知覧特攻慰霊祭:遺族ら1200人が参列

毎日新聞 2014年05月03日 22時05分(最終更新 05月03日 22時12分)

60回目の戦没者慰霊祭で焼香し、特攻隊員の冥福を祈る参列者=鹿児島県南九州市知覧町で2014年5月3日午後1時9分、土田暁彦撮影
60回目の戦没者慰霊祭で焼香し、特攻隊員の冥福を祈る参列者=鹿児島県南九州市知覧町で2014年5月3日午後1時9分、土田暁彦撮影

 太平洋戦争末期に旧陸軍の特攻基地があった鹿児島県南九州市知覧町で3日、60回目の戦没者慰霊祭が開かれ、遺族ら約1200人が参列した。

 知覧基地などから飛び立ち戦死した1036人の霊をまつる知覧特攻平和観音堂前であった。遺族を代表して慰霊の言葉を述べた土器手廣旺(どきて・ひろお)さん(77)=同県薩摩川内市=は兄・茂生さん(当時19歳)を亡くした。「兄が知覧基地を飛び立った翌日に知らせが届き、家族で涙を流し、無念でならなかった」と悲しみを語った。

 南九州市は2月、市立知覧特攻平和会館に所蔵される特攻隊員の遺書など333点の世界記憶遺産登録を目指し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請書を提出した。一方、中国から「日本軍国主義を美化する」などと反発の声が上がっている。

 登録を市に勧めた福島昂(たかし)さん(78)=東京都=はこの日、慰霊祭に参列し「特攻隊にはさまざまな議論があるが、世界記憶遺産への登録はあくまで出撃直前に書かれた遺書で、戦争という悲劇を世界の人に知ってもらいたい」と話した。式典で市も「平和を世界に発信できる」と改めて訴えた。【土田暁彦】

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