偽造天国の中国に「ニセ政府」が登場

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  • TE-PING CHEN

[image] Getty Images

北京の(偽物でない)人民大会堂前で旗を持つ衛兵

 偽物のアップルストア、偽物の記者、偽物のグッチ―中国ではいたるところに偽物があふれているが、ついに「ニセ政府」が登場した。

 国営メディアはこのほど、中央部の河南省に「トウ州市人民政府」が設立されたが、実際には偽物だと分かり、解体されたと報じた。

 記事によると、トウ州市人民政府は住民3人よって昨年末に設立された。彼らは政府の印章を偽造し、ニセ政府の名前を使った新聞を発行。また、独自の役所を作り出して人材募集広告を出した。政府が解体されるまでに10人以上が応募してきたという。

 住民は実際の政府が「機能していない」として、勝手に「打倒」しようとしたとみられ、ニセ政府の本部は本物の政府の近くに置かれた。

 トウ州市でおかしげな政治ニュースがトップを飾るのは今回が初めてではない。国営の英字紙チャイナデイリーは4年前、「農村部で根付く民主主義」と題した同市の記事を掲載。ここでは地域の村々に関わる提案により多くの住民が関与するようになったトウ州市の軌跡が年代順にまとめられ、当時の国家副主席だった習近平氏にも称賛された「革新的な実験」だと銘打たれた。

 農民たちがそれほど革新的だったと思う人はいないのは明らかだ。

 ニセ役人らは地域内で違法建築を行ったとし、ある不動産デベロッパーに業務停止命令を出して罰金を徴収しようとしたが、最終的には彼らの方が追い出されてしまった。このデベロッパーが不審に思い、農民3人が一斉に捉えられたためだ。農民らは公文書偽造で告訴された。農民からコメントを得ることはできなかった。

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