韓国旅客船沈没事故、「中古船舶取引サイト」に登録されていた「セウォル号」・・・販売価格は1ドル=韓国


 韓国南西部・珍島(チンド)沖で沈没した旅客船「セウォル号」が、事故が起きる1カ月前に、複数の中古船舶取引サイトに登録されていたことが分かった。「セウォル号」は韓国で就航してから1年しか経っておらず、運航する「清海鎮(チョンへジン)海運」が事前に何らかの欠陥があることを認識していたのではないかとの疑惑が浮上している。複数の韓国メディアが報じた。  韓国メディアは4月30日、米国の船舶取引サイト「BOATS.com」にセウォル号が「1994 RORO Passenger/Cargo Ferry Coastal Service(旅客貨物運航船)」として掲載されているのを確認した。RORO(Roll-on Roll-off)は自動車やトラックを積載できる船舶を指す。販売価格は1ドルだった。  船の情報欄を見ると、依頼者は「Ship-Broker」となっているが、詳細情報をクリックするとセウォル号(M/F SEWOL)の名前や、1994年に日本で建造されたこと、現在は仁川―済州島航路を運航していること、乗客数や積載車両などの具体的な情報が表示された。  依頼者のShip-Brokerは、オーストリアの中古船舶サイト「SHIP-BROKER.EU」とみられ、同サイトに3月7日に掲載されたセウォル号に関する情報と同じだった。また「YACHTWORLD.COM」にも同様の情報が掲載されていた。  しかし沈没事故発生後、「SHIP-BROKER.EU」と「YACHTWORLD.COM」のサイトからはセウォル号に関する情報が消え、「BOATS.com」もメディアからの指摘を受けて削除した。  ウェブ情報専門家のウィリアム・ムン氏は、韓国メディアの取材に「1ドルでの販売は、急いで売却しようという売り手側の状態を表しているようにみえる。無理な増築による復原力(傾いた船舶を正常の位置に戻すように働く力)の喪失など、船舶に問題があると認識していたからこそ格安で販売しようとしたという意図があるとの可能性や、売却契約を誰かと進めているため象徴的な価格を表記した可能性もある」と伝えた。  清海鎮海運はセウォル号を2012年10月に日本のマルエーフェリーから116億ウォン(約11億円)で購入し、30億ウォン(約3億円)をかけて増築。2013年3月に就航した。(編集担当:新川悠)