても3か月。
早ければ2か月で書く。
どうぞ。
どうぞ書いて下さい。
おい見張っててくれるのか?断ります。
なぜだい?性に合わないですよ。
合うとも!俺は作家の勘で分かるんだ。
君は本来は実に面倒見のいい男だ。
例の原田保の一件が証拠だ。
ありゃあ随分と泣かせる話じゃないの。
私はこれで。
まあまあ怒るなよ。
事件の事だ!ある事件の事を書く。
それを書く事は俺にとってかなり危険な行為だ。
けど作家として俺はそうすると決めたんだ。
(譲治)それが書ければ…。
俺はもう死んでもいいと思っている。
それは誰のですか?俺のだ。
やめたって言ったじゃないですか。
君の顔を見てると飲まずにはいられなくなっちゃって。
(ノック)あなたそろそろ…。
お客様がおそろいなのですが。
すぐに下ります。
今君…酒を飲んでる俺を亜以子に見せまいとしたな?ほら優しいじゃないか君は。
失礼します。
(ドアの開閉音)あら高村先生ったらお一人かしら?あのうわさ本当かしらね?先生の奥様がこちらのご主人と浮気なさってるっていう?そう。
それにしてもまあ腐っても作家ですわね。
亜以子様もご苦労がお報われになってよかった事。
今度はいくらお積みになったのかしら?お金だけじゃないってうわさですわよ。
ご覧になって。
あの出版社の社長って男の露骨な事。
お祝いの花です。
まあありがとうございます。
ありがとうございます。
先生ももうじき下りてこられますので。
先生。
(拍手)やあやあ諸君。
よくいらしてくれた。
ハハハハハ…。
(拍手)どうも。
増沢さん。
あなた何しにここに?いや…まあちょっと呼ばれて。
話終わったから帰りますけどね。
誰に呼ばれたんですって?え?作家の先生ですけど。
あなたどこまで知ってるの?何をです?いいえ何でもない。
いやいや…何をですか?・
(高村)ふざけるな!
(羽丘)まあまあ高村先生。
しらばっくれるな貴様!何もありゃせんよあんたの女房となんぞ。
ハッハッハ…。
ああ〜!・
(羽丘)高村先生どうか…。
ごめんなさい。
あなたはもうお帰りになって。
何事ですか?あれ私の主人よ。
おおかたお酒の勢いで上井戸譲治にかみついたんだわ。
何でまた?私と上井戸が浮気してると思ってるの。
ホントいい迷惑。
三流作家めが!あなたいい加減にして!俺をコケにしやがって!
(たたく音)
(蹴る音)あっ…うっ…。
うっ…うっ…。
(章介)おやめ下さい!
(殴る音)
(世志乃)止めて誰か!
(殴る音)ありがとう。
ねえ増沢さん。
上井戸と関係してたのはね私じゃないのよ。
妹なのよ。
志津香が生前上井戸と関係していたの。
だから私はてっきりあなたが何か事件の事を探りにここの家に入り込んでいるんだと思って。
いやそんな事はさっぱり知りませんでした。
案外うかつなのね探偵さん。
回想
(羽丘)実は昔志津香さんの映画に上井戸が脚本を書いた事がありましてね。
原田志津香とは親しかったようですね。
まさか。
冗談言うな。
(世志乃)志津香が生前上井戸と関係していたの。
(譲治)よう名探偵。
俺の女房とはうまくいったかい?しらばっくれんなよ。
お前この間亜以子にキスしてたじゃねえか。

(譲治)気持ちは分かるよ。
あの目か。
あの目にみんないかれちまうんだ。
そうだろう?でもね空っぽ。
あの女はね空っぽだよ磐二君。
むなしいだけだよ。
空っぽのスッカラカ〜ンだ。
ハハハハハハ…。
(はさみで切る音)何やってんだよ?何でもありません。
蘭を処分しているだけです。
蘭?花ですよ。
何で蘭だけ処分するんだよ?
(時計の時報)傷が…。
ご心配なく。
いて下さって助かりました。
高村先生はふだんはいいお医者様なのですがきっと飲み過ぎてしまわれたんでしょう。
ご主人の方も絡まれるだけの理由があったようですが。
さあ私には何も。
一つ聞いていいですか?あなたなぜご主人と結婚を?妙な事をお聞きになるんですね。
もちろん愛してるからですわ。
愛?フフッ。
なぜでしょう?あなたにそう聞き返されると自分がうそをついているような気がしてしまいます。
そう感じる時は大概実際にうそをついてる時です。
いいえ。
うそではありません。
それは若い娘の頃のような愛し方ではありませんけれど。
私は主人に拾われた身ですから。
女が娘の頃のようにあんなふうに人を愛するのは一生に一度の事なのでしょう。
私のその人はもうこの世にはおりません。
すいません。
失礼します。
いや〜そりゃ力道山は見えないよ。
だってテレビ20mほど先にこれっくらいしか見えねんだから。
何だつまんねえなおい。
でもそれがまたいいのよ。
あそこに確かに力道山が映ってたんだと思ったらよ〜。
なあ。
アハハハハハハハ…。
でもやっぱりあれだなあ。
原田先生はすげえな。
ああ。
俺は何があっても次の選挙は原田先生に入れるぜ。
こら坊主。
お前も拝んどけ。
この原田平蔵先生が街頭テレビをお始めになったんだ。
ありがとうございます!増沢さん。
おお。
どうだよ?いや…。
例の第361国境守備隊のほかの隊員を当たってみてんですがね難航してます。
そもそも従軍記録に残ってる住所ですからねまだそこに住んでいる人ってのがまず少ない。
見つかった人たちに聞いてもやっぱり城崎保も正岡虎一も知らないって言うんです。
回想
(保)うわ〜!
(正岡)保〜!
(爆発音)・はい増沢磐二事務所。
(支配人)歌姫が楽屋に入らない。
・またですか?
(支配人)心当たりを当たってみてくれ。
分かりました。

(支配人)開演はいつもどおりの8時だ。
謝礼ははずむ。
だが一秒たりとも遅れるな。
はい。

(通話の切れる音)
もはや慣れた仕事。
焦るまでもないとたばこをくわえたその時…
・はい増沢磐二事務所。
もしもし?・
(譲治)俺だ上井戸だ。
どうしました?まずい事になってしまった。
え?来てくれ今すぐ。
分かりましたすぐ行きます。
その前に奥さんを電話に出して下さい。

(割れる音)もしもし?もしもし!
探偵とはこういう場合最悪の事態から想像していく

残念ながら幾例でも思いつけばああか…あるいはこうか…
何を燃やしてるんです?ああ…花を。
ご主人は?さあ。
私にはもう何も…。
奥さん!何があったんですか?主人は…。
そこに…。
ちょっとすいません。
ああ上井戸さんちょっと。
うっ…。
あっ大丈夫ですか?
(章介)先生何があったんです!?分からんよ。
先生先生!おいちょっと揺するな。
すいません。
先生。
よしドア開けてくれ。
(高村)何だ?
(章介)高村先生来て下さったんですか。
何の事だ?わしは奥さんに呼ばれたんだ。
いやちょうどよかったです。
ちょっと先に診てやって下さい。
知らん!ちょっと持って。
頭切って出血してるんですから。
ちょうどいいじゃないか。
中身ごと交換してやりたまえ。
何だよ?診るべきでしょうあんた医者なんだから。
(舌打ち)フッ大した傷じゃない。
血を拭いてばんそうこうでも貼っといてやれ。
高村は内科の医者か?いいえ。
じゃあ外科か?いいえ。
じゃあ何科だよ?あなたには関係ありません。
何で答えられねえんだよ?奥様の主治医ですからお答えできません。
だったらとっとと外科の医者呼べよ。
言われなくとも!
(ため息)う…。
部屋か…。
おお来てくれたのか。
何があったんです?俺は…どうなってた?屋上の階段下で倒れてたんですよ。
それで頭から血が出てるからお宅の坊主が今医者を呼びに行ってます。
亜以子は?亜以子は?いやいやいや無事ですから。
恐らく部屋で休んでますよ。
そうか…。
増沢君頼みがあるんだ。
書斎のごみ箱に書き損じた原稿を捨てた。
それを取ってきてくれないか。
書き損じ?ちょっと妙な事を書いちまってな。
あれを亜以子に読ませたくない。
回想ある事件の事を書く。
(銃声)あ〜!キャッ…。
ち…違うんだ増沢君。
彼女が…。
亜以子が俺を殺そうとしたんだ。
(泣き声)坊主。
奥さん連れていけ。
はい。
奥様…奥様…。
(泣き声)起きろ。
あ〜何するんだ?けが人だぞ。
いいですか医者にかかって下さい。
あなた病気です。
専門的な事は知りませんがねあなた確実に病気だ。
明日にでも病院に行って本気で治療に臨まない限り何百年たったって状況改善しませんよ。
そんな不毛な時間につきあうなんざいくら金を積まれたってごめんだ!ケチな客に何だ?値切られながら浮気亭主捜してる方がまだ建設的ですよ。
浮気亭主は見つかるかもしれない。
でもあなた治らない。
このままほっといたら確実に治らない。
そんなにしゃべるんだ…。
知らなかった。
あ〜。
ところであれは見つかったかい?燃やしてくれ。
ここに書かれている「私の代わりに死んだ男」というのは誰なんです?誰でもない。
文学上のレトリックだよ。
あなた死んだ原田志津香と関係があったそうですね。
それか?それが君がここにいる理由か?何を言ってるんです?あなたに呼ばれたから私はここにいるんですよ。
もういい。
もういいよ。
今日はこのまま寝かせてくれ。
頼むよ。
坊主。
(ノック)奥さん。
(ノック)奥さん大丈夫ですか?信じてたわ。
あなたは必ず帰ってきてくれるって。

(ドアをたたく音)ホントに分からん。
どうなってんだ…。
レムネレムネリスッグレムネ。
スグネムレ。
オギャ〜。
とうとうかの歌姫は行方知れず。
捜索をすっぽかしステージに穴を開けさせたとして店は増沢磐二に賠償請求書を送りつけてきたがひとまず彼はそれを芋の皿にした
不届き者と蔑む事なかれ。
彼らの住まう裏社会に法はなく故に黙殺もまた一つの返答であり

勝ち目のない敵であればなおさらの事
あれから上井戸邸には一歩も足を踏み入れていない

さてあれを思えば今夜の相手など
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
窓辺に訪れた優しい小鳥であった
ごめんなさいね。
こんなに夜遅くに呼び出したりして。
お疲れになってるでしょうね。
慣れてますから。
そう。
いつも遅いの?遅かったり早かったり。
こういう仕事ですからね。
おいしい。
ところが
実はね。
小鳥は不穏な歌を歌い始めた
あなたにお会いしたがってる人がいるの。
誰だか分かる?ひょっとしてあなたの父上ですか?私に断る権利は?
(世志乃)あるわ。
今日のところはだけど。
明日になったらまた別の人間が迎えに来るって訳ですか。
だと思うわ。
行きますよ。

(世志乃)心配しないで。
父はそんなにひどい人間じゃない。
そりゃ全く普通の父親という訳にはいかない。
人より少しだけ特別な立場にある。
権力も持ってる。
だからこそ人には分からない苦労も抱えている。
私はそう理解しているの。
ただ…時として驚くような手段を選ぶのも事実よ。
どうか父の機嫌を損ねないで。
増沢様こちらでお降り下さい。
私も。
いえ。
世志乃様はこのままご自宅へお送りするようにと。
待って!心配いりませんよ。
・・「私はめひょうだ南の海は」・・「火をはく山のウワオワオワオ生れだ」・・「月の赤い夜にジャングルでジャングルで」
(ノック)・・「骨のとけるような恋をした」・「ワァーアーワァーアーアア」・「恋にくるいくるって」・「ジャングルのゴムの木に」・「ひょうの毛皮をおいてきた」お前が増沢磐二か?はい。
・「ウワオワオワオウワオワオワオ」・「ウワオワオワオウワオワオワオ」・「ボンバボンバボンバボンバボンバボンバ」・「ギャー」2014/05/03(土) 21:00〜22:00
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ ロング・グッドバイ(3)「妹の愛人」[解][字]

ハードボイルドの金字塔「ロング・グッドバイ」のドラマ化。探偵・増沢磐二(浅野忠信)は殺された志津香の姉、世志乃(冨永愛)に接近。衝撃の事実をつかむ。

詳細情報
番組内容
ハードボイルドの金字塔「ロング・グッドバイ」のドラマ化。殺された志津香の姉、世志乃(冨永愛)が探偵・増沢磐二(浅野忠信)の前に登場。志津香と上井戸家を結びつける衝撃の事実をつかむ。【原作】レイモンド・チャンドラー【脚本】渡辺あや(カーネーション)【音楽】大良良英(あまちゃん)【出演】浅野忠信、綾野剛、小雪、古田新太、冨永愛、柄本明ら豪華出演者、スタッフで送る最高峰のミステリー。
出演者
【出演】浅野忠信,綾野剛,小雪,古田新太,冨永愛,滝藤賢一,柄本明
原作・脚本
【原作】レイモンド・チャンドラー,【脚本】渡辺あや

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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日本語
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