2014-05-02
日本の大学が海外企業と連携するのは日本の産業振興にとって「悪」か? それとも日本人学生の教育に貢献する「善」か?
例年のことですが、ゴールデンウィークは大型の研究予算の申請書を書く時期なので、今後どのように研究を進めるべきか、考えています。
非常に悩ましいのは、ITやエレクトロニクスでは日本企業が傾いてきて、将来の研究開発に力を入れる余裕がなくなってきていること。
ITのような応用分野の国プロのファンディングは、大学が基礎研究をやるだけではダメで、必ず出口企業(開発した技術を製品化する企業)の参画が求められます。
最大の悩みは、最近は企業の方が付いてこれなくなっている。
その一方、グーグルやアップルに代表されるような海外企業は非常に元気が良く、日本の大学の研究にも注目し始めています。
象徴的な例が、東大発のロボットベンチャー、シャフトが日本企業からは資金を得られず、グーグルに買収された件。
現在の日本、海外の企業を取り巻く状況を昨日ブログ「日本が負けつつあるのはロボットだけではない。競争する土俵が変わってしまった。」に書きました。
一日でブックマークが360とは、ずいぶん多くの方に読んで頂きました。
きっと、同じように感じている方が多いのでしょうね。
目先の研究だけでなく、もっと大きな視点が必要と考え、最近は時間を作って本を読んでいます。
その中で、グーグルCEOのエリック・シュミットが書いた「第五の権力」、原題の「The New Digital Age」方が的確と思いますが、この本には圧倒されています。
グーグルの宣伝の本かと思ったら、全然違いました。
ITが社会に及ぼす影響は必ずしも良いことばかりは無く、むしろ政治などで悪用されないか、逆に社会の問題をどのようにITで解決していく可能性があるか、俯瞰的に述べられています。
書いてあることの全てに賛成するわけではないですが、技術バカの自分にとってはショックを受けるくらい、著者は高い視点で物事を考えているのだとわかりました。
これだけのことを考えている経営者や大学教員は日本にどれだけ居るのでしょうか?
自分の思考レイヤが非常に浅いことに、とても反省させられました。
考えさせられる本で、なかなか先に進まず、まだ半分にも達していません。GW中に読み終えられるかどうか。
こうした社会全体を俯瞰してビッグピクチャーを描くことは圧倒的に欧米の企業(や大学)が得意とするところ。
ただ、悲観し過ぎる必要はなく、個別の技術では日本の企業や大学でも世界をリードしている部分もある。
もう言い切って良いと思いますが、全てを日本のプレーヤーだけで行うことは、もはや不可能になっているのではないでしょうか。
日本の良い部分を活かすためにも、海外のプレーヤーと組むことが必要ではないか。
話は戻って、研究のファンディング。
日本の大学は大なり小なり税金で運営されています。私大だって私学助成金を頂いています。
本当は共同研究のパートナーとしては、日本企業が良いわけです。
日本の大学で培われた技術を日本企業で実用化して、産業振興に役立ててもらいたい。
ただ、最初に述べたように、日本企業に体力がなくなってきたり、そもそもすべてを日本のプレーヤーで独占することはもはや不可能になってきている。
そうであるならば、日本の大学であっても、海外の企業と組むこともあり得るのではないか。
海外のトップ企業と共同研究を行うことは、日本人の学生には非常に良い教育の機会でしょう。
そうした機会を使って、日本人の学生が育つのであれば良いのではないか。
もし日本の大学で優秀な技術者を輩出し続けることができれば、グーグルなどの海外企業も日本で研究拠点を作り、日本人を雇用してくれるかもしれません。
たとえ海外企業であっても、日本での雇用が創出されるのならば、それはそれで良いのではないか。
幸か不幸か、シリコンバレーに比べれば、日本の技術者の給料は半分くらいと、「お買い得」ですしね。
もっとも、何を持って「日本企業」と定義するかも、良くわからないところがあります。
キャノンやソニーなどは外国人の持ち株比率が3−4割に達しているし、ニューヨーク証券取引所にも上場していますし。
日々、こうしてああでもない、こうでもないと悩んでいるのですが。
結論としては、いわゆるウィンブルドン現象と言うか、海外のプレーヤーの力を借りながらも、この研究室が世界で尊敬され続ける「場」であり続けることを目標とするしかないのかもしれません。
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