バンコクの居酒屋「田舎っぺ」に絡む義捐金詐取疑惑、続けます。

前回、チャリティーイベントにおける「義捐金」の分類と、その「義捐金」の現状について書きましたが、そのなかで一点、大きな誤りがあったので、まずは訂正させていただきます。このイベントにおける「後援」はジェトロ・バンコクのみで、在タイ日本国大使館は「協力」という扱いでした。不正確な内容を記載しましたことをお詫びいたします。誠に申し訳ございませんでした。

さて、本題に入る。

今回の話題の中心は、「後援および協力」についてである。田舎っペグループによる東北地方太平洋沖地震の被災者向け義捐金のチャリティーイベントにおいて、ジェトロ・バンコクが「後援」、在タイ日本国大使館が「協力」として、バンコクおよびチェンマイのイベントに名を連ねている。こうした在タイ政府系機関が、イベントおよび義捐金詐取疑惑において、どのような動きを見せたのか?そのあたりについて、まとめる。
まず時系列で、今回の企画が進められた経過を確認しよう。最初に、東北地方太平洋沖地震の被災者向けチャリティーおよび日本食材の安全性を訴えるイベントを企画したのは、イベントの主催者である田舎っぺグループのオナー杉森氏である。そして、次に登場するのが、ジェトロ・バンコク。杉森氏のブログによると「ジェトロ・バンコク(日本貿易振興機構)のI氏、Y氏」ということになる。このお二人が杉森氏の企画に賛同し、ジェトロがチャリティーイベントを「後援」することになった。

ジェトロの「後援」を得た杉森氏が、次に向かったのは在タイ日本国大使館である。日の丸を背負い、日本国を代表する政府系機関である日本国大使館が、チャリティーイベントに「協力」という形で名を連ねた背景には、ジェトロによる力強いサポートがあったようだ。逆に言えば、ジェトロによる「後援」なしには、大使館による「協力」は、無かったものと思われる。ちなみに、大使館で窓口となったのは「一等書記官であるM氏」で、外務省ではなく、農林水産省に所属する人物だそうだ。

そして、田舎っぺの杉森氏、ジェトロのⅠ氏およびY氏、大使館のM氏が、イベント会場としての協力を取り付けるために、バンコクの日本人街にある高級デパート「エンポリアム」に出向いたことで、イベントとしての形が完成している。ちなみに、杉森氏のブログによると、杉森氏ほか3名がエンポリアムを訪れたのは「休日」だったそうだ。(休日返上での公務、お疲れ様です!)

ここまでの流れで注目すべきは、ジェトロによる強力なバックアップ、そして、大使館を含めた政府系機関が、単なる「名前貸し」や「箔付け」ではなく、イベントの開催に向けて具体的な協力を行っていたという事実である。

現段階で振り返って、田舎っぺグループの企画に対するジェトロの「後援」、大使館の「協力」は、本当に適切なものだったのだろうか?


11月29日、大使館で何が話し合われたのか?
田舎っぺグループの従業員である福井氏が、同グループの「さざえ」の金庫に保管されていた義捐金を使い込んだという騒動が発覚(改めて書くが、本人が友人・知人らに送ったメールで発覚)し、インターネット上で大きな盛り上がりとなったのは、11月25日前後である。主な発火箇所は、杉森氏のブログのコメント欄、匿名掲示板「タイちゃんねる」、在タイ日本人のツイッター、Youtube動画などである。

どのような経緯で、義捐金詐取疑惑および騒動を知ったのかは不明だが、在タイ日本国大使館は同月29日、杉森氏を呼び出して、事態の経過について説明を求めている。また、この話し合いには、ジェトロ・バンコクからも参加者がいる。具体的な人物は特定不可。

さて、この29日、いったい何が話し合われたのか?もちろん、関係者による密室での話し合いであり、その議事録なども残されていないため、詳細を確認することは出来ない。しかし、この話し合いの結果として、間違いがない事実は「杉森氏は、お咎めなしだった」ということである。

具体的に確認している事実を書こう。杉森氏は29日、福井氏によって使い込まれた疑惑のある義捐金の総額に相当する現金を、大使館に持参している。また、エンポリアムでのマグロ解体ショーにおける収益が「エンポリアムのスタッフのミスによってゼロ」であったため、義捐金は一切発生しなかったことを、具体的な数字を提示しながら説明している。そして、持参した「義捐金相当額の現金」は、大使館に預け入れられた。

なんだよ、疑惑となっている義捐金も全額、既に大使館を経由して寄付されているんじゃないか!?と思うのは、まだ早い。実は、翌30日にも、杉森氏は大使館に出向いている。この際にも、ジェトロ職員が同席。そして、驚くことに、前日に大使館に預けられた「義捐金相当額の現金」は、杉森氏に返納されている。

繰り返しになるが、ここまでの流れをまとめると、日本国の政府系機関である大使館およびジェトロが、協力および後援を行ったイベントと同時に行われたチャリティーTシャツの販売において「義捐金使い込み疑惑」の騒動が発生し、これを問題視した大使館およびジェトロが、主催者である杉森氏を呼び出して説明を求め、本来は政府系機関とは一切関係のないチャリティーTシャツにより発生した「義捐金相当額の現金」を受領したにもかかわらず、返納しているのだ。

これ、大使館の対応に納得できるひとっているの?まぁ、杉森氏は納得しているようだが・・・・。

(つづく)


参考:
同イベントを取材した報道陣に対して、マグロ解体ショーとチャリティーTシャツの区別は知らされておらず、ニュースクリップの記事でも、ジェトロの後援、大使館の協力が「マグロ解体ショー」のみであると判断できる記述はない。


また、事前の告知においても、マグロ解体ショーとチャリティーTシャツが、全く別であるとの記述など見当たらない。


まぁ、杉森氏本人のブログでさえ、明確な区別も説明も、何も無いんだけどね・・・


解体されたマグロだけでなく、日本大使館の「協力」も、ジェトロの「後援」も、随分と安売りするものなんですね。


追記
明日、パスポートの処理の関係で、大使館に行きますが、イジメないでください・・・(笑)


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