修学旅行の安値落札、事故リスク高める

 事故リスクが高い「安物商品」の代表格が修学旅行、研修活動など児童・生徒の団体旅行だ。こうした団体旅行は旅行商品の中でも最安値の価格帯で企画される。児童・生徒の家庭の生活水準が千差万別である上、大半の学校が政府の方針に従い、「最低価格入札制度」で請負業者を決めているからだ。おのずと旅行業者は落札を目指して価格競争を繰り広げ、ツアーの質はさらに低下し、安全は後回しになってしまう。

 昨年ユースホステルの「海兵隊キャンプ」で参加者が波にさらわれた事故があった公州大学校師範大学附設高校の場合、2泊3日の旅行費用は1人当たり8万5000ウォン(約8400円、6食込み)だった。ユースホステルと研修担当者は「同じ規模の成人の団体旅行であれば、1.5-2倍の費用を受け取る」と話した。旅行業界からは「学生の団体旅行は相場がもともと低く、それに合わせようとすれば、安全に配慮するのは難しい」との声が漏れる。

■低価格だけが生き残る環境

 大半の初等学校(小学校)、中学校、高校は現在、修学旅行や研修活動の請負業者を選定する際、「公開入札」方式を採用している。現行の地方契約法は、契約金額が2000万ウォン(約198万円)以上の場合、調達庁のインターネットサイト「ナラ・チャント(国の市場の意)」で公開入札を行うよう規定している。学校と業者の金銭的な癒着などを防ぐことが狙いだ。

 大多数の学校が選択する入札方法は次のようなものだ。まず、学校が「ナラ・チャント」に入札公告を掲載すると、旅行会社や研修施設が提案書を学校に提出する。学校は評価委員会で提案書の内容を評価する。その上で、一定以上の点数を得た提案書の中から最低額を提示した業者が無条件で落札業者に決まる。しかし、学生の団体旅行は業者間で価格差が小さく、品質の差もほとんどないため、結局では少しでも価格が安い業者が落札する構造だ。このため、旅行会社や研修施設は価格競争に死活を懸ける。

■校外活動の品質改善を

 江原道の研修施設代表は「最低価格入札制度は最高級の牛肉でも普通の牛肉でも5万ウォン(という安値)で売れというに等しい。そうなれば、誰も上等の牛肉を売るはずはない」と話した。

 旅行会社関係者は「低価格に合わせるためには、45人乗りバスに子どもたちを詰め込まなければならず、車両も新車ではなく、老朽車を充てるしかない」と指摘した。

 安全は当然後回しになる。学生の校外活動を安全に進めるには、資格を持つ青少年指導者を数多く配置することが必要だが、研修施設は安値で商品を組もうとして、無資格のアルバイトを使ったり、最低限の担当者で間に合わせたりしている。

 このため、学校の団体旅行に最低価格入札制度はなじまないという主張もある。あるユースホステルの代表は「一部の学校長による不正を摘発するため、学生の団体旅行があまりに低いレベルで標準化されてしまった。価格がやや高くても、優良業者を選択できるような質的競争が求められる」と訴えた。

 教師からは「学生と学校が安全を軽視する危険な安値商品の主な消費者になっている以上、事故リスクに常にさらされることになる。校外での研修活動の適切な品質維持が可能となるように、政府が予算を一部支援することも一策だ」との意見が聞かれた。

キム・ヨンジュ記者 , チェ・ユンア記者
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