韓国:沈没事故連想、乗客車外へ…地下鉄追突事故

毎日新聞 2014年05月02日 23時35分(最終更新 05月03日 00時02分)

 【ソウル澤田克己】韓国では南西部・珍島(チンド)沖で約300人が死亡・行方不明となる客船沈没事故が起きたばかり。安全軽視の社会風潮が問題視され、各地で安全点検が一斉に進められている中、首都ソウルの地下鉄で事故が起きたことに大きな衝撃が広がっている。沈没事故を連想し、逃げ場のない列車に閉じこめられた乗客がパニックに陥りかねない危険な場面があった。

 韓国KBSテレビによると、追突した後続の列車は激しい衝撃に見舞われ、停止した後に車内照明が消えた。暗闇の中で数分後に流れた車内放送は、事故の状況を説明しないまま「対向の列車が来るかもしれないから外に出ないで待機して」というものだった。だが、船内放送に従った高校生らが犠牲になった沈没事故を連想した乗客の一部は、放送を無視して手動でドアを開けて反対側の線路に出た。それに数百人の乗客が続いたという。

 乗客の一人は「待とうなんて考えはなかった。どこかの車両で火が出た(ようだから)、早く逃げなければと(思った)」と話した。

 一方、聯合ニュースは、車内放送が行われなかったため、不安に思った乗客が手動でドアを開け、反対側の線路に出たと報じた。どちらにしても、対向する電車に乗客がひかれる大事故になった可能性を否定できず、沈没事故と同様、避難誘導のあり方が改めて問題とされそうだ。

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