KADOKAWA通期は減収、営業利益も減 書籍売上げは「カゲロウデイズ」好調
エンタテイメント大手のKADOKAWAは、4月28日に2014年3月期の通期決算を明らかにした。期間中、2013年10月1日に連結子会社9社を吸収合併、商号を角川グループホールディングスからKADOKAWAに変更した。これに合わせてデジタル時代を見据えた事業の再編、効率化に積極的に動いている。
しかし、通期連結売上高は1511億4800万円で前年比6.5%減少となったほか、営業利益は61億6900万円で22.4%減、経常利益は73億3700万円(15.3%減)だった。これは香港の角川インターコンチネンタルグループホールディングスなど海外子会社13社やシネコン事業の角川シネプレックスを売却した影響が大きい。営業利益も4.9%から4.1%に低下している。一方で、角川インターコンチネンタルグループの譲渡利益などもあり、最終利益は75億9200万円と50.6%増となった。
事業売却の一方で、KADOKAWAはデジタル書籍の「BookWalker」やNTTドコモと共同出資する「dアニメストア」などデジタルコンテンツ分野に積極的だ。ウェブコミックサービス「ComicWalker」を立ち上げるなど、今後成長が見込めるデジタル分野に投資を続ける。業界内でトップグループに入っていない事業を売却し、そこで得た資金を成長分野に集中投資する戦略とみられる。
そうした方針は決算にも表れている。映像関連部門は売上高263億9400万円と前年比32.6%減だ。しかし、アニメなどのBlu-ray、DVDの好調もあり、収益は以前より安定化している。
海外関連部門は台湾での事業が堅調だが、香港事業の売却で50億800万円29.2%減である。書籍関連部門は656億3000万円(6.1%減)、雑誌/広告関連は325億1100万円(0.8%減)と伸び悩んでいる。
大きな成長を見せたのはネット・デジタル関連部門である。売上高は216億400万円と29.7%と高い伸びとなった。電子書籍配信の「BookWalker」の売上げが前年の3倍になるなど、電子書籍事業の成長が牽引した。
KADOKAWAは決戦発表に合わせて、2014年3月期の書籍の同社の売上げランキングを公表している。これによれば、2013年4月から2014年3月まででもっとも売れた書籍シリーズは、「カゲロウデイズ」シリーズであることが判る。続く第2位には「艦隊これくしょん」関連書籍、第3位は「ソードアート・オンライン」シリーズだ。一般書では「インフェルノ」、文庫では「ビブリオ古書堂の事件手帖5」が1位になるものの全体で、ライトノベル、アニメ連動作品、ゲーム関連書籍の堅調ぶりが際立つ。
ライトノベル個別の1位は「カゲロウデイズIII」、2位は「カゲロウデイズⅠV」、3位から5位までを「ソードアート・オンライン」が占めた。コミックスの1位は「坂本ですが? 2」、3位にも「坂本ですが? 1」画はいる。2位は「テルマエ・ロマエVⅠ」、4位は「となりの関くん」である。