実際にそういう状況に陥っている若い夫婦は都市部、東京や神奈川に大勢いると思います。これが、日本における少子化の最大の原因だと思います。
今でも「結婚イコール出産」という考えは根強い
もちろん、結婚をしても子供はいらないという人たちもいるのですが、そうした人たちは昔から一定数存在しましたし、少子化の原因ではないと思います。
―― 日本では結婚イコール子ども、という考えが数字の上でもまだ根強いということですね。
よく結婚することと子どもを持つことは別、といいますね。ですが、統計で見れば、日本人の意識の中でほとんど一体化していることが分かります。
実際に、国立社会保障・人口問題研究所の実施している出生動向基本調査によれば、90%以上の夫婦は結婚後5年以内に第1子を誕生させています。
「最近は子どもが欲しくないという夫婦が増えた」と言われることもありますが、そういう夫婦は実は昔から一定数存在しています。結婚は愛だ、という人は、保育園の有無など関係なく結婚します。
一方で、子供を産みたい、だから結婚する、というタイプの人は、保育所が整備されないと結婚そのものができず、未婚が増えます。その結果、子供を産む気のない夫婦の割合が高まったと考えられます。
つまり未婚化の進行と、子どもを産まないカップルの割合が増えたというのは表裏一体の問題です。
「潜在的に子供を産む人全部」に聞くべき
言い換えれば、子供を欲しくない夫婦が増えた、というデータは、夫婦という「結婚を前提としたサンプル」を対象に子供の希望に関する指標をつくると暗黙のうちに一定のバイアスを生んでいるのです。統計学的に言えば「サンプルセレクションバイアス」のかかった結果です。
その点を考慮すれば、分母、つまり結婚している人が減った結果として、割合的に「子どもを欲しくない」と考える夫婦の比率が多めに出てしまっていると考えられるのです。
また少子化が深刻になると、夫婦で子どもがいない層に注目が集まってしまうのですが、ここにもサンプルセレクションバイアスの罠があります。結婚は子供を持つためであるということを前提にすれば、子供のいない夫婦というのは、かなり偏った集団です。
例えば、子供を持たない理由として、不妊を答える人がいます。しかし、そもそも結婚に踏み切った人の多くが子どもを産むことを前提にして結婚しているわけですから、そこで子どもがいないとなれば、不妊である確率が高いのはある意味当たり前です。
不妊はもちろん見過ごすべきではないものの、「少子化対策のための政策としての優先順位」を考えるならば、マージナル(小さい)なテーマかもしれません。