震災で流された日本の船がシアトルで発見 3年間6500キロ漂流か
2011年3月11日の東日本大震災による津波で流された1艘(そう)の日本の船が、実に3年間に及ぶ漂流の果てに、このほど約6500キロ離れた米ワシントン州の沿岸で発見された、と米地元紙などが2日までに報じた。船の表面はエボシガイなどに覆われていたが、同州捜査当局の調査で、日本の船であることが判明したとされる。現地で大きな話題となり、同州知事が週明けにも、会見を予定しているという。
地元紙などによると、米西部のワシントン州シアトル南西約150キロの海岸に4月28日、1艘の船が打ち上げられていた。
船の大きさは長さ約20メートル、幅約6メートル。船の表面は、数十センチの長い柄を伸ばした無数のエボシガイの一種によって覆われていた。エボシガイは「貝」と名付けられているが、カニやエビと同じ甲殻類に分類されている。
発見者は当時、「幽霊船ではないか」と目を疑ったいう。しかし、ワシントン州捜査当局が行った調査で、11年に日本で発生した津波で流された船であることが判明した。
シアトルにある日本領事館の関係者によると、船体の一部に「漢字」とみられる表記が記されていたという。
船は11年3月11日に被災地から流出し、発見までに3年1か月17日をかけて、約6500キロもの距離を漂流し太平洋を横断した可能性がある。
発見された船は、同州捜査当局が洗浄したうえで米国海岸護衛隊に引き渡され、さらに詳しい調査が行われるという。
また、4月23日にも同じ場所でエボシガイに覆われた1艘の小船が発見されていたが、船体に何も表記がなかったため、どこから漂流してきたかは不明とされている。
震災から1~2年は、津波による日本から多くの漂流物が各地で発見された。12年5月、米アラスカ州に子供用のサッカーボールが、同年6月5日には米西部オレゴン州の砂浜には長さ20メートルの浮き桟橋が流れ着いている。しかし最近では、被災地からの流出物が発見された事例は報告されていなかった。