政府が集団的自衛権の行使を容認する具体例として、朝鮮半島有事の際、韓国から避難する米国人や日本人を運ぶ米航空機の護衛を検討していることが3日、わかった。敵国から攻撃を受けた場合、自衛隊機が反撃できるようにすることを想定しているとみられる。

 与党は政府に対し、集団的自衛権を行使する具体例を示すよう求めており、これを受けて政府が与党に伝えてきたという。公明党幹部は「現実的に起こり得る事例かどうかも含めて検討しなければいけない」と述べ、今後の与党協議で慎重に検討する考えを示した。

 公明党はこれまで、米艦艇の防護や米国に向かうミサイルの迎撃の例について、個別的自衛権や警察権で対応できると主張してきた。政府は今回、集団的自衛権でなければ対応できないとする新事例を示すことで、行使を認めてもらう狙いがあるとみられる。

 一方、訪米中の石破茂・自民党幹事長は2日、ワシントンでの講演で、集団的自衛権の行使の範囲について「限定した事例からスタートし、さらに広げることができる」と述べ、安全保障環境の変化に合わせて拡大する可能性を示した。首相は行使できる事例を必要最小限度に限ることで公明党を説得する方針だが、石破氏の発言は公明党の反発を招く可能性もある。(岡村夏樹、ワシントン=三輪さち子)