減損額が買収額を超える
減損額が買収額を超えることは珍しい。東京エレクトロンによると、理由は大きく分けて二つある。一つは、買収後に実施した、製造装置などの設備投資分についても今回の減損処理の対象になったこと。もう一つは円安である。
エリコン・ソーラーののれん代について、当時は円換算で250億円程度と評価していた。だが、当時1スイスフラン約88円だった為替レートが、約115円まで円安が進み、のれん代の評価額だけでも317億円に膨らんだ。勝負を懸けたエリコン・ソーラーの買収は失敗だったのだ。
今回の減損について、東会長は「太陽電池に関する市場環境や採算性はアプライドと議論はしているが、(減損は)独自の判断だ」と話すが、アプライドとの経営統合を順調に進めるためという色彩が強い。実際、アプライド側は「統合後の新会社は半導体と薄型パネルビジネスに集中する」と明言、新会社では構想外に置かれている。
東京エレクトロンはソーラー事業の研究開発そのものは今後も続けると強調する。だが、統合後は早晩大鉈が振るわれるのは間違いなさそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)