プルタブ・割り箸袋が車イスに・・・は都市伝説? 意味のない慈善活動に注意!


空き缶「缶ジュースのプルタブを集めると車イスがもらえる。」
「割り箸の袋を集めると車イスがもらえる。」
そんな話を聞いたことがありませんか?
もしかしたら、実際に収集活動に参加したことがある方もいらっしゃるかも知れませんね。
しかし、善意で行っていたこれらの活動が実はデマだったり、奨励されていなかったりする場合があるのです。

割り箸の袋で車イスがもらえる?

2008年~2009年ごろにかけて「割り箸の袋を集めると車イスがもらえる」という活動が全国的に広まったことがありました。
小中学校のエコ活動の一環として取り入れたところも多かったそうです。
そのうちに「有名料亭の名入のものを集めると買取の値段が上がる」などという尾ひれまでついたようですが、実はこれ、ほとんど意味のない活動でした。
使用済みのものを善意で集めて福祉に役立てる活動のことを「収集ボランティア活動」といいます。
代表的なものに使用済みの切手やテレホンカードを集める活動がありますね。
これは国内や海外に収集家がおり、彼らに切手やテレホンカードを売却した収益を福祉に寄付するというルートができ上がっているからこそできる活動なのです。
しかし、箸袋にはそのようなルートが何もありません。
箸袋をリサイクル資源としてみると、古新聞や古雑誌と同じ紙資源になりますが、量が少ない上に材質と印刷がさまざまで再生も難しいのが現実です。
しかし、全くのデマかといえばそうでもなく箸袋を集めた人の善意をくんでやむなく回収してくれた業者があり、車イスを買うことができた場合もあるそうです。

このように善意の噂話が広まった結果、意味のない収集活動に大勢の人が熱中したものがある一方で、かつては有効だったのに、時代にそぐわなくなった活動もあるのです。

空き缶のプルトップで車イスがもらえる?

かつて缶ジュースのプルトップは缶から離れる作りでした。
これがポイ捨てにされると怪我や環境破壊の原因になると投げ捨てられたプルトップの回収活動が1990年代に盛んになりました。
そしていつのまにかプルトップを集めると車イスと交換できるという話が出てきたのです。
いったい誰が、いつそのような話を広めたのかは諸説ありますがラジオが、発端という説が有力のようです。
しかし、プルタブが直接車いすと交換できるわけではありません。プルタブを金属のリサイクル業者に売却することによって得られたお金で車イスを買うのです。
車イスを一台購入するのには膨大な数のプルトップを集めなければなりませんね。
しかも、今ではプルトップは缶から外れないような作りになっています。
それにもかかわらず、「プルトップをわざわざ本体から切り離して集めている」ボランティア団体がいまだに存在します。
アルミ缶製造業者や飲料メーカーで結成されているアルミ缶リサイクル協会のHPにも、「プルトップのみの回収は非効率的かつ怪我をする恐れがあるのでやめてください」と書いてあります。
プルトップや割り箸の他にも、たばこのラベルや銀紙などを集めると車イスに交換してくれるという噂も広まったことがありますが、これは全くのデマです。

デマや不確かな情報に惑わされないために

収集エコ活動・ボランティア活動と聞くと「良いことをしている」「協力したい」と思う人は多いでしょう。
でも、これらの活動は換金手段がしっかりと確立していなければ意味はありません。
しかも換金手段が確立していてもレートが非常に低いという場合は、収集労力に見合った金額を得ることができません。
それならば募金をした方が効率的ですよね。
「収集エコ活動やボランティア活動に参加したい」もしくは「立ち上げたい」といった場合は、

  • 収集したものを引き取って換金してくれる業者がいるのか?
  • 換金レートは活動労力に見合っているのか?

の2点を確認することが大切です。
今のところ自治体がリサイクルごみとして引き取ってくれる古紙や缶・ビン・ペットボトルならば換金してくれる業者もたくさんいますし、値段もある程度は見込めます。
「××さんから聞いた」「テレビやラジオ・ネットで見た」という不確かな情報だけを根拠に活動しないことが大切です。