集団的自衛権:容認の動き加速 「武力行使」戸惑う自衛官

毎日新聞 2014年05月03日 14時37分(最終更新 05月03日 16時30分)

昨年2月に行われた陸上自衛隊と在日米軍の共同訓練開始式=北海道千歳市の東千歳駐屯地で、小川祐希撮影
昨年2月に行われた陸上自衛隊と在日米軍の共同訓練開始式=北海道千歳市の東千歳駐屯地で、小川祐希撮影

 恵庭市に住む別の隊員の妻は、夫が言葉にしないので国外で戦うことについて家で話すことはない。だが「まだ子供は小学生。戦争地域に派遣されて何かあったらどうすればいいのか」との思いがよぎる。

 千歳市の中野次男(かずお)さん(89)は第二次大戦中、陸軍の輸送任務をしている商船会社の乗組員として小樽市と前線の北千島を往復した。米軍の潜水艦につけ回され、他の船2隻が撃沈されて数百人の乗員が酷寒の海に沈んでいく光景を目の当たりにした。「今度こそ魚雷でやられる」と恐怖の日々だった。

 集団的自衛権については「複数の国が互いを守り合うことで抑止力になる」と思うが、かつて周囲の国すべてを敵に回して戦った経験から、「国の将来を左右する問題を自民党一党だけで強引に進めれば、ごり押しを続けて国際政治の中で孤立していった戦前の日本と同じ失敗をすることにもなりかねない」とも考える。再び日本が戦争に巻き込まれる可能性があるからこそ、「各党の考えを国民によく理解してもらい、国民の判断を求めるべきだ」と提案する。

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