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2014-05-03

「アナ雪」はジェンダーを意識してるのか?

昨日は軽く「アナと雪の女王」に書かれた教訓っぽいものについて書きましたが、今日はその後に考えたことを。

まず、この映画にジェンダーが描かれているとは思わないという発言がけっこうあったように思ったのですが(これ自体を別にダメだ!とか言うものではありません!)、物事を見るときに、ジェンダー的な視点で見ればどんな作品でもそう見えるし、見なければ見えないということはあると思います。ただ、ちょっと思うのは、ジェンダーを考える上で、お姫様というのは、最も重要なキーワードのひとつだから、「お姫様」が描かれた作品とジェンダーを切り離して考えることは割と難しいということです。

そのうえ、「アナと雪の女王」は、そうしたジェンダー的な仕掛けをしていないかというと、していると思われるところもたくさんあるのではないでしょうか。

例えば、アナとハンス王子が再会して、恋におちる場面。舞踏会で意気投合し、お城の外に出ていくふたりですが、「シンデレラ」でも同じようなシーンがあります。シンデレラは舞踏会の会場で王子と踊りはじめ、そのままふたりっきりでお城を出ていきます。その後、噴水のほとりや、橋の上などで愛をかたらうのですが、アナも同じようにハンスとお城を出て、王子と瀧の傍やテラスに行きます。また、そのときに、月明かりの下だったり、時計を背にしたりと、シンデレラと同じ要素を含むシーンが次々と出てくるので、これは「シンデレラ」を意識していると思わざるを得ませんでした。ちなみに、時計が出てくるのは「シンデレラ」が12時で帰らないといけないからですが、アナには時間は関係ありません。また、シンデレラが王子と踊るのは社交ダンスですが、アナとハンスが踊るのは、ロボットダンスっていう違いもまた面白いですね。

その後のシンデレラと王子、アナとハンスの行く道は同じではありませんが、同じようなシーンを入れることで、二組の違いがはっきりと意識されるように意図的にこうしたシーンが入れられているのではないかという気もするほどです。

また、アナが王子に出会う前、王子様の出現を夢見てうひとり夢見心地に歌うシーンがあります。そこでアナは、「やだ、私、こんな夢みたいなこと考えちゃって」と、半ば、これまでのシンデレラ・ストーリーを茶化すようなシーンもあったと記憶していますが、これも意図なしでは入れられないシーンではないかと思われます。

このほか、「シンデレラ」と「アナと雪の女王」を見てみて、ふと気になったのは、ディズニーアニメの「シンデレラ」の王子には、名前も明確なキャラクターもなく、ほぼ「王子」としての記号しかありませんが、「アナ」の王子は人間的で名前もあるところです。

これは、かつての女の子にとっての王子は、王子であるという条件さえ満たしていれば=自分を娶ってくれて生活できればそれでいいとされていたのが、今では、王子であればだれでもいいわけではない=記号ではなくちゃんと共感や愛情で結ばれるべき、ということに置き換えられているのかなと思いましたが、深読みでしょうか。まあ、ハンス王子のキャラクターも記号的(ハンサムで背が高く、女性の扱いに慣れている)なので、そんな見た目や条件にも惑わされるなということも描かれているのかなと思いました。

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